悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
30 / 173

0029★隷属契約って………

しおりを挟む


 ふんわりとした輝きが消えたのを確認し、ルリはハフッと嘆息して言う。

 「ああ…やっぱり…その幼体…未熟児だったのね…よく今まで生きてたわねぇ……」

 その言葉に、同じように輝きが現れて消えるのを見ていたユナが小首を傾げる。
 自分の時も光り輝いたので、不思議に思い疑問が口から零れ落ちる。

 「未熟児?」

 ユナの疑問に、ルリが答える。

 「そうだよ、その幼体は、アタシに襟首を捕まれて釣り下げられた時も、声がほとんど出て無かったろ」

 「えっ…あれって…ルリにびっくりして、固まっていたんじゃないの?」

 セシリアの言葉に、同じこと思っていたヤナもコクコクと頷く。

 「それもあるだろうけどねぇ……声帯が育ち切っていなかったんだよ……リアに名付けられて、初めてちゃんとリンク出来たんだろうね……」

 えーとぉー…リンクってなにかなぁ?
 じゃなくてぇ…ちゃんと買う時に従魔の契約したよねぇ……したよね…アレ契約だよね

 「えっ…だって、この子…レオとも従魔契約してるのよ?」

 リアの言葉に、ルリは首を振る。

 「あんなモンで、正式な従魔契約が成立するはずないだろ」

 何を言っているんだいという表情で、ルリは説明する。

 「所詮は、人族が低級低位の魔物を、自分達の言いなりにさせる為に作った、勝手で一方的に押し付ける隷属契約だよ……扱う者に見合ったモノしか支配できないよ」

 言われてみれば、そうなのは理解るのだが、じゃあ意味は無いのかなぁ?という疑問が浮かぶ。

 「人族同士や力の弱い獣人、低位低級の魔物相手なら、それでも有効ではあるよ……ただ、アタシ達みたいなのに、それは意味が無いモノだよ」

 だからエサを抜いて、弱らせてから隷属契約させるんだよね
 それでも、ルリみたいなのには、ほぼ無効ってことか?

 なんで、ルリは捕まっちゃったのかしら?
 聞かれたくなさそうだから、聞かないけどね

 なんか、同じような理由で、グレンが奴隷だった理由は気かないことにしよう
 ぜぇ~ったいに……その理由って、面倒ごとに繋がっているだろうし

 「へぇ~…そうなんだ」

 そう言いながら、ユナが入れてくれたお茶を飲む。

 はぁ~…美味しい……って…どこから出したのかしら?
 なんか、あの『夢の翼』の4人組が買い込みしてくれていたようだけど

 全然、確認して無いんだよねぇ……そう言えば
 馬車の中の半分以上、食料品とか衣料品とか、その他諸々だったのよね

 はっきり言って、ルリと私とグレンとユナが雑魚寝するぐらいの空間しか無かったわ
 まあ、今のルリは人化しているから、スペースにかなり余裕あるけどね

 猫型の魔獣の時の体積から考えるとかなりどころじゃなく小さくなっているものね
 それでも、私よりかなり大きいし、背丈だってグレンとほぼ変わらないんじゃないかな

 改めて、猫系の獣人の姿をとるルリをなんとは無しに眺めていれば、ルリはさらりと重要なコトを口にする。

 「そうなんだよ…だから、グレンとの契約も…不完全なモノだったんだよ………まして、中身が違がっていたからね…アタシもグレンもね」

 魂と身体が正しい状態ではなかったから、一方的な隷属も不完全だったってことか
 えーとぉー…そうすると、今はどういう状態なのかな?

 「えっと、それじゃ…今はどうなっているの?……不完全なモノって不味い?」

 リアの疑問に、ルリはふわりと優しく微笑って言う。

 「アタシのはちゃんとリアとリンクできているよ……リアがアタシを『ルリ』って呼んでくれた時にね……とても暖かいモノに包まれて、気持ち良かったよ………そのお陰で、子供達も元気だよ」

 そう言ってから、ルリはついでのように言う。

 「グレンの方はかなりヤバかったね……アタシよりも…弱かったから、魂と身体のバランスが取れていなくて……不安定で…ほとんど壊れる寸前だったんだよ」

 壊れる寸前って……人として?…それとも、存在そのものとして?
 やっぱり……乙女ゲームの攻略キャラ…メインとか……それは困るんだけどぉ
 いや、そうじゃなくて、どういう意味でなのかしら?

 「えっ…そんなに不味い状態だったの?」

 「ああ…そうさ…アタシとグレンじゃ…種族も力も全然違うからね……それを救ったのは、リアなんだよ」

 ああ…確かにね……猫型の魔獣の成体…それも孕みと、人族の男性じゃ違いすぎるわね
 生来の持っている力が、根本的に違うモノ同士だもんね











しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

処理中です...