悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0054★親子ウクダ達は………

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 子ウクダ達が、ご機嫌でお乳を飲むのを見ながら、グレンがセシリアに確認する。

 「今日も、このまま大国ゼフィランス帝国へ向かう街道を進めば良いか?」

 「うん、そうしてくれる…大国ゼフィランス帝国へ向かう大街道から少し外れた、中街道に繋がる分岐が来たら教えて欲しいかな?小街道はパスで……」

 そう言いながら、セシリアは母ウクダから搾ったお乳の入った2つの壷を、腕輪型のアイテムボックスにしまう。

 「ああ…了解……それじゃあ、このまま大街道で真っ直ぐに大国ゼフィランス帝国に向かわないってコトで良いのかな?」

 「うん…国の庇護が無いような小さな村だと、物々交換もキツイだろうから、細く街道が整っていない小街道はさけた方が良いと思うのよ」

 「そうだな、食料は無限じゃないからなぁ……」

 「うん……ある程度の交易ができる街に寄らないと、食料が足りなくなると思うから…中街道が良いかなぁ……と、思ってね」

 セシリアの言葉に、ああという表情で頷く。

 「まぁ肉は、俺やルリで獲るってコトできても、香辛料や野菜類は無理だもんなぁ……」

 「グレンとルリがいるから、お肉類は心配していないわ……問題は、香辛料と穀物や野菜ね」
 
 「そうだな、それじゃそういう買い物が出来そうな町や街に続く、中街道の分岐になったら知らせるよ……取り敢えず、リアはゆっくりと休め」

 そう言って、グレンは、スッと何気なく、リアの頭を撫でて、色々と片付け始めるのだった。

 セシリアは、その何気ないグレンの行動に、頬が熱くなるのを感じて、内心で見悶える。

 あぅぅぅ~…イッケメンのグレンに、撫でられるってぇぇ…………
 スチルとしては、一緒なのが私じゃなければ、写メに残したくらいだわぁ~……

 前世の時は、そういう感覚が無かったのにぃ~………
 ああ…もう…恥ずかしいじゃないのよぉ……不味いわ…

 アレ(=グレン)は、遠くで鑑賞するモノなのよぉ~……ハアハア
 ああ…もう……私ってモブ……は、なんかムリそうな気がして来た……

 悪役令嬢じゃないかと思ってたんだけど…それもあやしい気が………
 ヒロイン枠だけは、カンベンして欲しいわねぇ……取り敢えず、逃げよう

 そんなコトを考えながら、あと始末などをユナに任せて、セシリアはヨロヨロと馬車の中に入って行くのだった。

 率先して御者を務めるグレンは、全員が馬車に乗り込み、忘れ物が無いコトを確認してから、出入りに使っていた後部の扉をバタンッと閉めてから、ゆっくりと馬車を動かす。

 一見元気まんさいに見えるセシリアが、実際には酷く疲れているコトを、ルリから聞いているので、グレンはかなり気を使って軍馬達を走らせ始めるのだった。

 ちなみに、グレンが、忘れ物は無いか?
 軍馬達は、走るのに大丈夫か?

 などと出発の確認している間に、母ウクダは足元に呼び寄せた子ウクダ達を、ひょいひょいひょいと、馬車にコッソリと乗せていたりする。

 自分は余裕でついて走れるが、幼い3匹は無理と判断しての行動だった。

 子ウクダ達は、害意が無いうえに、たっぷり食べて遊び疲れた後なので、物陰のかたすみに3匹で塊り、丸まって眠ってしまったコトで、気付く者はいなかったのだった。

 本来のウクダ達は、1頭産みが基本で、その1頭を群れで大事大事で育てるものなのだ。
 極稀に、2頭が生まれるコトがある程度だったりする。

 2頭生まれても、片方、へたをすれば、両方育つことなく亡くなるコトなどざらなのだ。
 その場合、少しでも生存率をあげる為に、大きい方を残し、小さい方が淘汰される。

 そんな種族の中で、3頭………それも、ほぼ同じ大きさ………生まれたコトで、他の1頭産みの母ウクダ達から、オマエの子は3頭とも育たないだろうと、淘汰されかかって逃げて来たところだったのだ。

 母ウクダは、自分達に優しくしてくれたセシリア達の庇護を逃したくなくて、行動を共にするコトを決意しての行動だった。

 そんなコトを知らないセシリア達一行は、取り敢えず、大国ゼフィランス帝国に向かう街道を軽やか走るのだった。

 母ウクダは、伴奏馬の斜め後ろについて、ルンルンで走る。

 子供達がちゃんとついてこれらるか?周囲に危険な魔獣その他は居ないか?今日はちゃんとご飯が食べられるか?などを気にすることがないので、ご機嫌なのだ。

 ちなみに、前方に注意していたグレンは、危険な気配を感じ無かったので、母ウクダが軽やかな足取りで、伴奏馬の後方についてきているコトに、次の休憩地まで気付かなかったコトは言うまでもない。

 伴奏馬の後方を母ウクダがついて来ているコトを知らないセシリアは、ちょっと溜め息を吐いていた。

 「はぁ~…あのおとなしい、お母さんウクダと子ウクダちゃん達……連れて行きたかったなぁ……」

 セシリアの言葉に、ルリが首を振る。

 「ウクダ達は、縄張り内を移動するだけだからねぇ……まず、縄張りから出ないし……無理すれば、群れで襲いかかってくるから……諦めなよ、リア」

 ルリの言葉に、肩を竦めて切なげに溜め息を吐く。

 「うん…本当は、理解っているよ…ウクダ達は、縄張り内から出ないから無理だって………」

 遠くに逃げなきゃって思うから……あの子達の縄張り内で、定住なんてできないって
 理解していても、あんなにおとなしい、お母さんウクダや子ウクダちゃん達と離れるのは寂しいわぁ

 子ウクダ達が馬車のかたすみにこっそりと乗り込み、母ウクダが付いて来ているコトを知らないセシリアは、ユナが入れてくれたお茶を飲みながら、うつらうつらとし始める。

 はぁ~……何だろう、この振動が、通勤電車を思い出させるのよねぇ………
 馬車も、お尻が痛くなるほど振動が酷くないし……あっまずい…寝落ちしそう

 そんなコトを思っているうちに、セシリアは眠りの園へと誘われるのだった。
 セシリアのスースーという寝息に引き摺られて、ルリもユナもしばしの眠りへと沈む。

 勿論、レオもグリフォンの雛も、とうの昔に、眠りの園へと降りていたコトは言うまでもない。









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