悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
115 / 173

0114★予想以上に古い施設と古代遺跡だったようです

しおりを挟む

 リアは自分の体重が減っているコトに喜び、にへらぁ~っとして思い付く。

 もしかして、攻撃魔法とかで魔力を消費しなくても、使えば体重って減るの?
 ここは物は試しで、この監視施設?らしい場所に魔力を使ってみましょう
 いいのよ、ちょっとずつでも減ってくれればね

 魔力枯渇までやると、ユナやルリにグレンも、心配するからやらないけどね
 それに、培養ポッドの中の変異型のエルフ? も育ててみたいしね
 逃げたいけど、ヒロイン枠に入っちゃっているなら、たぶん逃げられないし

 なら、その時が来たら対決できるぐらいの力を身に付けておかないとね
 そして、何よりも、そういう時に適用される不文律に乗っ取って磨かないとね
 そう、美しいは強いってアレよ

 筋肉は裏切らないと同等以上の、美しいモノほど強いという不変の法則
 魔物や妖魔、悪魔とか、精霊王なんかも、美しいほどその存在が強いのよ
 それを考えると、確かにルリなんかは最強の一角よねぇ………

 いや、マジで妖艶系の美女だもん
 ユナにしたって、美幼女よ、間違いなく
 グレンはグレンで、人族の中ではかなり強いわよね、イッケメンだしイケボだもの

 その主人である私が、こんな姿はいただけないわ
 だから、私も私自身として、磨かないとね
 外見もそうだけど、魔法とかの力もね

 そんなコトを考えながら、リアはまず手じかにある培養ポッドに向かう。
 そんなリアに、三人は周囲を警戒しながらついて歩く。
 リアが、何やら考えて行動しているのを見て取り、黙ってその行動を見守っているのだ。
 なによりも、今の三人にとって、リアは絶対に失えない主となっていたので、常に警戒を解かないのだ。

 リアは培養ポッドの中に浮かぶ、まだ見た目が幼い翼持ちのエルフを見上げる。

 ふむ……この培養ポッドの液体は羊水のような役割をしているようね
 アニメやマンガなんかに描かれているモノと似たような構造なのかしらね
 取り敢えず、今、この培養ポッドに必要なモノは何かしら?

 そう思っても、第三の瞳は既に閉じているらしく、何もそういう意味では視えなかった。

 ああ…残念だわぁ~……もう閉じちゃっているのね……何も視えないなぁ
 第三の瞳を自分の意思で活用できるようになると便利なのに……はぁ~……
 となると、前世の小説やアニメやマンガの知識で行くしかないわね

 リアは培養ポッドの強化ガラスのようなモノに両手を付けて、少しだけ魔力を流してみる。

 これで、何か反応あるかしら?
 何が内容を表わすパネルのとか、この透明なガラス?に浮かんでくれればなぁ
 この培養ポッドに必要なモノとか判ればいいのに………

 そんなことを考えながら、リアは少しずつ中に浮かぶ翼を持つ幼い変異型エルフの様子を窺う。
 しばらくすると、リアの流す魔力に反応し、本当に培養液を包む円柱のガラス面に色々なモノが浮かぶ。

 え~と……はぁ~……ラノベあるあるは通用しないかぁ~………読めない(涙)
 この世界の文字…アゼリア王国や周辺国の文字は習ったから知っているけど
 残念ながら、知らない文字だわ………って、文字だよね、浮かび上がったコレ

 浮かび上がったモノは、リアの知る文字では無かったので、ガックリと肩を落とす。
 そう、そこに浮かび上がったモノは、ミミズがのたうったような、どこか見た目がかなり崩れたアラビア語のようなモノだったのだ。

 あっ……ルリって長く生きているっぽい言動していたから、もしかして読めるかな?

 それから、ハタッとそのコトに気付き、ルリを振り返る。

 「ルリ、コレって読める?」

 リアに聞かれて、周囲を警戒していたルリが振り返る。

 「うん? どれ………って……う~ん…かなりの古代語……いや神代語とか呼ばれる類いじゃないかねぇ……アタシでも…ようやっと、単語がいくつか判るくらいだよ」

 ルリの言葉に、グレンも興味を示して、リアが指さした部分を見る。

 「あぁ~……俺も読めない文字? 文字だよな……こんな古代語あるんだ……いや神代語ってこういうモンなのか……へぇ~……」

 そんな会話に、ルリが眉をひそめる。

 「たぶんだけど…ここの部分の単語が……世界樹の葉だと思う……こっちが、魔晶石かな? あくまでもたぶんだけどね……どうやら、材料が足りなくて時空停止が掛けられたみたいだね」

 う~…ん………そりゃ~…世界樹は枯れちゃったあげくに穢れているものねぇ
 その上で根っこ呪根(じゅこん)と化して、龍帝陛下を拘束封印していたし
 って、この施設って何時のモノなの? 古いだろうとは思ったけど……

 だいたい、私が龍帝陛下のことを知っているのは、前世の乙女ゲームのお陰だし
 もう、この世界ではその存在すら、どこにも残ってなさそうなのよねぇ
 ここもだけど、奥にある古代遺跡って、もしかして陽の妖精王が殺された頃のモノなのかしら?

 となると、俗に言う先史文明とか言う、忘れ去られた時代のモノだったりするの?
 それだと、ルリが読めないっていうのも判る気がするけど………
 あっ……いや、一応世界樹の葉……あるけどね

 ろくに読めない状態で、これに手を加えるのは不味いわよねぇ
 取り敢えず、魔力を流しても大丈夫か聞いてみようかな?
 それで現状を取り敢えず維持できたら良いなぁ……

 「ねぇルリ、魔力をもう少し流して置いたほうが良いかな?」

 リアの言葉に、ちょっと考えてからルリは答える。

 「成長はしないかもだけど、リアがこの培養ポッドの魔力を溜める部分に、めいっぱい注入するなら、現状維持で軽く十年くらいは持つよ」

 ルリの答えに、リアは小首を傾げて不思議そうに言う。

 「めいっぱい入れて十年くらい持つんだ………って、いままでどうしていたのかな?」

 リアの疑問に、ルリは肩を竦めて言う。

 「たぶんだけどね………この洞窟の奥の古代遺跡と同様、時空が封印されていたんじゃないかねぇ……それで、材料が足りなくなって、取りに出かけて、ここに帰って来れなかったってところじゃないかねぇ………」

 あくまでも推測だよと前置きして、ルリは言葉を続ける。

 「アタシでも読めない単語がいくつもあるけど、たぶん薬草だとか、今は忘れ果てられた、魔草(まそう)や神草(しんそう)とか言われるの植物の葉や種子だろう記述がここにズラッと書かれているからね」

 そのルリの言葉に、リアはちょっと考える。

 ちっちゃな精霊→精霊→妖精→色々な種族に分岐→そのひとつがハイエルフ族
 ラノベにそういうのあった気がするんだけど………もしかして、ソレなのかな?
 人為的に、ハイエルフのような種を作ろうとしたってコト?

 そう言えば、ちっちゃな精霊って、世界樹から生れた光りがだんだん成長して生れるって設定もあったような気が………
 浮遊する命の根源の光りが、だんだんと意思を得て妖精に形成されて行くんだっけ?
 もしかして、それをやろうとして、世界樹の葉が必要だったのかな?
 
 ここで第三の瞳が開いてくれたら、もっと詳しく視れたのかなぁ?
 まぁ視れないのはしょうがないね……取り敢えず、魔力をもう少し流してみよう
 それで現状維持が出来るなら、私の事情がちゃんと済んだらもう一回チャレンジしても良いしね

 リアは自分に頷いて、取り敢えず、まだかろうじて稼働しているらしい全ての培養ポッドに魔力をひたすらに流し続けた。

 リアのせっかく生命を形成しているのだから、出来る限りはしてあげたいという意思に、ルリとグレンは肩を竦める。

 ユナはというと、とにかく培養ポッドのガラス面に浮いた文字らしきモノを、ただひたすらに見つめ続けていたのは確かな事実だった。

 ちなみに、もしかして読める?と聞いたら、読めないと答えたユナだった。
 それでも、リアの役に立ちたいという思いから、必死で文字を読み取ろうとしているユナだった。









 

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

称号は神を土下座させた男。

春志乃
ファンタジー
「真尋くん! その人、そんなんだけど一応神様だよ! 偉い人なんだよ!」 「知るか。俺は常識を持ち合わせないクズにかける慈悲を持ち合わせてない。それにどうやら俺は死んだらしいのだから、刑務所も警察も法も無い。今ここでこいつを殺そうが生かそうが俺の自由だ。あいつが居ないなら地獄に落ちても同じだ。なあ、そうだろう? ティーンクトゥス」 「す、す、す、す、す、すみませんでしたあぁあああああああ!」 これは、馬鹿だけど憎み切れない神様ティーンクトゥスの為に剣と魔法、そして魔獣たちの息づくアーテル王国でチートが過ぎる男子高校生・水無月真尋が無自覚チートの親友・鈴木一路と共に神様の為と言いながら好き勝手に生きていく物語。 主人公は一途に幼馴染(女性)を想い続けます。話はゆっくり進んでいきます。 ※教会、神父、などが出てきますが実在するものとは一切関係ありません。 ※対応できない可能性がありますので、誤字脱字報告は不要です。 ※無断転載は厳に禁じます

公爵家次男はちょっと変わりモノ? ~ここは乙女ゲームの世界だから、デブなら婚約破棄されると思っていました~

松原 透
ファンタジー
異世界に転生した俺は、婚約破棄をされるため誰も成し得なかったデブに進化する。 なぜそんな事になったのか……目が覚めると、ローバン公爵家次男のアレスという少年の姿に変わっていた。 生まれ変わったことで、異世界を満喫していた俺は冒険者に憧れる。訓練中に、魔獣に襲われていたミーアを助けることになったが……。 しかし俺は、失敗をしてしまう。責任を取らされる形で、ミーアを婚約者として迎え入れることになった。その婚約者に奇妙な違和感を感じていた。 二人である場所へと行ったことで、この異世界が乙女ゲームだったことを理解した。 婚約破棄されるためのデブとなり、陰ながらミーアを守るため奮闘する日々が始まる……はずだった。 カクヨム様 小説家になろう様でも掲載してます。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

処理中です...