悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0162★乙女ゲームの説明は難しいです

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 リアは、小説という名のいくつもの物語りがあるコトを説明する。
 そして、それを視覚的に理解しやすいようにした絵で物語りを綴るのがマンガだと説明する。
 そして、更にその絵に動きと声まで加えて、まるでその中で生きているように動く動画という名のアニメの説明もする。

 ルリとグレンは、目をぱちぱちさせながら、なんとか理解しようとする。
 色々な物語りには、ジャンルというモノが存在しているコトもついでに説明する。
 いわゆるファンタジーという名の異世界をベースにした物語りがわりと多いコトを話す。

 「それで、その異世界の物語りを、視覚的に理解しやすいようにした、マンガやアニメをベースにしたモノを、ゲームにしたモノもあってね……」

 「「ゲーム?」」

 ルリとグレンが声をハモらせ、シンクロしたように首を傾げる。

 「うん…ゲーム………こっちにチェスって言うのはあるのかなぁ? 駒が……キング・クイーン・ビショップ・ナイト・ルーク・ポーン……だったっけかな? ……ボードゲームのようなモノでね……それを、庶民が楽しめるように変換したモノがあってねぇ……『乙女ゲーム』って言うんだけどね」

 「「乙女ゲーム?」」

 再びハモってシンクロしたように動くルリとグレンに、リアは可笑しくなって思わず笑ってしまう。

 やだ…ルリとグレンの言動と仕草がシンクロしてるぅ~………くすくす
 じゃなくて、どうやって説明したら、ルリとグレンに理解してもらえるかしら?
 ユナは、興味が消えちゃったのかな? 今はライムと戯れているのね……

 リアはユナが、せっせとテーブルの上を片付けているコトに気付き、ちょっと苦笑いする。
 その視線の先では、ビール缶(3L)を溶かし終えて、ふるふると身体を揺らせていたライムが、ユナに向かって、木皿に残ったソースやタレなどをちょうだいと、小さな三角の両手?を伸ばして、欲しがっていた。

 その為、ユナは汚れ(ソースやタレなど)がある木皿をライムに手渡していたりする。
 ライムは手渡された木皿をサッと身体で覆って、付着しているモノを吸収しては、ユナに返すというコトをしていたのだった。

 そんなユナの献身に、リアはグレンとルリに話しをしつつ、食後のデザートとなるプリンアラモード(リア作)を腕輪型アイテムボックスから出して、綺麗になったテーブルへと置くのだった。

 「ユナ、片付けが終わったら、食後のデザートにプリンアラモードね……って、はいはい、ルリもグレンも食べたいのね」

 リアからの説明を聞いていたルリとグレンは、ユナ用に用意されたプリンアラモードを物欲しそうに見詰めていた。
 それに気付いたリアは、グレンとルリの前にもプリンアラモードを出す。

 私は、プリンだけにしておきましょう……せっかく、少しとはいえ減ったんだから
 生クリームは…余分3兄弟の長兄(脂肪)と次兄(糖分)が、ニヤニヤ顔でダンスしながら迫ってくるから我慢よ
 じゃなくて……はぁ~……タイトル覚えてないのよねぇ…あの『乙女ゲーム』

 リアに出してもらったプリンアラモードの生クリームをスプーンですくいながら、ルリが聞く。

 う~ん……木のスプーンも良いけど、前世で使っていたスプーンが欲しいわねぇ
 舌とかに当たった時にちょっと微妙なのよねぇ……はぁ~……
 前世のモノが異世界ネットショッピングで還ると思うと……自重しずらいわ

 「それで…その『乙女ゲーム』っていうのは何なんだい?」

 嬉し気に太く長いもふもふの尻尾を揺らしながら問い掛けるルリに、リアは題名は忘れてしまったが、この世界や自分の立ち位置が、その公爵令嬢と非常に酷似しているコトを説明する。
 勿論、婚約者だったエイダン王太子と、その取り巻き達も同じ名前で、容姿や地位などもまんまだったコトを告げる。

 「だから、前世の私達の認識としては、物語りを書いたり描いたりするのは『異世界の何処かを垣間見ているんだろう』って言う定説が、一部では根付いているのよねぇ……今更だけど、私もしみじみとそう思うわねぇ……こんなコトなら、もっとちゃんとやり込んでおくんだったなぁ……はぁ~……」

 重い溜め息を吐くリアの意識を別に向けようとしてか?グレンが口を開く。

 「ふ~ん……で、リアの立ち位置は? 生贄だって言ってたから……そのヒロインとかいうヤツなのか?」

 グレンの言葉に、リアは小首を傾げる。

 「それがよく分からないのよねぇ~……王太子の婚約者の公爵令嬢だと、悪役令嬢が定番なんだけど……当て馬は……ちょっと…違うと思うから……無難なモブ希望だったんだけどねぇ……なのに、なぜかヒロイン疑惑があってねぇ~……称号に聖女とか大聖女なんてモンもついちゃっているし………なんとも言えないのよねぇ~………だいたい、私が記憶している物語りだって、かなりブツブツだから……」

 「ようするに、リアの立ち位置が不確定だってコトで良いんだね」

 ルリの断定的な言葉に、リアは肩を竦めて頷く。

 「うん……記憶にないイベントなんかもあったしね……それよりも、私という魂が別の世界の子だったってコトを…時空神様から聞いたのよ……それで、ちょっと微妙に思っていた自分の記憶が、完全に前世のモノだって確定出来たのは良かったわよ……その上で、時空神様の最初の子を、偶然にも助けるコトが出来たからね」

 ところどころ端折りまくって、リアは自分が前世の異世界の品物を買えるコトをやっとこさっとこ説明する。

 「…まぁ…そう言う理由から、時空神様の恩恵で、前世の異世界の品物を、ネットショッピング出来るのよ……それが出来る魔道具をもらったの……とは言っても、今、私が買い物しているお金は、前世で溜めていた貯金からなのよねぇ……そのまま何も考えずに使ったら、あっという間に終わっちゃうのよねぇ……」

 リアの言葉に、ルリとグレンはピクッとする。
 なまじキンキンに冷えた美味しいビールと、揚げ物三昧を楽しんだだけに、ルリとグレンは顔を見合わせる。

 「えっと…その……こっちの金って、その前世の世界では使えないのか?」

 グレンのもっともらしい言葉に、リアは首を振る。

 「まだ開いてないけど、『異世界屋(買い取り専門店)』っていうのがあったから、そこで換金できるんじゃないかなぁ…とは思っているのよねぇ……」

 「まだ、試していないんだね」

 「うん…だって、こっちのお金の価値とか種類が全然わからないから、取り敢えず、ちゃんと種類と価値を確認してからと思っていたのよ」

 「なるほどねぇ……だけど、本当に、その『異世界屋(買い取り専門店)』っていうは使えるのかい?」

 「たぶん、大丈夫だと思う…前世の知識に、そういうのがあるから……ただ、それを何時やろうかなぁって思ってね……ルリやグレンやユナに、異世界ネットショッピングで買い物が出来るコトを知ってもらえば、私が買い物をするコトを不思議に思わないだろうから、取り敢えず異世界の冷凍食品とビールを飲んでもらって、納得してもらおうと思ったのよ」

 リアの言葉に、グレンが頷く。

 「ああ、俺は納得したよ……リアが色々な意味で規格外だってコトを………」

 「そうだねぇ~……魂と身体を入れ替えられていたアタシ達を平気で買ったり、従魔や奴隷と一緒の食卓で食事をしたり……妙なところで常識が欠けていたり……困っているモノには、何の代償も求めず、迷わず助ける慈愛の人だものねぇ……でも、そんなリアだからこそ、アタシは一緒に居たいんだよねぇ……目を離したら、悪い奴等に酷い目に合わされそうで、気が気じゃないよ」

 「うん、ユナもリアお姉ちゃんと一緒が良いぁ……ユナの帰る場所は、リアお姉ちゃんのところだけだもん………だから、早くユナもルリお姉ちゃんみたいに強くなりたい……リアお姉ちゃんを、どんな敵からも護れるぐらいに………」

 ユナはプリンアラモードを食べ終わった後、リアに抱き付いてそう言う。
 リアはリアで、自分が前世の記憶を持っていて、時空神様の恩恵で前世のモノを購入できるコトを告白したコトで、気分がすっきりしていた。
 そして、根本的なコトを忘れるリアだった。
 








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