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0030★私にも、ヒロイン疑惑が………
しおりを挟むいやそれは…まぁ…横に取り敢えず置いておいて……救ったってなに?
暴れているグレン………中身がルリ………を買い取ったコトを言っているのかな?
いや…違うか?…グレンの魂が入った、猫型の魔獣のルリの身体を買ったコトかな?
買い取ったコトが救ったになるの?
「私が、グレンを救ったの?」
セシリアの表情を読み取り、ルリはわかりやすく言う。
「ああ、買い取ったコトじゃないよ……アタシとグレンを、元の状態に戻したうえで、癒したコトだよ……いくら魂と身体の位置が戻ろうと、その間の負荷は消えないからね」
ああ確かに、違い過ぎる種族での交換だったもんね
種族的に弱いほうに、負荷が多くかかるのは仕方がないよね
まして、男性なのに…孕みの魔獣とか……物凄い拷問だわ
たしか、男の人って生みの苦しみには耐えられないって言うし
「負荷……そんなに酷かったんだ……」
「ああ…そりゃ…もう完全に時間の問題だったね………アタシはまだ余裕あったけど、グレンの方がね」
「時間の問題って……限界だったってコト」
どの辺が限界になっていたのかなぁ?
さっき、外に出て良くグレンにはそういうの見えなかったけど?
「そうさ…それを、リアがグレンの喉を癒そうと、治癒の『ヒール』をかけた時に、無意識に癒したのさ………自分の魂の力を削って与えたんだよ」
私の魂の力を削って与えた?…そんなコトした記憶ないんだけど
あの時、癒してあげなきゃとは思ったのは、たしかだけど………
唐突に、自分の身体に戻ったことから来る戸惑いの表情で、しきりに喉を撫でさすっていたグレンの姿を思い出して言う。
「あの時…グレン…かなり喉がつらそうだった」
ルリは、そんなセシリアに、グレンがどういう状態になっていたかを教える。
「そりゃ…当然だよ……強大な力を誇る、アタシの身体に入れられたんだよ………人族の魂なんて、ひとたまりもないよ………よく押しつぶされなかったもんだよ」
えっ…それって、もしかして交換した途端に潰されちゃうってこと?
いや、流石に、そんなに直ぐにつぶれたりしないよね…しないよね…聞いてみよう
「そんなに簡単に、押しつぶされるの?」
セシリアの様子に、嘘など言う気も無いルリは、はっきりと言う。
「グレンだから、あれだけの期間もったんだろうね」
「グレンだから持ったの?それじゃあ…普通の人だったら?」
「普通の人族の魂なら、アタシの身体に無理やり入れられた瞬間、ほんの一瞬も持たずに、グシャッとなるよ」
と、ルリがこんな風にと、握り潰す仕草をして見せる。
「まぁ…それでも、アタシの身体に無理やり押し込まれたんだよ」
人族の魂が、強大な魔獣の中に入れられたら、どうなるかを説明された後だけにセシリアとしても、グレンの状態が普通じゃ無いコトを理解する。
「類い稀な強さを持つグレンの魂でも…削れて、いびつになって、ヒビ割れるのも当然さ…崩壊寸前になっていたよ」
流石に、魂なんて視るコトできないから、そんな状態だったのは、知らなかったわ
身体の傷とかなら視認できるモノだけどねぇ………はぁ~…
「そこまで酷くなっているなんて、気付かなかったわ」
ちょっと肩を落とすセシリアに、ルリはいーこいーこと頭を撫でて言う。
「魂なんて、そうそう見えるモノじゃないからね……まぁそんな状態だ…元の身体にもどったからといって、そのまま元通りなんていうのは流石に無理さ」
「戻ったら、元通りじゃないの?」
「一度、ほとんど魂と身体の繋がりを絶たれて……アタシとグレンは離ればなれになっていたんだよ」
言われて、同じロマリス王国の国内とはいえ、まるっきり別々の場所に居たコトを思い出す。
「確かに、違う場所で売られていたわね」
「だろう…その上で、酷く傷付き摩耗した魂だからね……身体との繋がりが悪くなって当然だろう……その崩壊寸前の魂を、リアは自分の魂の力を削って、壊れないようにソッと包んだのさ」
グレンが想像以上に危なくなっていたコトを知らされて、セシリアは今更ながらに自分の立ち位置がヤバくない?と思う。
こういうパターンって……癒しの乙女だとか…光の聖女とか……あるあるじゃない
うわぁぁ~…ヒロイン枠はゴメンよ……悪役令嬢も当て馬もイヤだけど………
私が欲しいのは、穏やかな陽だまりのようなひとと、平和なスローライフなの
深海のような海や、峻厳な山のような試練なんてモノは、要らないのよ
キャッキャウフフの逆ハーなんてモノも、要らないわ
そりゃ…グレンは物凄いイッケメンだけど……
そういう意味で、買ったんじゃない………と思う
なんか、最初に目が合った奴隷だし…ってコトで
実は、勢いで買っちゃったのよねぇ……
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