悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0075★周辺の探索をしよう

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 ルリとグレンが姿見の魔道具の中を確認して、大丈夫だったというコトで、まずは子ウクダちゃん達とレオとグリを連れて入った。
 母ウクダは、なぜかセシリアの後をついて回るので、そのままでいいだろうというコトになった。

 「さて、心配の元となる子供達は、魔道具の姿見の中に入れたコトだし、馬車と軍馬達はどうする? 取り敢えず、昨日姿見の魔道具を見付けた場所をもう一度確認するんだろう?」

 ルリの言葉に、セシリアもまだろくに見て歩いていないので頷く。

 「うん、そのつもりだよ…運動しないと痩せないしね…筋肉も付けたいし……」

 宝箱から出たフード付きマントを纏っているセシリアに、グレンが注意する。

 「なら、ブーツも魔道具の方にした方が良いと思うぞ。その編み上げブーツ、普通の初心者冒険者用のだろ……なにがあるかわからないから、安全とって替えた方が良い」

 グレンの注意に、普通の編み上げブーツを履いていたセシリアは、納得して頷く。

 「そうだね…昨日も……姿見の中に入っちゃったしね…ちゃんと、履き替えるよ」

 そう言って、セシリアは宝箱から出た妖精のブーツへと履き替える。

 あははは………流石、魔法付与されている魔道具だよねぇ~……
 足が軽く感じるし、編み上げブーツ特有の微妙な拘束感が無くなる
 流石に、墫のような身体だからね、少しでも機動力が揚がるのは良いコトだわ

 なんとなく、軽く踵をトントンとしてみると、足元に魔法陣が浮き上がる。

 「えっ? コレって……こういう魔法も付与されていたんだぁ~……」

 フワッと全身がなにかに包み込まれたような感覚を感じると同時に、更に身体が軽く感じて、セシリアはビックリする。

 「リア、そのブーツって魔道具屋で買ったモンじゃないだろう? もしかして、宝箱から出たヤツか?」

 グレンの問いかけに、セシリアはコクッ頷く。

 「うん…ほら、グレンやルリ達と出合ったロマリス王国の出来たばかりの『ダンジョン』の宝箱から出たモノなんだぁ」

 いや、本当は、その前にある超古代遺跡の『ダンジョン』から出たモノだけどね
 いくつかある古代遺跡からの転移でしか入れないってコトになっている遺跡ね
 突入メンバーによって、出現する敵が変わるっていう厄介な超古代遺跡

 セシリアは、前世の乙女ゲームの知識のお陰で、難なく通過して来た幻扱いの超古代遺跡の中でのコトを思い出す。

 アレは、出現した蟻地獄の底から流れる流砂に乗って入れる特殊な超古代遺跡だからね
 ちゃんと、蟻地獄の開いた顎をかわして、その底へと潜らないと入れないんだよね
 その条件を満たさないと、敵なしで入れない『ダンジョン』なんだよねぇ

 点在する古代遺跡の転移場所から入ると、魔物がわんさか居るんだよねぇ
 なんど、全滅したコトか……妹が課金しまくっていたなぁ~……
 もう…顔さえもわからないけれど………

 そんな顔もおぼろげな妹に対しては、家族としての情をちゃんと感じるのに
 産みの母親とか祖母や、乳母とかのコトは綺麗さっぱり記憶がないのよねぇ
 本当に、復元不可能になったパソコンのデーターのようだわ

 じゃなくて、今は探検よ……せっかく、自由になったんだもん
 私の色と姿をベースに探されたら困るから、さっさと痩せましょう
 食べる量が普通になり、活動的に動けば、自然と痩せれるはずだしね

 そんなセシリアの様子に気付かないグレンは、買い与えられた装備の確認をして頷いていた。

 はぁ~…グレンってイッケメンよねぇ~……
 燃え上がるような長髪が風に靡く姿に、目を奪われちゃうわぁ~
 いったい、何があって奴隷堕ちしたのかしらねぇ……聞かないけど

 奴隷堕ちしたあげくに呪術師の実験体にされていたんだから………
 誰だって、元の出自なんて話したくないわよねぇ……その気持ちわかるし
 私だって、記憶が綺麗さっぱり無い部分あるしね

 横を見れば、ルリも何時の間にか剣を両腰に刺している。

 あれっ? あんな装備あったかなぁ? どっかで見付けてきたのかな?
 まいっかぁ……ルリもどこぞの森の主かなにかだったみたいだし
 そう言えば、文字化けしていて見えなかったのよねぇ……

 そんなコトを考えつつ、セシリアは宝箱から出た杖を取り出す。

 そしてセシリアは、そのコトを思い出す。
 面倒がって、宝箱を開けずに腕輪型のアイテムボックスに中身も見ずに収納したモノがいくつもあるコトを。

 あっ…後で、まんま放り込んだ宝箱も確認しないとなぁ
 ロマリス王国の『ダンジョン』で出現した宝箱をしまったままだわ
 そう言えば、蓋すら開けて無かったわ

 この腕輪型のアイテムボックスって収納に制限がないみたいだから
 ついつい、横着して放り込んだままだったわぁ
 いったい、いくつの宝箱があるかしら……記憶が……

 まぁ…それはあとで確認かな
 取り敢えず、この杖は祝福の杖らしいから………
 この祝福の杖を使って、防護力を上げておきましょうか

 魔法の呪文は……前世の知識通りで良いのかな?
 中二病臭いの唱えるのは恥ずかしいから、無詠唱でしょ
 何より、魔法は想像力が重要なんだよね

 ラノベと乙女ゲーム知識でなんとかなるでしょう……たぶん
 取り敢えず、スライムみたいに物理無効に魔法無効は必須よね
 あとは、状態異常無効もかな?

 そんなコトを考えながら、セシリアは手にした祝福の杖を両手で掲げて時空神様に祈りを捧げながら、仲間達への祝福をかけるのだった。
 声を出さずに祝福したが、かけられた3人はびっくりした表情になる。

 うん…ちゃんとかかったみたいね
 私自身も、ちゃんと魔法がかかったの感じたし
 あとは、持続時間の確認だね

 「リア」

 代表して、グレンがセシリアへと声をかける。

 「うん…取り敢えず、物理無効に魔法無効に状態異常無効っていうのかけてみたよ」

 上手くかけられたコトにホッとして言えば、ルリが呆れたように言う。

 「リア、無駄に魔力を使うのは良くないよ」

 そんなおとな組みとは別に、ユナは目をお月様のようにまんまるくしながら言う。

 「リアお姉ちゃん…すごぉ~い……」

 キラキラした瞳で言うユナに、リアは肩を竦めて言う。

 「実は、初めてなんだよねぇ……どのぐらいの時間、効果あるかも確認しないとだから、安全な場所で…安全な状態の今、確認しておきたかったんだ」

 セシリアの言葉に、なるほどと頷いたグレンとルリは、ならしょうがないかという表情で軽く肩を竦めて頷くにとどめた。
 グレンとルリの様子に、ちょっと内心でホッとしつつ、セシリアは楽しそうに言う。
 
 「それじゃぁ~…昨日、あの姿見の魔道具があった場所周辺を軽く探検しよう………あっ…魔法効果が切れたら教えてね……あえて、隠蔽とかはかけてないから……」

 「「「了解」」」








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