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0154★グレン達が気付かなかったコト
しおりを挟むリアがなにやら納得したらしいコトを見て取り、それまで黙って見ていたルリが口を開く。
「リア、その妙な能力は何だい? 何処から、その商品? 商品だよねぇ? ソレは何処から出て来たモノなんだい? それと、アタシにも味見させて欲しいねぇ~……」
そう言われて、リアはやっと今の状況に気付き、ハッとする。
ルリやグレンが、異世界ネットショッピングしたモノを調理して、つまみ食いしている姿を見られていたコトに、盛大に動揺する。
へっ? えっ? やだっ……もしかしなくても、全部見られてた?
いや…でも…ルリやグレンならいっか……でも説明はめんどいのよねぇ……
つーか、きっとコレ(異世界ネットショッピングして……つまみ食い)も時空神様ってば見ているよねぇ~……あははは
ちょっとばつの悪そうな顔をしてから、リアは肩を竦める。
「何度も説明するのは手間だから、何処か落ち着ける場所に到着したら、そこで朝食を食べながら説明するわね………あと、ユナが姿見の中にいるから、つまみ食いはおあずけってコトで………って…ナナ」
サクッと揚げぎょうざの半分を食べて、手に持ったままだった残りを、狙っていたらしいナナに食べられてしまい、リアは呆然とする。
あっ…あぁぁ~……残りも食べちゃえば良かったわ(涙)
まさかナナに食べられちゃうとは思わなかったわぁ……はぁ~……
まぁ…いいんだけどねぇ~……やられたわ
揚げたてだから、一個丸々口の中に入れたら絶対に火傷モノだと思ったのよねぇ
だって半分程度をサクッと食べて、口の中がハフハフしちゃったから………
それに、ライムが異世界ネットショッピングした時に出るゴミを処理できるか気になったし
たぶんに、ナナは充分に自分が食べても大丈夫なくらいに熱がさめたコトで、我慢の限界に来ちゃったのかな?
私から横取りしたコト、ちょっと後ろめたそうだけど、かなり美味しかったようねぇ………はぁ~……
口の回りをぺろぺろしているってコトは、かなりヨダレも出ていたってコトかしらねぇ
きっと、ライムが私から冷凍ぎょうざの空になった袋をもらって溶かして食べているのを見て、我慢できなかったんでしょうねぇ………
でも、ナナは野生っ子なのに、大丈夫なんでしょうかねぇ……
いや…それよりも、当座の問題はルリとグレンね
「ルリ、グレン、馬車を止められる場所を見付けて、朝食をとる時に説明するから、ちょっと待ってねぇ……ユナも姿見の中だしね………調理できるモノはちゃっちゃとやっちゃうから………大半が揚げ物だから……なんなら、エールとは違ったモノも手に入ったから、出してあげるねぇ……取り敢えず、付いて来ようとした馬車とかは居なそうだけど……休憩中に追い付かれない程度には、進んでねぇ~………」
そう言って、リアは腕輪型アイテムボックスの中から冷凍たこ焼き(50個)をひとつ取り出して、やはり空中で油を噴霧して、火魔法と風魔法で手早く揚げてしまう。
実際に油にドボンして揚げてない分、ちょっとはヘルシーになっているよねぇ………
揚げたこ焼きって好きなのよねぇ~……幸い、ソースとマヨネーズもどきもあるしね
どうせ、前世の話しとかしないと、異世界ネットショッピングの説明なんてできないからねぇ………
ひょいひょいと、えびフライに厚切りオニオンリングを次々と、ヘルシー揚げして行くリアに、今はそれ以上の説明をする気が無いと判断し、ルリもグレンも頷く。
勿論、グレンは御者を務める為、軍馬達に向き直る。
ちなみに、軍馬達はリアとグレン達の会話から、直ぐに休憩をもらえると判断し、嬉々として爆走する。
グンッと加速したコトに気付いたグレンは、軍馬達へと身体強化を更に重ねてかけてやる。
奴隷としての首輪を破壊されたコトで、グレンの魔法の力も解放されていたのでかなり強い身体強化の魔法をもらった軍馬達である。
通常、奴隷の首輪には、魔法を使えなくする効果が付与されている。
リアが買い取りのさいに、その部分の軽減を指示したコトで、グレンも初級程度の魔法は使えるようにはなっていた。
が、今回、酔ったコトで理性が飛んだリアは、グレンの奴隷の首輪を破壊して、自分の作ったチョーカーを付けさせていた。
そのチョーカーには、リアが思い付く色々な強化や防護の付与がされたモノだった。
お陰で、現在のグレンは、奴隷に堕ちる前より魔法力が強かったりする。
そんなグレンに身体強化をかけられた軍馬達は、通常時などとは違う身体の軽さと踏ん張りの良さから、グングンと前進する。
グレンは、リアが言ったような、馬車を余裕で停めて、シャドウハウンド達を出しても平気そうな場所を探す。
出来るならば大樹があり、木陰があるような場所が望ましいと、軍馬達を走らせるのだった。
現在、リア達一行は、大国ゼフィランス帝国がある大街道を走り、その属国であるモルガン国へと向かっていた。
ただ、リアどころかグレンやルリも知らないコトだが、現在馬車で走っている大街道は、新大街道であり、元々の大街道からはかなりズレていたりする。
ただし、砂漠を突っ切るように作られた大街道なので、何処からが新大街道へと入ったかは、実はわからない作りになっていたりする。
ちなみに、その新大街道は、属国としたモルガン国に作らせたモノだったりする。
財政的にキツくして、モルガン国を立て直して歯向かうコトの無いようにという意図が含んだモノだった。
敗戦し、戦勝国に搾取された上での大街道の更新により、たった3年ほどしか経っていないのに、旧大街道と見分けがつかない程の出来でしかなかった。
それ故に、ルリにしろグレンにしろ、現在進んでいる大街道が新大街道だと気付かなかった。
だから、本来なら大街道から遠くにチラッと見かける程度のはずの大樹が、大街道の側に聳え立って居たりする。
新大街道が、大樹の側を通るコトで、冒険者達の休憩所として利用しやすくなったコトで、冒険者ギルドに砂漠地帯で取れる魔物の素材が増えたコトは言うまでもない。
それまでは、相応の実力のある冒険者しか討伐出来なかった魔物も、ワンランク下の力しか無い冒険者達でも討伐出来るようになったお陰だったりする。
そして、そこに商機を見出し、個人の行商人から、中規模程度のキャラバン隊が、携帯食料やポーション各種を持って小さな即移動可能な行商をしていた。
ただ、幸いなコトに、リア達が向かったソコには、誰もいなかったりする。
何故なら、その大樹を根城にする魔物がつい最近、居着いてしまったからだ。
新大街道の大樹がある休憩所には、魔物が居着いたという情報が、冒険者ギルドを通じて通達されていたりする。
ただし、冒険者に登録したばかりのリアや、奴隷だったグレン、従魔のルリなどに、そういう情報は無かったのは確かな事実だった。
ちなみに、リア達が早朝に移動したコトに気付いた冒険者達やキャラバン隊の者達は、その情報を知っていたので、慌てて追い駆けたことは言うまでもない。
ただし、新大街道ではなく、旧大街道をひたすら走っていたのは、リア達の預かり知らないコトだった。
軍馬達は、走りやすいと感じた新街道を、自己判断で走っていたりする。
ちょうど分岐になるところで、リアが異世界ネットショッピングで買ったモノを調理し始めたコトで、前を見ていなかったグレンは、そのコトに気付くこともなかったのはしょうがないコトだったりする。
モルガン国に到着してから、その事実を知ったグレンが落ち込むのはまだ先の話し。
そしてリアは、休憩所に到着したら、遅い朝食をまったりと過ごす為に、ただひたすらに異世界ネットショッピングしたモノを調理しているだけだった。
ルリはと言えば、次のつまみ食いの機会を狙うナナを、調理中のリアに気付かれないように、ガッチリとけん制していたのだった。
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