悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0037★自分達で作った、初めてのご飯は?

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 めでたく野菜と肉がゴロゴロ入った具沢山スープと、ステーキが出来ました。
 あとは、硬いパンと果物を沿えただけです。

 こっちの世界のパンて、王侯貴族でも硬いパンなんだよねぇ……はぁ~…
 本当に、ラノベあるあるのパンなんだよね

 それでも、王侯貴族になると良質な小麦を使って作られるから、まだマシだけど
 一般市民のパンは硬くて黒くて酸っぱいんだよねぇ………

 『夢の翼』の4人に連れて行ってもらった食堂で出された、かったいパン
 食べるの大変だったけど………お腹空いてたから………頑張って食べたけど

 はぁ~……やっぱり、自助努力するしかないんでしょうかねぇ
 ラノベでも、大概のメシマズ世界に落ちた主人公が、努力して作ってたし

 「ルリは元の姿に戻って食べる?」

 本来の姿の方が、いっぱい食べれるんじゃないかな?
 そんな私の気持ちに気付いたのが、ニヤッと笑って首を振る。

 「いや、あの姿だと、味わって食べれないからね……人化したこの姿で食べるよ」

 「うん…わかった……それじゃ、よそって食べようか?」

 と言えば、ルリが言う。

 「アタシが配膳するよ……リアは座ってな…ああグレンは手伝ってくれ……ユナはリアの側に座りな」

 と、グレンに指示を出して、大きなナベから具沢山のスープを木の器へと入れて、リナとユナへと運ぶコトを命令する。

 グレンも文句ひとつ言わずに、リナとユナの具沢山スープを運ぶ。

 うふふふ………うん…湯気の上がっているスープが美味しそうだわぁ
 お野菜もお肉もたぁ~っぷり入っているし………

 ふふふふ……リアってば、アクもちゃんと取ってくれたんだ
 っと、お肉は…私が焼いた方が良いのかしら?

 そのコトに気付いた時には、ルリがジュウジュウという音を立てて、もう焼いていた。

 さっき、味見で1枚焼いた時に、ジィーと見ていたと思ったら………
 焼いてくれる気だったんだ

 真っ青なすりおろした果実に浸けた肉を、お試しで味付けして焼いた時に、ルリは尻尾を優雅に揺らしながら、ご機嫌で味見を堪能していた。

 その味を自分でも、できるようになりたいと言って来たので、ちゃんと言葉でも説明したのだ。

 はぁ~…本当に、ルリにしろユナにしろ、学習能力が高いわぁ………
 グレンは、きっと良いところのお坊ちゃま……貴族だと思ったんだけどなぁ?

 それも高位貴族……下手したら、王族に連なる者だって感じたのに………
 結構、大雑把で、色々とできるのよねぇ~……勘違いだったのかなぁ?

 いや、あれだけ容姿が優れているってことは、最低でも高位貴族だよね
 それであれだけ、色々とできるってコトは、不遇の位置にいるってコトよね

 予想される立ち位置は、高位貴族だったら……次男三男……
 じゃなきゃ妾っ子かなぁ?

 そうでなければ、政略結婚で生まれた正妻の子だけど、父親が興味なしの
 愛人に、子供がいて、父親はそっちを可愛っているってパターンだよね

 顧みられない正妻は、夫の気を引けない子供に八つ当たりなんて
 露骨にあるあるパターンだしねぇ………はぁ~…

 これが、どこぞの王家のっていう不遇あるあるパターンだったら…たら………
 あの俺様っぷりと、めっちゃ容姿端麗のイッケメンっぷり考えると

 ああ……ますます………攻略キャラの可能性が濃厚になって来ているわ
 でも、グレンは私の奴隷だもんね………誰にも、あげないもん

 どんな乙女ゲームの攻略キャラか知りませんが、グレンは売約済みです
 せっかく手に入れた相手だもん……それに、グレンは優しいし………

 奴隷の立場だからとか……あの様子をみると、あまり気にしなさそうだから
 たぶん、気遣って、なんにも聞いて来ないんだろうなぁ……

 なんて、思っている間に、コトコトとステーキが置かれましたよ
 おお~……真ん中の大皿に、焼いたの何枚も重ねてあるね

 浸けた肉、全部焼いたのかなぁ?
 まぁ……ルリ達はガッツリと食べるだろうから、冷めるまえに食べきれるかな?

 「うん…それじゃみんなで食べようね……奴隷だとか従魔ってのはナシね」

 と、先に言ったセシリアに、一応、奴隷として控える予定だったグレンが困った顔をして、ルリとユナを見る。

 「リアお姉ちゃんがそう言うんだから良いんじゃない……ねっグレンお兄ちゃん」

 ユナの言葉に、ルリも椅子代わりの木箱に座って頷く。

 「そうだね……リアはかたっ苦しいのイヤみたいだからね……それに温かいうちのが美味しいよ……グレンも気にすんじゃないよ……リアが困るからね」

 そう言われてしまえば、グレンも素直に用意された木箱に座る。

 「ああ…そんじゃ…そうさせてもらうわ」

 割り切ったらしいグレンを確認し、セシリアはクスッと微笑ってから言う。

 「座ったところごめんねぇ…ルリ、もうひとり分用意してくれるかな?」

 「ああ…良いけど、もうひとり分ってのは誰の分なんだい?」

 不思議そうにしながら、木皿に焼き立てのステーキを3枚ほど斜めに重ねて乗せたモノを用意する。

 スープも、少し大きめな器に、たっぷりの肉と野菜を入れたモノを用意す。
 それに、硬いパンと木のカップに入れた、ブドウ酒も用意する。

 うふふふ………ルリも何か感じるモノがあったのね
 ぶどう酒まで、ちゃんと用意してくれたのね

 「ありがとう、ルリ……それじゃ、ちょつとお祈りしちゃうね……なんならみんな先に食べてて良いからね」

 そう言って、木のお盆に乗った料理を受け取って、ちょっと離れた場所に向かう。
 そこには、さっき用意した台座があったりする。 

 セシリアは、そこに料理を乗せて、その前に跪き、両手をあわせて、こころの中で祈り、感謝の気持ちを込めて捧げる。

 慈悲深き…始祖神様……
 刻と空間を司りし…時空神様

 今日の安全をありがとうございます

 このようなモノしかございませんが
 よろしかったらお召し上がりください

 こころの中で時空神様に祈りを終えたセシリアは、そのまま自分の席に戻って、ご飯を食べ始めるのだった。



 なお、みんなが食べ終わり、使った食器を片付ける時には、中身が綺麗さっぱりと無くなっていたのだが、今の時点ではだれも知らないコトだった。


 




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