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0052★えっ?もしかしてないの?

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 頭は起きたが、しばらくぼぉ~っとする時間を楽しんだセシリアは、今日も今日とて、アゼリア王国から遠くに逃げる準備に入るのだった。

 「よしっ…一日の活力は朝食から……よね…」

 さて、何を作ろうかなぁ~…和食は材料がないから、かなり無理だよねぇ
 卵は無いけど、卵とよく似た植物の種、助かるわぁ

 割ったモノをお皿に入れて出されたら、まず卵と思うわね
 ただ、色は黄身の部分がかなり薄いけどね

 確か、前世で、お米……えっと飼料米とかいうヤツを食べさせた、雌鶏の卵みたい
 黄身の色がかなり薄い色けど、でも濃厚なのよね

 植物特有のえぐみとか無いし、ほんのり甘いのよねぇ
 意識がはっきりしたから、カロリーとか気になる今日この頃

 植物系の卵もどきだから、ヘルシーかなぁ~…なんて思っちゃうのよ
 うん…そうだ、お母さんウクダからもらったお乳使って、ふんわり卵焼きにしよう

 まだまだ調味料の類いが足りないから、ありものでしか作れないけどね
 一品はふんわり卵焼きもどきに決定

 あとは、何にしようかなぁ~………

 朝からガッツリ肉はなんだけど、サイコロステーキも良いかな?
 たしか、正体不明のお肉が残っているはずだし

 なにかは知らないけど、味は美味しかったからね
 よし、サイコロステーキに決定

 あの硬いパンも、表面を焼いたら美味しくなるかな?
 フレンチトーストもどきにでもするかな

 あっそうだ…今度、内臓…特に腸とかとっておいてもらってソーセージ作ろう
 そう言えば、ソーセージみたいなの見たことないなぁ……無いのかな?

 いや、ラノベあるあるでも、結構ソーセージってあるよね…いや、あるよね
 でも、そう言えば、食堂『ごっつもり』で出てなかった

 ベーコンのようなのは、あったけどねぇ……
 思ったよりも、かなり塩辛くて、保存優先で高かった

 いや、一応買って保存食の中に入れてあるけどね
 まんま食べる干し肉より、かなりきつかった

 そうだ、あの保存優先の塩まみれのお肉は、スープに使おう
 あと、スープに入れたり、焼いたりで楽しめるソーセージが欲しいなぁ

 今度、街とかに入ったら、ソーセージ……は通じないかな?
 ああ、腸詰めがあるか聞いてみよう

 そんなコトを考えながら、セシリアは着替えて馬車の外に出る。
 勿論、みんなが馬車から出てから、一番最後に出たのはセシリアだったりする。

 「それじゃ…指示した食材と調味料をお願い」

 そう言えば、ユナがいそいそと用意する。
 セシリアは、それを見ながら、グレンに聞いてみる。

 「グレン、街に行けば、ソーセージとかウインナーってあるかなぁ?」

 セシリアの問いかけに、グレンは不思議そうな表情で首を傾げる。

 「そーせーじ?…ういんなー?…ってなんだ?…その…モノがわからないんだが………」

 グレンの言葉に、セシリアは、あーという表情になってから言い直す。

 「えーと、腸詰めのコトなんだけど……知ってる?」

 「腸詰め?」

 アレ?やだ…もしかして、本当にないの?
 いや、だって…上流階級は知らなくても、庶民は食べているでしょ……

 うそっ…もしかして無いのかなぁ?……あっ…名前が違うのかも
 作り方を説明したら、似たモノを教えてくれるかな?

 「えっと、細かく切ったお肉に香草とか混ぜて、腸に詰めたモノなんだけど…ない?」

 セシリア言葉に、グレンは眉をひそめる。

 「う~ん…奴隷に落ちてからでも……見たコトないな」

 グレンは、セシリアに向けて、不憫な者を見るような瞳で言う。

 「まず、前提として、動物の内臓は、不浄なモノってコトで食べないから………」

 えっ?…不浄なモノ?……いや、それって…もしかして宗教的な意味で?
 そう言えば、前世でも、豚は不浄な生き物だからダメっていう宗教あったわねぇ

 他に、酒もダメとか、アレもコレもダメっていう教義を信仰していた宗教あったし
 って、えっ?…もしかして、そういう意味で内臓系は食べないの?

 セシリアの表情に、グレンは説明する。

 「まず、魔獣を含めた動物の内臓には、毒と穢れがあるから食べてはならないと、大概の国の国教が決めている…」

 「あぁ~…宗教上の戒律ってていうものね」

 なねる程という表情のセシリアに、グレンが心配そうな表情で、噛んで含めるように言う。

 「なんで、動物の内臓なんてモノを、食べようって考えたかは知らないが、絶対にやめたほうが良い」

 「でも、それって、ちゃんとした理由があるコトなの?」

 セシリアが納得していないと理解り、グレンは首を振って、再度言う。

 「本当に、内臓なんで食べちゃダメだ。実際に、内臓を食べて死んだり、病気になった者が出たという記録があるからな」

 そんなところに、ルリがアホらしいという雰囲気で言う。

 「あははは……なに言っているんだい、内臓を食べたって、死んだりしないよ。まぁ…たまに、毒持ちとかいるけど……それ以外は、全然大丈夫だよ」

 ルリの言葉に、セシリアは首を傾げる。

 ふむ、フグみたいに毒を持っている種類っているんだね
 あとは、病気っていうのは、寄生虫とかじゃないかな?

 よく火を通さなくて、食あたりっていうのは北方の方であるみたいだし
 エルクだっけか?火の通しが甘くて、病気になるのもあったわね

 たしか、鹿肉でもそういうのあった気がするけど…大半はOKなのね
 あと、ダメっていうのが野兎だったのよねぇ……毒草とか平気で食べられるから

 あぁ~…理解ったわ………ラビット系魔物って、わりと討伐されやすいからね
 毒の植物食べて、本人というか本獣は、大丈夫でも、人族には毒になるってヤツね

 そして、毒物って、内臓とか脳に集まりやすいのよねぇ
 だから、宗教的に人々に食べるコトを禁止しているのね

 「ありがとう、ルリ……それで、ルリが最初に獲った魔獣?って毒持ち?内臓…腸は残っているかな?」

 セシリアの言葉に、ルリは肩を竦める。

 「残念…もう、チビ達が食べ終わってるよ……なんなら、今日は新しいのを狩るかい?欲しいなら獲って来るよ……たまには、追い駆けまわしたいからね」

 「うん、それじゃ…頼もうかな……取り敢えず、あるモノで作ろうか………」

 ということで、セシリアが作った朝食は、ふんわり卵焼きに、フレンチトーストもどき、サイコロステーキに、残っていた甘辛照り焼きチキンとカラアゲになりました。

 ちなみに、時空神様にお供えしたモノは、それに、ぶどう酒とシチューも追加で捧げられていたりする。

 ちなみに、母ウクダは、セシリアのお祈りが終わり、背中を向けた瞬間にダッシュして、時空神様のモトへと消える瞬間、フレンチトーストの一切れを奪い取って、勝利の踊りを踊っていたのだった。

 フレンチトースト一切れを奪われた、時空神様が悔しがっていたコトを知るのは、母ウクダと、時空神様、本人だけだったりする。 









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