悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0086★お味はいかが?

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 セシリアはルリがしゃがみ込んでいる間に、別の肉の塊りを出して、風の魔法でサイコロステーキに適した形状に切り刻む。
 ついでに、端肉をミンチにして、ハンバーグ用も作ってしまう。

 んふふふぅ~………ハンバーグも食べたかったのよねぇ……って
 もしかして、人数分作ったほうが良いかしら?
 時空神様へのお供えにも用意しといた方が良いわよね

 セシリアはもう一塊、腕輪型のアイテムボックスから肉を取り出して、ヒョイッと放り投げて、風の魔法を使う。

 少し余分に作って、遺跡探検の時の携帯食にしておきましょう
 干し肉だけって、結構キツイものね
 ああ…でも、こういうのって楽しいわぁ~

 風の魔法で浮かしたまま、調味料を次々と放り込み、名前は不明だが、ニンニクのようなモノや生姜に似たモノをポイポイと混ぜて行く。
 勿論、タマネギと良く似たモノも、木箱の底の方に存在していたので、それも取り出して刻んで混ぜ込んで行く。

 同時に、その隣りではスラスラしたニンニクもどきと共に、サイコロステーキをひょいひょいと焼き転がしては、腕輪型のアイテムボックスに収納していく。

 色々な材料を混ぜたそこに、パン粉に卵の実も混ぜてコネコネしたミンチ肉の塊りをハンバーグ型に形成して、ジュワジュワと焼いて行く。
 勿論、ちゃんとフライパンで両面を焼くイメージで焼いているので、ちょっと濃い目のキツネ色に焼き上げては、こちらも腕輪型のアイテムボックスに収納する。

 取り出した分の肉を全て処理し終えた頃には、ルリとグレンでジャンボモアの全身の羽毛が毟られ、内臓も掻き出された状態になっていた。
 が、セシリアはジャンボモアの肉を調理する気分じゃなかったので、丸鶏状態にされたジャンボモアをそのまま腕輪型のアイテムボックスに収納してしまう。
 ちなみに、最大級だというジャンボモアは、3羽いたのは確かな事実だった。

 「さて、ルリも帰って来たコトだし………取り敢えず、ちょっと休憩したらまた探索しましょう……ということで、頑張ったルリにご褒美ね」

 そう言って、ローストビーフもどきを腕輪型のアイテムボックスから取り出し、氷の魔法で少し冷やした状態で風の魔法でスラスイする。
 ソレを、やはり腕輪型のアイテムボックスから取り出した大振りの木皿にストトトトッと並べる。

 その様子を見ていたユナが、ひと際大きな岩の影にテーブルと椅子をササッと用意して、何時の間にやら取り皿用の小皿とカトラリーを出していた。
 用意周到なユナに、セシリアはクスッと笑ってローストビーフを乗せた大振りの木皿をコトッと置く。
 勿論、時空神様へのおすそ分け分を取り分けて、小さな小皿に事前に作ったオリジナルソースを3種類ほど添えて、さっさとお祈りを済ませる。

 どうも、時空神様ったら、暇を持て余しているのか、私を見ているみたいなのよねぇ
 捧げなかったらすねちゃいそうな感じなのよねぇ
 なにせ、ナナに盗られたフレンチトーストの一切れで何度も頑張っていたし

 そんなコトを思いつつ、目の前でフッと消えたのを確認してから、セシリアはみんなに声をかける。

 「取り敢えず、味見してみてくれる? タレは醤油もどきの甘辛と、刻み薬草入りマヨと、さっぱりのドレッシング風酸味〔さんみ〕だよ…取り敢えず、食べたら感想を聞かせて欲しいな」

 そう言って、手を合わせていただきますを口にしてから、セシリアは自分用に用意した箸を手に取る。
 ちなみに、ユナは何時の間にか、セシリアを真似て箸を使えるようになっていた。

 もっか、ルリとグレンは練習中だったりする。
 が、どちらも負けず嫌いなので、かなり上手くなっているのは確かだったりする。

 さーて、お味ばどうかしら?
 まずは、一番定番っぽい醤油もどきの甘辛…………んぅ~……おいひぃ~……
 うん…かなり上手にできているわぁ~……はぁ~…しあわせぇ

 ふふふふ……ぱさぱさになって無いわ…しっとりで美味しい
 火が通り過ぎたりしてない、ちょうど良い感じだわぁ~……
 次は、ドレッシング風………うん…ちょっとすっぱかったかしら?

 予想より酸味が強かったので、思わず瞳をぱちくりとさせながら、セシリアはローストビーフを楽しむ。

 まぁ…ドレッシング風は酸味が強めだけど、これはこれで美味しいわね
 さて、それじゃぁ~…刻み薬草マヨネーズ………あら、これもイケるわね
 お試しで作ってみたけど、どれもいけたわ

 予想以上に上手に出来ていたコトで、セシリアは思わずニコニコしてしまう。
 その間にも、食べたことの無い、肉の味に、ルリとグレンは慣れない手つきで箸を使って、一生懸命に口に運んでいた。

 そんな2人とは違い、セシリアの箸使いを上手く模倣できたユナは、わりと優雅にローストビーフを堪能していた。

 「うふふふ………どうかしら? これがローストビーフってやつなのよ……まぁ…もどきだけどね……本当はウシさんの赤身のお肉で作るモノなのよねぇ……コレは魔獣のお肉で作ったモノだけどね……でも上手くできたと思うの」

 無意識で、頬に手を添えてそういうセシリアに、ユナがにこにこしながら感想を口にする。

 「リアお姉ちゃん、このお肉とても美味しいよぉ~…ユナは、この刻み薬草マヨネーズが一番すきぃ~……すっぱいのも、甘辛も美味しいけど…一番はコレぇ~…」

 と、言いながら上手に刻み薬草マヨネーズをローストビーフにちょこっんと乗せて食べていた。

 「俺は、このドレッシング風ってのがイケたな…酸味が良い感じで美味い」

 グレンも、楽しそうに酸味〔さんみ〕の果汁で作ったタレにつけて、嬉しそうに頬張っていた。

 「うん、ローストビーフってヤツは美味しいねぇ~……アタシは甘辛が一番好みかな……刻み薬草マヨネーズも捨てがたいが、甘辛が一番だね」

 それぞれが感想を口にするのを聞きながら、セシリアはしあわせを感じていた。

 ああ…本当に……こういうのってイイわぁ~……
 人目を気にせず、自由にお外で軽食なんて最高ね
 それにしても、グレンは疲労しているけど、無自覚みたいね

 たしか、酸味を好むのって疲労している時とか身体が不調の時だったはず
 まぁ…前世での知識だけど……こちらでもあまり変わらないと思うのよね
 はぁ~…でも、しょうがないかもしれないわね

 内心で肩を竦め、御者をまかせっきりにしていたコトを反省する。
 が、今のところ、そういう意味では、グレンが一番使いやすいので、気付かないふりをするコトにしたセシリアだった。

 あっという間に、ローストビーフを食べ終えると、ユナがセシリアを見ておねだりする。

 「リアお姉ちゃん……あのサイコロステーキ、ちょびっと食べたい」

 同じように焼いていたのを見ていたグレンも、ちょっと食べたそうな表情で、無意識に箸をカジカジしながらセシリアを見詰める。

 あうっ……イッケメンのそういう上目遣い……キツイ…です
 でも、大人で男だから、おねだりの言葉を口に出来ないってコトですね
 ルリの方は、ねだって良いものかという顔で、ちょっと考え中ですか…大人ですね

 3人ともに物足りないという表情をしているので、セシリアはクスッと笑う。
 そして、チラリと3人の体型を見れば、全員がスラッとしているというが、ガリガリじゃないだけという体型だった。
 なので、こころを決めたセシリアは腕輪型のアイテムボックスにしまった料理を出すコトにした。
 
 そうね、私はダイエット……って、ことでひとつずつ味見を楽しみましょう
 食べる量を減らせば、減量できるはずだしね
 3人には、ちゃんとした食べたっけある量を出して上げましょう

 セシリアは、3時のオヤツというコトにして、サイコロステーキとソーセージにポテトフライをコトコトと出して上げたコトは言うまでもない。
 当然、内心ではちょっと別のコトを考えていたセシリアであったコトは言うまでもない。

 そして、時空神様へのおすそ分けも、忘れないセシリアであったのは確かな事実だった。









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