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0022★ちょっと休憩しましょうか

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 サンドウルフの群れを後ろに送り、追い駆けて来る盗賊集団を置き去りにして走らせ続けたセシリアは、馬車を停止しても良さそうな街道として開けた場所を見付ける。
 馬を扱う方法など知らないセシリアは、ネット小説などに出ていた方法を此処でも試して見るコトにした。

 えーと……確か…停止させるのも、魔力を流して従えるんだっけか?
 門を出る時は『走れ』って意思を魔力に込めて流したんだよねぇ………

 盗賊達に追い駆けられた時は、更に『もっと早く走れ』って魔力を流したのよね
 気配的に、あの盗賊達は振り切ったみたいだし………

 はぁ~…そろそろ馬達も疲れて来ているだろうし………良いかな?
 急停止は心肺機能に負担かかるから…『ゆっくり走ってから止まれ』…と

 セシリアの指示を受け、嬉々として走っていた軍馬達は、速度をゆっくりと落とし、徐々に並足へと変えて、自分達が停まりやすそうな場所へと移動し、ゆったりと停止する。

 軍馬達が停止したのを確認し、セシリアは魔法をかける。

 えーと……あれ…なんだっけ…そうそう生活魔法ってヤツ………
 あとは、魔法を使う時の想像力が発現を左右するんだよねぇ

 取り敢えず、馬体の汗を綺麗に拭って、ブラシをかけるイメージで………
 4頭とも、爪先からタテガミや尻尾まで、綺麗になれ………

 そういう使い方自体が慣れていないので、魔力の膜を1頭ずつ綺麗に被せるイメージで魔法を使うと、全身が輝く。
 そして、本当に今まで走っていたの?と言うほど美しくなる。

 「これで…よし……あとは、馬車を曳く馬さんと、伴奏の馬さんの交代ね」

 小さく呟けば、セシリアが求めているコトを理解し、馬車の側に伴奏していた馬がてててっと軽い足取りで近寄って来る。
 ちなみに、伴奏の馬達は、細めの紐で馬車の左右に1頭ずつ繋がれているだけだったりする。

 前世だと、犬のロング引綱みたいなモノよねぇ………
 あの長ぁ~い引綱、私は嫌いだったのよね

 ズルズルと長くしているから、自転車で側を通ったら、足を噛み付かれたから
 幸い、長さと幅に余裕あるタイプのズボンだったから、怪我しなかったけど

 犬を連れてたオバサン達は、謝りもしなかったのよねぇ……はぁ~………
 怪我はしなかったけど、ズボンの裾はヨダレが付いて臭いし切れていたのよねぇ

 ………じゃない……取り敢えず、交代させないとね………
 まだ明るいから。少し長めに休憩したら、もう少し進みたいわね

 「良い子ねぇ……んじゃ、交代しちゃおうか」

 そう言って、セシリアがハーネスの留め替えをするが、やりやすいようにと微動だにもせずに待っていてくれる。

 かなり大きな馬だけど、みんな良い子で助かるわ………
 今だって、私がやり易いように屈んでくれるし

 庶民のお菓子だから、あまり甘味は無いけれど………
 ご褒美には持ってこいの売っていて良かったわぁ

 確か馬って走る前とかあまり飲ませちゃいけないんだよねぇ………
 でも、少しぐらいなら大丈夫かな?

 喉をちょっと濡らすだけでも、少しは楽になるだうし
 後は、果物を乾燥させた干し菓子ね

 小ぶりの桶に魔法で水を入れ、買い込んだ干し果物を与える。
 馬達はご機嫌で尻尾を振り振りして、まず水を少し飲んでから、干した果物を口にしてモグモグする。

 可愛いけど、この子達の相手だけしているわけにいかないのよねぇ
 グレンと魂?を交換された猫型の魔獣と狐獣人の子供とお話ししないと

 セシリアは、はふっと溜め息をひとつ吐いて、馬車の中へと入る。
 ちなみに、干した果物は、セシリア自身のおやつとして、腰紐に巾着でくくっていたモノだったりする。

 セシリアが馬車の中に入ると、まずグレンが飛びついて来る。
 中身が猫型の魔獣だと理解っていても、身綺麗にしたグレンはかなり格好良いので、ドキドキする。

 うわぁ………流石にイッケメンに抱き付かれると恥ずかしいんですけど
 って……顔を舐めようとしないでぇぇぇぇぇぇ………ここは、干し肉よ

 「はいはい……グレン……ちょっと待っていてね…ねっ………」

 そう言って、セシリアは取り敢えずグレンに干し肉を手渡す。
 干し肉をもらったグレンは、ちょっと首を傾げてから、つつっと少し離れて、さっそく干し肉を齧り出す。

 その様子に頷き、セシリアは内心で飛び跳ねまくっている鼓動をなんとかしようとする。
 流石に、あのイッケメンの姿で顔を舐められるのは勘弁してだわ
 私の心臓が持たないわよ……前世の記憶にほとんどないけど………

 異性と……恋愛らしい恋愛の経験……ないと思う……たぶん……
 記憶にある私って………コミュ症の社畜もどきだったから………
 
 じゃなくて、魂?の交換されたこの猫型の魔獣はちゃんと理解しているのね
 ご飯をたっぷり食べさせてもらって、自分の身体を買い取ったってコトを

 「はぁ~…取り敢えず、猫型の魔獣にされちゃったコトで大変だったわねぇ……」

 そう言いながら、セシリアは猫型の魔獣の首筋や背中を撫でてやる。

 「流石に、生餌なんて食べたくないわよねぇ……意識ないならまだしも……」

 そう、どう見ても、ちゃんと自分の意識あるようだものねぇ………
 取り敢えず、こっちにも干し肉で良いかな?

 「取り敢えず、貴方も干し肉で良いかな?そのやつれた身体なんとかしないとね」

 セシリアの言葉に、ちょっと残念そうにするので、大きな木皿に干し肉と干し果物を置いて手渡す。

 「干し果物もあげるから、取り敢えず、干したお肉だけど食べてね」

 グルルルゥゥゥ………ルルルルゥゥゥ………

 喉を無意識に鳴らしながら、まず干した果物を嬉しそうに食べる姿に、ちょっと涙を誘われる。
 セシリア自身が、自分の自由意志と行動できる身体を取り戻したのが数日前なので、その気持ちがよぉ~く理解るのだ。

 「さて、えーと……その…貴女のお名前聞いて無かったわねぇ……」

 そう言って、馬車の隅っこで警戒する狐獣人の子供に話しかける。

 う~ん……警戒されてるわねぇ……どういう子なのかしら?
 親に売られた子なのかしら?それとも、攫われた子なのかしら?

 「取り敢えず、私の名前はリアよ……貴女は……女の子……よねぇ?」

 セシリアをジィーと見詰めてから、コクッと頷く。

 「お名前を教えてくれるかな?………ああ《真名》じゃ無くていいわよ」

 こう言う種族って………《真名》とかあったと思ったのよねぇ………
 ただ、前世の記憶とかも混ざったセイで、ちょっと微妙なのよねぇ
 ラノベの常識とか、定番とか、色々と混ざっちゃってさぁ……

 セシリアの言葉に、ちょっとびくびくしながら問い返す。

 「……言わなくて…いいの?………」

 か細い声に、セシリアは頷く。

 「ええ…貴女を呼ぶ為の名前だから、イヤなら愛称とかそういうので良いわ」

 







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