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0031★もしかしなくても、平和なスローライフは遠い?
しおりを挟むあっ…すっかり忘れていたわ……奴隷を買った、本当の理由
はぁ~…後で、貨幣価値を教えてもらわないと
一般市民に紛れて暮らす為の、一般的な常識も欲しいわ
出来るだけ、ロマリス王国から遠くに行きたいしね
そんなセシリアの内心を知らないリアは続ける。
「だから、グレンは本能的にリアに縋ったのさ……グレンが跪いて、リアの手の甲に額を近付けて、礼を口にした時、初めてちゃんとリンクしたんだよ……ほわっと光り輝いていたからね」
ルリの説明に、セシリアは成程という表情で頷く。
「リアは気付いて無かっただろうけど、あれは、グレンがリアの支配をこころから受け入れた証しなんだよ…」
「支配を受け入れる?」
「ああ、そうさ……だから、あいつの前の名前がなんであれ……今は、リアのグレンなんだよ」
はうわぁぁ~……リアの…今の私のグレン……って、いや…嬉しいけど……
恥ずかしいというか……でも、グレンは私のモノかぁ……
その言葉に、リアは再び顔が赤くなるのを自覚した。
「リアお姉ちゃんって、グレンお兄ちゃん好きなの?」
子供特有の遠慮のない真っ直ぐな言葉に、セシリアはきょとんとする。
えっ…好き?……グレンを?………あぁー…うん…好きかぁ……
恋愛っ意味では…ちょっとわからないけど……憧れてきな好きはあるわね
だって…もの凄いイッケメンだし…声も低めでクラクラするけど………
今更だけど、逆ハー求めるヒロインって凄いよねぇ……その心臓の強さが
私には無理だわ……全員の好感度とかいうのを、小まめにあげるなんて無理
妹の乙女ゲームを手伝ったところって、主に『ダンジョン』の戦闘部分だったし
って……逃避しても、なんにも変わらないのは理解っているわ
だいたい、ルリみたいな大型の魔獣を捕獲できたコトもおかしいし
まして、人族と魔獣の魂の交換なんて、本来できることじゃないでしょ
それって、それこそ神の領域のはずだし………
グレンもルリも、同じ呪術師の実験体だったみたいだから
そっちも気にしないと、危ないかもしれないわね
私自身、やっとアゼリア王国の浄化の器という状態から、解放されたばかりなんだから
もう、エイダン王太子に追放された私のコトを、探していると思うのよね
王や王妃が、セシリア・アイリス・ハイドランジア公爵令嬢の追放の撤回
いや、下手したら、無かったコトにして、探している可能性も捨てられないわね
誰が好き好んで、あんな悍ましい立場に、もう一度なるわけないじゃない
ここは、逃げるが最優先事項よねぇ………
だから、今は恋愛なんてしている暇ないのよ
さて、ユナにはなんて答えましょうかねぇ………
「そうね…家族として好きよ…勿論、ユナもね…ルリやレオもみんな好きよ」
セシリアの言葉に、ユナはにこにこする。
「うん、ユナもみんな好き…ルリお姉ちゃんも、グレンお兄ちゃんも、レオも……でも、一番好きなのはリアお姉ちゃんだよ」
そう言って、ユナはセシリアの腕の中で、安心して眠るレオを潰さないように抱き付く。
「ありがとう、ユナ……とても嬉しいわ……ふふふふ」
ルリは、ユナとリアのやり取りを黙って見ていたが、ちょっと考えてから意を決したように聞く。
「ところで、リア……その腹に抱えている異物はなんだい?……リアが許容しているモノかい?……それとも、腹に異物があるコトは知らないのかい?」
その言葉で、ルリにはわかるコトを知る。
ああそうか……グレンの魂のカタチすらわかるんだもんね
このお腹の中にある、今は龍帝の魂が宿る、元は陽の精霊王の靈石がわかるんだ
「これは、私が自分で此処にしまったモノよ……」
「自分で入れたモンなんだね」
「うん…そう……まぁ…もとは怪しい大魔導師とかいうヤツに、勝手に埋め込まれたモノだけどね……ソレを、ある加工して流用したモノなの…」
「大丈夫なのかい?……アタシでも見極められないモノだけど………」
心配そうに言うルリに、セシリアはふふふふと嗤って言う。
「存在としは、とても良いモノよ……だからこそ、悪者から隠さなきゃならないの……だから、ルリも守ってね……その時が来るまで……」
本当は、平穏なスローライフが望みだけどね
だからと言って、深い眠りに入っている、この方を好きにさせたくないのよ
正義のヒーローならぬ…ヒロインなんて御免よ
でも、だからと言って、見て見ぬふりも出来ないわ
まして、あんな惨い姿をみたら…許せなかった
たぶん、ルリもそうだろうけど……
何らかの理由で、弱っている時を狙われたんじゃないかな
まぁ…ルリは、妊娠していたからだろうけどね
妊娠中に魔力が不安定になる設定は……ラノベあるあるだもんね
あと、月齢に左右されるとか……環境に左右される…かしらね
「ユナも頑張って守るよ……リアお姉ちゃんが大事なモノは、ユナも大事だもん」
「まぁ…リアが守りたいモノだってんなら、アタシも全力で守るよ」
2人からの言葉に、リアは安堵の微笑みを浮かべる。
「ありがとう」
いったいどのくらい、この方を隠し通せるかしらねぇ………
まぁ…逃げ回ってみせるわよ……あんな思い、もうしたくないしね
この方にも、あんな酷いコトさせないわよ
はぁ~…ヒロイン枠てきなコトしたくないけど
それでも、黙って見ていられなかったんだからしょうがないわよねぇ………
はぁ~…本当に、平和で安穏としたスローライフが遠いわぁ……
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