悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
132 / 173

0131★食材が尽きていたようです

しおりを挟む


 そう声を掛けてから、リアは腕輪型アイテムボックスに姿見を収納して、クインとアクアを振り返って、ハッとする。

 あっと…忘れていたわ、クインとアクアに従魔だって判るモノ着けないと
 そう言えば、首輪型のアクセサリー…少し前に頭数分作ったのあったっけ
 クインは赤い魔石が嵌め込んであるヤツで、アクアは青い魔石のにしましょう

 「ちょっと待って、従魔だって思ってもらえるように、首輪を出すわね」

 と言って、リアは到底、単なる従魔の首輪とは思えないような、見事な細工の首輪型アクセサリーを取り出す。

 「はい、クインは赤いのね…アクアは青いのよ」

 そう言って、立ち止まり、ササッとリアの前にお座りして見せたクインとアクアに、それぞれの首輪を着ける。

 「これでよしっ…と……ルリは、従魔の首……んぅ~…なんか、ソレって見栄えが悪いわねぇ……そうだ」

 と言って、ルリの首に嵌められている隷属の首輪を、膨大な魔力を注ぎ込んで無理矢理外してしまう。
 そして、腕輪型アイテムボックスに収納した、これまだ豪奢な首飾りを取り出して、ルリの首に着けるのだった。

 「ナナでさえ、ああいうのを着けて居るんだから、このぐらいは身に付けないとね」

 「ああ…そうだねぇ……アタシもすっかり忘れていたよ……」

 ルリも、一応従魔としての、ごつい如何にもな隷属の首輪を着けていたが、あまり気にならなかったので、すっかりと忘れていたのだ。
 それをたった今外されて、見事な細工の首飾りへと変えられたルリだった。

 あっさりと従魔としての首輪を外してしまうリアに、ルリはクスッと笑う。

 本当に、困ったご主人様だよ、リアは
 普通は、こんな簡単に外さないモノなんだけどねぇ
 だからこそ、リアは危なっかしくて目が離せないんだよねぇ

 「それじゃ、外に出ようかねぇ…とにかく、リアは直接口を聞いちゃいけないよ…特に、交渉事はグレンにやらせるんだよ」

 こころの中でそう呟きながら、ルリはリアに再度注意して、クインとアクアを連れて馬車の外へと出たのだった。
 外に出たリアは、ルリの注意をスルーして、自分の幸運を噛み締めていたりする。

 ほんとぉ~に、命ある生き物も入れて、居住可能な姿見をゲット出来て良かったわぁ
 こういうのを僥倖って言うんでしょうねぇ~……本当に、助かっているわ
 もう、何度…姿見のお陰で助かったコトかしらねぇ……っと、あれ? ナナは何処?

 側に居たはずのナナは、リアの側から離れて、軍馬の側に寄り、軍馬がもらった木桶に入っている水をちゃっかりと飲んでいた。
 木桶に顔を突っ込まれたコトで、軍馬はしょうがないという表情を浮かべて一歩さがっている。

 その姿を見て、リアは溜め息を吐き、ルリが念話で話しかけて来る。

 『リア、買い物に行く前に、ナナのお乳を搾ってやりな……また、乳房がパンパンになっているよ……本当に、ナナはリア達と出合ってから、いい加減になったものだねぇ…はぁ~…あのくらいの子供達が居たら、それはもう狂暴になっているもんなんだけどねぇ……安全安心なところに子供達をおいておけて、美味しいご飯を満足するまで食べられたら、子育て中のウクダでも、ああなちまうのかねぇ………』

 ルリの念話で、リアはナナの乳房へと視線を向けて溜め息を吐く。

 あらあら……確かに、もの凄くプリンプリンに張っているわ
 好奇心旺盛なナナは、そっちに意識が向いちゃってたのねぇ
 これは、壷四つかなぁ? 取り敢えず、搾ってあげないとダメね

 「はぁ~…ナナ…戻っておいで…お乳が張っているじゃない…それじゃぁ痛いでしょ…今日の分を搾っちゃっておきましょう……ご褒美は、砕け麦かしらねぇ~……」

 そんなリアに、何時の間にか側に来たグレンが首を振る。

 「リア…その…もう…大麦も小麦も終わっているみたいだ……取り敢えず、残った干し肉か干し果物か………その…冒険者用の非常食(ある程度腹持ちするけど、とにかく不味い)くらいしか残ってない」

 言外に、調理済みのモノ以外は、その程度しか材料となるモノが無いコトを告げるグレンに、リアはびっくりする。

 やだ…そう言えば、作るだけ作ったけど…材料の残りを確認していなかったわ
 もしかして、ここで商人が居たのって、もの凄くラッキーなコトかもしれないわね
 だって、入っていた塩も香辛料も、そんなに多くなかったのよねぇ~……

 今考えると、あの塩や香辛料って、私の分しかなかったのかもしれない
 奴隷(グレンやユナ)や従魔(ルリやレオ)の分までは、考えられていなかった可能性あるわね
 それに、時空神様にお供えしたり、ナナやクインとその仲間達の分なんて考慮外だものね

 支配下にあるモノ(奴隷や従魔)や、後から仲間となったモノ達の分など無いコトに初めて気付いたリアは、首を振る。

 いや、だったら、多少高くても、ここで買えば良いのよねぇ~………
 あれを見ると、ちゃんとここでも行商しているようだし……
 取り敢えず、お金の代わりの魔石はあるしねぇ~……

 なんなら、サンドウルフの毛皮なんかもかなりあるし、牙もあるもの
 こういうところって…ラノベだと物々交換なんかもありだったはずだしね
 じゃなくて、取り敢えずは、ナナのお乳を搾るしかないね

 そう言う会話をしている間に、ソッとルリは馬車へと戻り、人型になってフード付きマントをかぶり、馬車中に置いてあった空の壷を持って出て来る。

 「リア、壷は二つで良いかい? 一応、四つまでなら用意できるよ」

 ルリが壷を用意する間に、グレンは座って搾れるようにと、何時もの木箱を用意して居た。
 勿論、日差しが強いので、馬車の影に入って、リアはたったと何時もの調子でナナのお乳を搾り始める。

 そう、魔法でナナの乳房を優しく洗い、やはりグレンが用意した木桶に、洗い水(すこし温かい)を捨てる。
 グレンは、その捨て水を、軍馬達四頭に与えた。
 勿論、ナナに水を勝手に飲まれた軍馬へと多めに与えたコトは言うまでもない。

 あらあら……やっぱりかなり張っていただけあるわねぇ………
 大丈夫だとは思うけど、最初の少しは子供に飲ませられないわねぇ
 これは、勿体無いからクインとアクアにおすそ分けしちゃいましょう

 リアはナナのお乳の最初の方、コップ一杯程度ずつを、クインとアクアに差し出す。
 勿論、横着って水球(お乳の玉)にして、鼻先へと浮かべる。

 「クイン、アクア、飲んでみて…ナナのお乳は美味しいのよ」

 『『マスター、ありがとうございます』』

 クインとアクアは、ソッと水球(お乳の玉)を吸い込み、久しく飲んでなかった懐かしい味にうっとりする。

 「ふふふふ………美味しいでしょう…だから、ナナを守ってあげてね…クインやアクアみたいに、爪も牙もないから…ね」

 リアの言葉に、ナナの濃厚なお乳を味わった二頭は嬉しそうに、ウォンっと鳴く。

 『『はい』』

 そんな会話をしている間にも、リアは壷にナナのお乳を搾る。
 あっという間に四つの壷を満タンにしたナナは、お乳の張りによる痛みが無くなったコトで、ご機嫌のダンスを踊っていたりする。

 搾ってと要求していないだけで、やはり張った痛みはあるようだった。
 ただし、楽しいとソレ(お乳の張り)を忘れて、色々なコトに熱中してしまうのもナナだったりする。









しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

処理中です...