悪役令嬢?当て馬?モブ?

ブラックベリィ

文字の大きさ
上 下
15 / 173

0014★まさかのロマリス王国の古代遺跡のダンジョンでした

しおりを挟む


 壁際にセシリアが下がったのを確認し、4人は頷き合う。
 改めて、ここで出合ったセシリアと落ち着いて話す為にもと、4人は宝箱と擬態した魔物の討伐にとりかかった。

 セシリアは、4人が連携して宝箱に擬態した魔物を討伐するのを見ながら、自分が知らなければならないコトを内心で確認していた。

 まずは、現在の居場所を知らないとね
 それから、どうにかして奴隷を手に入れる

 あと、できれば身分証明書の為に、冒険者登録したいわね
 最低、それだけは必要よねぇ………

 現金としてのお金は持っていないけど………
 ここで手に入れた宝箱の中には、それなりのモノが入っているはず………たぶん

 取り敢えずは、現在地と冒険者登録ね
 奴隷を買うにも、身分証が必要かもしれないから………

 奴隷が手に入れば、お金のレートとか判ると思うし………
 それにしても、喉が渇いたわねぇ…お腹も空いたし………

 そんなコトを考えている間に、4人は宝箱に擬態した魔物を討伐し、アタリの宝箱を開けてキャッキャッとしていた。

 「おまたせぇ~………リアさん」

 嬉しそうなエルザの言葉に、セシリアはコクッと頷いて、取り敢えず、現在地だけでもと口を開く。

 「あの……それで、さっき聞いたんだけど………ここって、何処なんですか?」

 最初セシリアを警戒していた為に、新しくできたダンジョンだとしか答えて居ないコトを思い出して頷く。

 「そう言えば、新しい『ダンジョン』って話しはしたけど…何処かは言ってないわね」

 「此処は、ロマリス王国の防護壁の東門から出た先にある古代遺跡の端だよ」

 「つい先日だよぉ………ここに新しい『ダンジョン』が出来たのって………」

 「ちなみに、ここって1階部分なんだぁ~………」

 「まだ、正式にギルドの探索入って無いから、宝箱あるかもって………来たんだよね」

 と、教えてもらい、思わずセシリアは、こめかみを押さえる。

 よりにもよって、商業都市のロマリス王国ですかぁ…………
 遊廓とかあるから避けたかったのよねぇ………つーか、近いわっ

 もっと、遠くに跳ばされたと思ったのに………はぁ~………
 私を運んでいた男達は、たぶんだけど此処には来ていないと思うのよねぇ………

 取り敢えず、髪の色をかんがみて、私の出身はシルーク王国ってコトにしましょう
 身分証明書を造ったら、お別れするんだし………

 「そうですか………ロマリス王国………私は………シルーク王国出身です………」

 セシリアの言葉に、カレン達はふ~んと言う顔で頷く。

 「どうりで綺麗な銀髪だったものねぇ………あそこの国民に多い色よねぇ………」

 「ああ、シルーク王国って金色とか銀色が多かったよなぁ………」

 「ある意味で、こっちに跳ばされて良かったです………」

 「そうよねぇ……ロマリス王国って色々な人種が居るものねぇ………」

 「ああ、だけど人間至上主義だから、亜人にはキツイ国だ………」

 「リアさんに、忠告しとくな………」

 「下手に獣人とか同情して…警邏の奴らに目をつけられるなよ」

 「そうそう、あいつらって直ぐに難癖つけるからさぁ……きぃーつけな」 

 口ぐちにそう言う4人に礼を言って頷く。

 「ご忠告……ありがとうございます………気をつけます」

 はぁ~……ちょっとどころじゃなく気が重いけど………
 身分証は、必要だものねぇ……あと、水と食料は必須だし………

 ここから移動するにしても、一般常識もわからないから………
 もう、どうせだから聞いてしまいましょう………

 「あの…跳ばされたので、身分を証明するモノがないのです………」

 どうしたら良いのでしょうというニュアンスで聞けば、リーダーのデュバインが溜め息混じりに言う。

 「一番簡単なのは、冒険者ギルドで冒険者になるコトかな」

 「商業ギルドは………売り物になるモノがないと無理だしねぇ……」
 
 「薬師ギルドも……無理でしょ………」

 その答えに、セシリアは思わず溜め息を吐く。

 「えーと……その……身分証明書なくても、奴隷を買うとかできますか?」

 セシリアの言葉に、バウが何とも言えない表情で答える。

 「それこそ、モノによるぜ……良い奴隷は身分証明書と大金なけりゃかえないぜ」

 「ああ、そのかわり、獣人を含む亜人種系はエルフ以外は、金さえ有れば買えるな」

 デュバインの言葉に、セシリアはちょっと考え込む。

 ふむ………高望みしなければ、わりと簡単に買えるみたいね………
 しかし…エルフは高いみたいね………ゲームや小説の定番ね………

 「ねぇ……奴隷なんて買うの?」

 カレンの嫌悪を含んだ声での問いかけに、セシリアはハッとして答える。

 「私…閉じ込められてた……から……お金とか…よくわからないから………」

 庶民の常識にうといコトを前面に押し出しながら、セシリアは続けて聞く。

 「えっと……門…通るの……許可証とか…必要?……無い…どうなる?……」

 その言葉で、セシリアが跳ばされて来たコトを思い出す。

 「金払えば入れるけど……金の価値が理解らないんだよな」

 「うん………宝箱から………たぶん…宝石…手に入れたから……入れるかなぁ?」

 そう言いながら、フード付きマントの内側にポケットでもあるかのように、探るフリをして、小ぶりの宝石と魔石を6つ程出して見せる。

 「コレなんだけど………使える?」

 無造作に見せるセシリアに、全員が確かにセシリアには、完全服従の奴隷が必要だと感じた。

 「取り敢えず、出入口は俺達の新メンバーだってごまかしてやるよ」

 「だな、これも何かの縁だし……宝箱譲ってもらったしな………」

 「えーと、リアさん……まだ、この宝石ってあるの?」

 セシリアは、素直に頷く。

 「うん…ある……これで、奴隷買えるかなぁ?………」

 無防備すぎるセシリアに、全員が声をハモらせて言う。

 「「「「はぁ~…リアさんに奴隷は必要だ(ね)」」」」












しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。

木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。 彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。 こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。 だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。 そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。 そんな私に、解放される日がやって来た。 それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。 全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。 私は、自由を得たのである。 その自由を謳歌しながら、私は思っていた。 悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。 ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる 色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ

karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。 しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

異世界転生ファミリー

くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?! 辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。 アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。 アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。 長男のナイトはクールで賢い美少年。 ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。 何の不思議もない家族と思われたが…… 彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

記憶を失くして転生しました…転生先は悪役令嬢?

ねこママ
恋愛
「いいかげんにしないかっ!」 バシッ!! わたくしは咄嗟に、フリード様の腕に抱き付くメリンダ様を引き離さなければと手を伸ばしてしまい…頬を叩かれてバランスを崩し倒れこみ、壁に頭を強く打ち付け意識を失いました。 目が覚めると知らない部屋、豪華な寝台に…近付いてくるのはメイド? 何故髪が緑なの? 最後の記憶は私に向かって来る車のライト…交通事故? ここは何処? 家族? 友人? 誰も思い出せない…… 前世を思い出したセレンディアだが、事故の衝撃で記憶を失くしていた…… 前世の自分を含む人物の記憶だけが消えているようです。 転生した先の記憶すら全く無く、頭に浮かぶものと違い過ぎる世界観に戸惑っていると……?

処理中です...