悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0070★その頃のアゼリア王国11 大神官長の回想と小さな後悔

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 強い睡魔に負けて、寝落ちしたはずなんだけど………
 時空神様が、まだ、大神官長編の続きを観せてくれるようですね
 きっとコレ(=アゼリア国のその後)には、意味があるのでしょうねぇ

 まぁ意味が無くても、大衆娯楽てきな楽しさはありますけどね
 できれば、水晶とかに一部始終を封じ込めて、暇な時にゆっくりと楽しみたいなぁ
 記憶を写し撮ってとって置くような魔道具ってないのかしらねぇ?

 などど、セシリアがほけほけと思っている視線の先では、大神官長が懊悩しながら祭壇の前で、懺悔のようなコトをしていた。

 嗚呼……私達は、罪業を甘んじて受けましょう。
 王家の血筋を残す為に、何の罪もないセシリアに浄化の魔道具を身に付けさせた。
 本当は、セシリアが背負わなくて良いモノだったコトを見て見ぬフリをしたコト。

 それに、セシリアが醜く太っていった原因は、私達神官にあるのも確かな事実。
 幼い身で魔道具を身に付けて、浄化をするセシリアに対して、王妃はろくでもない食事しか与えなかった。

 まったく、浄化をする者達は、出来るだけ聖別した食物を食べて、体内に負を入れないようにしなければならないと、自分自身で知っているはずなのに………。
 あの王妃は、事も有ろうに、城内にある騎士達の食堂で出る食事の残りを、セシリアに与えていたのだから……信じられんコトをしおる。

 それも従騎士や見習い騎士達の食欲を満たす、質より量の食事の残り………ありえない。
 残り物ばかりの残飯のような食事だけに、栄養バランスも良くないモノだった。

 お茶の時間に出される紅茶も、飲めれば良いという雑な従騎士や見習い達用の紅茶。
 付け合せのお菓子も、従騎士や見習い達のもの。

 セシリアの食事は、これでは体内に余計な負が溜まる一方というような、問題ありのモノばかりだった。
 聖別されていない為に、微量とはいえ負が含まれるモノがセシリアの日常の食事だと知った時の驚きと怒りは今も忘れられない。

 負を浄化しないで体内に取り入れると、疲れが溜まりやすくなるというのに………。

 そこで、私達は、丁寧に浄化し聖別した食品で作った食事をセシリアに与えるコトにした。
 少しでも成長期の身体の負担を減らし、浄化の補助になるようにと考えて用意した。

 勿論、お茶の時間には周りの文官達や騎士達の意識を操作して、きちんとした紅茶とお菓子を与えた。
 ただ、そこでひとつ問題があった。

 セシリアが、体に良くて美味しい食事をしているとなれば、王妃に与えられた食事をとらなくなると思ったのだ。
 美味しいモノを食べて満たされれば、質より量の残飯など食べたいと思わないだろう。

 そこで私達神官は、食事をなぜとらなくなったかと調べられると不味いと思い、美味しい食事とお菓子を食べた記憶を、セシリアに残らないようにした。
 勿論、身体に負担が掛からないように、食欲増進の薬と消化増進の胃腸薬もセシリアに与えた。

 その結果、太ってしまったのは仕方が無いと見ないコトにした。
 当然、負荷がかかるコトを考慮し、心臓や血圧などの体内の不調を正す治癒は毎日丁寧に掛けたのは確かだ。

 ただ、太っていくセシリアに対する、エイダン王子の酷いこころをえぐる発言は、一段と多くなった。
 セシリアが色彩を失い始めると王妃は、セシリアを人前に出来るだけ出さなくなった。
 お茶会も、ギリギリ必要なとき以外は出さなくなった。

 エイダン王子が愛する相手を見つけるという、我が儘な望みを叶える為なのか?と思い観察していると………。
 呆れる原因があった。

 王妃は自分が欲しい宝飾品を買うという欲望を持ち、王太子の婚約者としてのセシリアの予算を横領する為に、人前に出さなくなったのだった。
 セシリアが醜くなれば、その醜さに誰もドレスや宝飾品に目がいかなくなるからと………。

 ドレスは、エイダン王子の色であれば、質も柄も貴族の女性が着るモノとして最低のモノにした。
 宝飾品は、王家に伝わる浄化を司るモノで、エイダン王子の色であれば良いと………新しいモノは一切作らなかった。

 食事は、平民よりマシな程度というか残り物なのでただ同然。
 ドレスは、城内に勤める騎士達や文官達や侍女達やメイドなどの制服を補修する部門のお針子達に、わざわざ一番安い売れ残りの柄物の生地を買わせて縫わせた。

 宝飾品は一切買わないし作らせない。
 これでは、予算の5パーセントも使わない。

 要するに、セシリアの対面を保つ為の予算は、王妃の欲望を叶える為にほぼすべて使われた。
 見事なまでの堕落だった。

 その事実を確認して、私達はこころから思った。
 これで、間違いなく王妃は切り捨てられる。

 また、エイダン王子は、ガウェイ王の教育を聞いたフリですべて終わらせていた。
 その為に、王太子としての教養はまったく無い。

 また、執務能力はセシリアにすべて押し付けていたので、経験も努力もしていないのでまったく無い。
 己の欲望を満たすコトだけをしていたので、浄化能力は王族としての最低ラインにすら届かない。

 魔力量は王族としてギリギリだった。
 まさに、ごくつぶしのクズ王子になりはてていた。

 これなら、流石に優しいガウェイ王も、何の憂いも無く二人を切り捨てられると、我々はほくそ笑んでいた。
 ついでに、あの王妃の実家も潰せる。

 王妃でありながら、ここまで酷い横領をするモノを排出したのだからという大義名分も出来た。
 ついでに、ハイドランジア女公爵が、セシリアを連れて来た時の様子で、何かあったのは確実だと思い我々は調べた。
 結果は呆れるほどにおぞましかった。












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