悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

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0020★猫型の魔獣をゲットしました

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 檻の中にセシリアが入っても、猫型の魔獣はチラリッと見ただけで知らんぷりする。
 一応は、危害を加えられると言う危険がないか、少し警戒していたが、猫型の魔獣に魂?を入れ替えられた者は、既に諦めているのか、ほとんど反応しなかった。

 襲って来る様子が無いコトを確認し、セシリアはグレンの時と同様に、手を伸ばして猫型の魔獣の額に、その手の平をソッと触れさせる。
 そして、取り敢えずの意思疎通ができるかどうかと、念話を送ってみる。

 ーーーー私の声…聞こえるかなぁ?……魂?と身体…入れ替えられているよねーーーー
 ーーーー魂?と身体があっていないから…もしかしたら、答えられないかな?ーーーー

 ーーーー取り敢えず、助けてあげるから…おとなしく付いて来て欲しいのーーーー
 ーーーー了承だったら…んーと……お手……いや、頭下げてくれるかなぁ?ーーーー

 意思疎通できているかを知る為に、お手と言いかけて、張り飛ばされる未来を感じとり、セシリアは すぐさま頭を下げるに変える。

 と、猫型の魔獣から、言葉としては聴き取れないが、何かを訴えられているコトを感じて、無意識にセシリアは頷く。

 目の前の猫型の魔獣は、セシリアの言葉に応じて、上半身を起こして、手を上げかけてから、手を元の位置に戻し、頭を下げる。

 いくら衰弱し、死にかけになっているとはいえ、セシリアを軽く張り飛ばしてしまう膂力がある猫型の魔獣である。

 魂?を入れ替えられた者もそれに思い至り、指定された行動をとりながら、無意識の嬉しさに尻尾をファサリファサリと揺らしていた。
 その手首に嵌まる鎖付きの枷を鍵を使って、全部はずして言う。

 「はい…全部外れたから、ここからさっさと出ようねぇ………一緒に行こう」

 セシリアの言葉に、猫型の魔獣はゆっくりと身体を起こし、その背中についてゆっくりと檻の外に出て来て、ぐぅ~っと伸びをする。
 すっかり飼いならされた従魔という風情に、売れないと嘆いて男はぼう然とする。

 「うそだろぉー……まだ、何にもしてねぇ…んだぞ……」

 セシリアは、ぼう然として呟く男の手に、檻と鎖付き枷の鍵を、その手に無理やり握らせて、デュバインを振り返って言う。

 「売買契約書と譲渡書類……もらったんだよね………」

 セシリアの確認に、デュバインは頷く。

 「ああ、これだ」

 そう言って、目の前でぼう然としてブツブツと呟く男から手渡された契約書や譲渡証明書を、セシリアに差し出す。

 デュバインから書類を受け取り、セシリアは腰に結んだマジックポーチに入れる。
 先ほど受け取ったグレンの譲渡などの書類も、こちらに入れていたりする。

 書類をしまったセシリアに、カレンは声をかける。

 「リアさん…欲しいモノが買い終わったなら、移動しない?」

 その言葉に、エルザもコクコクと頷く。

 「そうだよ、その魔獣……じゃなくて…従魔の手当もした方が良いんじゃないかな?」

 2人の言葉に、ちょっとフラついている猫型の魔獣を見て頷く。

 「……うん…欲しいモノは買ったから……移動したいわ……」

 周囲を警戒していたバウが提案する。

 「なら、また食堂『ごっつもり』に行こうぜ」

 その言葉に、デュバインが頷いて言う。

 「ふむ…リアさんの買った従魔もかなり衰弱しているようだし………そうだな」

 セシリアは、遅い昼食を食べた食堂『ごっつもり』を思い出す。

 あの…じっくりと煮込まれたの…素朴だけど……美味しかったなぁ
 口に入れると…野菜も肉もホロホロと崩れる、具だくさんスープ

 衰弱ししてるけど……消化に良い煮込み料理なら食べるかな?
 流石に、生餌はないよねぇ……生の丸かじりはねぇ………

 「うん…あの食堂の具だくさんスープは美味しかった」

 セシリアの言葉に、カレンとエルザもコクコクする。

 「「だよねぇ~…安くて量がたっぷりだもの………」」

 そんな会話をしながら、セシリアとグレンと猫型の魔獣を囲んで、4人は一緒に移動するのだった。
 勿論、まだ幼体の猫型の魔獣の子供は、しっかりとセシリアの腕に抱き付いたままだったコトは言うまでもない。

 ただ、流石に猫型の大きな魔獣に鎖も付けずに、連れ歩いていたので、注目を浴びていたのは確かなコトだった。
 だが、注目されるコトに慣れているセシリアは、そんなものに頓着するコトは無かった。

 ちなみに、『夢の翼』の4人はというと、怒涛の事態にてんぱり過ぎて、そういうコトに意識がまわるだけの余裕は無かったりする。

 そして、再び食堂『ごっつもり』にくれば、太っ腹な女将さんが、ガーデンテーブルに従魔込みの席を用意してくれた。
 テーブルの上には、軽食とお茶が並ぶ。

 その足元では、具だくさんのスープを嬉しそうに尻尾を揺らしながら食べるかなり大型の猫型魔獣がいた。
 勿論、幼体の方も、小分けにされた具だくさんスープを嬉々として食べていた。

 それを眺めながら、セシリアは女将さん特製のリコを煮込んだジャムもどきをかたい黒パンにのせ、もきゅもきゅと食べながら考えていた。

 このリコって、前世のリンゴによく似ているわねぇ……
 まぁ……酸っぱいし、甘味は少ないし、硬いけどね

 だから、生食できないけど……ちゃんと煮込めば食べれるし
 これはこれで、私てきにはイケるのよねぇ……

 甘味が薄いから……甘くないコンポートかな
 じゃなくて、このあとどうしようかなぁ……

 これ以上は、この4人に……絶対に迷惑かかるだろうし………
 私の正体を知られるのも不味いしねぇ………

 ご飯を食べ終わったら、何とか馬車を手に入れて、速攻で此処を出る
 取り敢えず、冒険者登録はしたし……っと、従魔の登録も必要かぁ……

 そこで、ハタッとそのことに気付いたセシリアは、頑張って自分の意思を口にする。

 「そのぉ…悪いんだけど……従魔の登録……」

 セシリアの言葉に、デュバインが頷く。

 「ああ…それは当然だな……それで、この後どうするんだ?」

 「登録…終わったら…馬車買って……此処を出たい……」

 そう言ってから、済まなそうに続ける。

 「これ以上一緒に居たら……きっと…迷惑……かけるから………」

 セシリアの言葉に、デュバインは頷く。

 「わかった……んじゃ、まずは冒険者ギルドで従魔の登録だな」

 自分達『夢の翼』が、セシリアに付き合えるのは、此処までだと………。




 

  


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