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0062★お母さんウクダは、リアだけに懐いたようです
しおりを挟むセシリアがちゃんとフライパンに獣脂を引いて、卵液に潜らせたピカタをジュウジュウと焼いていると、ルリとグレンが戻って来る。
「捌き終わったよ、リア…一応、小腸と大腸だけ、この小さい壷に入れといたよ」
ルリの言葉に、ピカタを焼き上げたセシリアは、ささっと焼いたピタカを一度、腕輪型アイテムボックスにフライパンごと放り込み、指さされた壷を覗き込む。
「うわぁ~…嬉しい…これでソーセージ作れるわぁ…ありがとう、ルリ…グレンもお疲れ様……」
そう言ってグレンを見れば、その腕の中にはお腹をポンポコリンにした、レオとグリが既に眠っていた。
「ああ、どうせだからて、レオとグリには、先に内臓を食べさせた。そしたら、直ぐに眠っちまったから、馬車ン中に入れて来るな」
「うん、よろしく」
セシリアの言葉に頷き、グレンは腕の中のレオとグリを寝かせる為に、たったと馬車へと向かう。
残ったルリが、テーブルに並べられている料理を興味深そうに見ながら言う。
「内臓は、できるだけ新鮮なうちに食べさせた方が良いからね……ああユナ、悪いけど、枝肉にした肉は、そのマジックポーチに入れておいてくれるかい」
「はぁ~い……直ぐに入れちゃうね」
ルリの言葉に、ユナは素直な返事をして、たったと切り分けられたお肉が置かれている場所へと向かう。
その後ろ姿を見ながら、セシリアは持って来てくれた、壷に入った小腸と大腸をそのまま、サッと腕輪型アイテムボックスにしまい込みながら、ルリに頼む。
「ルリ、悪いけど時空神様のお供えするの手伝ってくれる…目を離すと、お母さんウクダちゃんが、つまみ食いするのよ」
「あははは…そりゃ~困るね……そんじゃ…ちゃっちゃとお供えしちゃおうか」
2人で、時空神様用に、お供え用にするモノをお盆に乗せて、グレンが設置したテーブルへと運び、テンテンと乗せて行く。
「リア、この空のお皿は?」
「うん…それには、ピタカを乗せるの……今、出すね」
と、まだ何も乗っていない皿に、腕輪型アイテムボックスからフライパンを取り出し、焼き立てのピタカを2枚取り出して、食べやすいようにサクサクと切って乗せる。
そして、マヨネーズもどきと、そのマヨネーズもどきに醤油モドキを混ぜて作ったマヨ醤を、ささっと砂漠桑〔さばくそう〕に乗せてピタカ添える。
本当は、ケチャップとかオーロラソースが有ったらよかったんだけどなぁ
まだ、この世界の食材になるモノが全然わからないんだよねぇ………
幸いなのは、前世のモノと似ているモノが多いコトかな
いっそ、ケチャップとかも宝箱から出てくれたら良いのになぁ~…はぁ~……
まっ…そんな都合の良いコトなんて無いよねぇ~……
どうせなら、ネットショッピングとかのチートあったらよかったなぁ
そしたら、こっちで稼いで、前世の世界の商品買って暮らせたのに………
ああ…ジャージが恋しい……下着だって履き心地が違うし
洋服だって、XXLとかフリーサイズとかいっぱいあったのになぁ
なにより、ダイエットの友になるモノがいっぱいあるんだよねぇ
横着して、置き換えとか、カロ〇ーメイトとかって手も使えたのにさぁ
こっちはそういうモノ無いから…あるのは冒険者用非常食〔美味しくない〕だし
まぁ~…作って、アイテムボックスに入れておけば、何時でも食べられるけどね
腕輪型アイテムボックスもユナに渡したマジックポーチも時間停止してるみたいだし
夕飯の時は、ちょっと手間だけど小腸と大腸を綺麗に洗ってソーセージ作ろう
そんなコトを思いながら、最後に定番のぶどう酒を添えて、思わず手を合わせて跪き、お祈りしてしまう。
どうか、何事もなく無事に旅ができますように……
あと、ダイエットできますように……せめて、今の三割はおとしたい
じゃなくて、時空神様、よろしかったら、ご賞味ください
こころの中でお祈りをすませ、セシリアは立ち上がる。
と、セシリアは母ウクダの姿を探す。
あらあら…やっぱりぃ…時空神様へのお供えを狙っているのねぇ…困った子ねぇ
お母さんウクダちゃんってば、可愛いけど、神様の分をつまみ食いはダメよ
ここは、言葉にしてさっさと時空神様にお供えを回収してもらっちゃった方が良いかも
「時空神様、宜しかったら、温かいうちにご賞味ください」
そうセシリアが言うと、一瞬でお供えした料理の群れが消える。
それを見て、セシリアは最初からこうすれば良かったと思うのだった。
「さて、ルリ、私達も食べようか?グレンもユナも戻って来たし」
「そうだね……リアのご飯は美味しいから大好きだよ」
そう言いながら、セシリアはユナに声をかける。
「ユナぁ~…小麦粉振るって出た、砕き麦を出してあげてくれる……内臓が残っているなら、それもあげて欲しいんだけど……残ってる?」
と、ユナに言い、最後はルリとグレンに確認するようを振り返って聞く。
セシリアに聞かれたリアは、ルリとグレンは顔を見合わせてから、ルリが代表して答える。
「まだ、けっこう残っているよ。子供達用に、新しい獲物を獲ってくるから、やっちまって良いよ、ユナ」
ルリからの言葉に、ユナはマジックポーチからヒョイッっと砕き麦が入った壷と、内臓が入っている壷を取り出す。
「それじゃ、砕き麦と内臓、こっちの壷に分けて入れてくれる」
そう言いながら、セシリアは小ぶりの壷を出す。
「お母さんウクダちゃん、こっちで砕き麦と、内臓食べててねぇ………」
セシリアは、母ウクダを手招きし、2つの壷を指さして言う。
「お夕飯の時にも出してあげるから、お昼はこれだけね…この後も走るからね」
その言葉にコクコクと愛らしく頷き、セシリアのお腹辺りに顔をスリスリしてから、用意された砕き麦を食べ始める。
ちなみに、母ウクダがトテテテと近寄って来る前に、そそくさとグレンとルリはその場を離れ、昼食の用意されたテーブルに向かっていた。
臭いツバを飛ばされたくなくて、逃げたのだった。
ちなみに、ユナは少し離れて、セシリアが動くのを待っていた。
「それじゃ、私達も食べようか、ユナ」
「うん、リアお姉ちゃん…早く食べよう」
ルンルンのユナと手を繋ぎ、セシリアもルリとグレンの待つテーブに付く。
そして、大皿を出して、お供えの時に出してしまったフライパンを出して、焼き立てのピタカを乗せる。
ふんわりと広がる美味しそうな匂いに、お腹がクゥ~っと鳴る。
「それじゃ…いただきます」
「「「いただきます」」」
用意された、パンケーキにフレンチトースト、肉じゃがにポテトフライにジャガバター、ピタカにポテトサラダを、食べれそうな分だけ取り分けて、楽しそうに味わいながらたべるのだった。
ちなみに、作った全量の半分はちゃっかりとしまってあるセシリアだったりする。
何時でも、余裕で料理が作れるとは限らない為、作り置きのストックを着実にしているセシリアだった。
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