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0006★こんなイベントありましたっけ?
しおりを挟むセシリアは自分好みの落ち着いたモスグリーンに灰色を混ぜたような色合いのフード付きマントを纏い、その着心地と身体を隠せるコトによる喜びを噛み締める。
素敵……ひらひらの藤紫の裾に向かって広がるドレスが全部隠せているわ
しっかりとした厚地なのに、とても肌触りが良くて軽い
何か特殊な機能があるかもだけど………まっ…そんなコトどうでも良いわね
欲しいモノが2つもゲットできたんだもの………
当座の生活費になりそうな宝飾品もあったし………
まぁ…外に出たら、落ち着いて鑑定しないとダメでしょうけど
そう言えば、この乙女ゲームによく似た世界のお金と貨幣価値が判らないわ
こうなると、ここから出たら出来るだけ早く奴隷を買わないとだわ
少しの間、精霊のブーツとフード付きマントを手に入れた喜びを噛み締めたセシリアは、まだ探していない場所を探検する為に足を進める。
本音を言えば、この古代遺跡を封印したいぐらいだわ
でもって、私自身と私が許可した者以外入れなく出来たらなぁ………
そしたら、最高の隠れ家になるんだけどなぁ………
そういう魔法とか有ったら最高なのに………って、無理よねぇ………
ふぅ~……とにもかくにも、目についた分のお宝だけは確保よ
お金は、有ればあっただけ助かるんだから………
あら……小さいと思ったら、この宝箱は全部魔石なのね………
うん?……んん?………あらあら……もしかして魔晶石も入ってるの?
小さいのもあるから、お金の代わりに使えそうね
あとは、どの古代遺跡へと行くかよねぇ……
この砂漠の地下にある古代遺跡から、別の古代遺跡に転移するコトも出来たはず
問題は、転移した先の古代遺跡にいる魔物とかをどうかわすかよねぇ………
一応、魔法もそれなりに習ったけど………習得が微妙なのよねぇ………
攻撃魔法なんて、初級を発動させるのがせいぜいだし………
治癒系も少しだから……初級ポーションとどっこいなのよねぇ………
まぁ…あんなに、魔道具ジャラジャラと身に付けさせられていたから………
私の本当の魔力とかって、よく判らないのよねぇ………
なんにしても、アゼリア王国から遠く離れた国がいいわよねぇ………
隣国のシルーク王国もいまいちだし………
性の歓楽街が中央にデデーンとある、商業都市を持つロマリス王国もちょっとだし
苦い顔をしながら、壁の奥に隠されていた宝箱を開ける。
中には、ズラッとポーションの瓶が並んでいる。
えぇ~……これってエリクサーじゃないの………それも上級だわ
妹が課金しまくってゲットしたモノより遥かに上質だわ
流石、古代遺跡の宝箱だわぁ~……それも色が数段濃いわ
もしかして、これが最上級なのかしら?
まぁ…良いわ……取り敢えず、回収よ回収……確認は後ですれば良いのよ
セシリアは、おさめられた宝箱ごとポーション瓶をアイテムボックスへと放り込む。
記憶にない宝箱や部屋などがあるので、怪しいと思ったところは徹底的に探すセシリアであった。
次に入った部屋には宝箱は無かった。
あるのは、どこぞの宗教団体のありがたい、部屋のような空間で、その中央には華美な台座があり、真球の水晶玉のようなモノがおさめられていた。
「う~ん…こんな部屋ってあったかしら?記憶に無いんだけど………」
そう呟いたセシリアは、取り敢えず台座に鎮座する水晶珠を手に取る。
ずっしりとした、直径が20センチぐらいの薄い水色水晶珠は、セシリアが手に取ると、フワッと淡く光って消えてしまう。
えっ?……えぇぇぇ~?…どういうコトぉぉぉ~?………消えちゃったけど?………
………じゃなくて、この古代遺跡に、こういう仕掛けなんてあったっけぇ?
自分の覚えている、乙女ゲームの古代遺跡攻略の内容との相違にセシリアは首を傾げる。
まぁ…いいわ……次よ、次……とにかくどんどん回収できるモノは回収しなきゃ………
一応、護身術や魔法は習ったけど、役に立つようなモノじゃないんだから………
自慢できそうなのは、身体強化ぐらいしかないもの………
それだって、魔道具が外されたから使えるだけだしねぇ………
とにかく、目についたモノは、ぜぇ~んぶいただいたいくわよ
今世は、幼少期から今まで酷使されたんだから、あとはのんびりスローライフよ
そして、願わくば、私でも良いという優しい人とまったりとした生活したいわ
恋愛というモノも、してみたいしねぇ………
燃えるような恋や愛じゃなくて良いのよ
そこに居るのが自然というような、穏やかな陽だまりのような………
じゃないわ、私………とにかく、別の古代遺跡に行ける魔法陣を探さなきゃ………
何時まで経っても、この地下にある古代遺跡から出られないわ
忘れているだけで、あの水晶珠が消えるイベントだってあったかもだし………
やれるコトはやらないとね………
って、思っている側から、また、水晶球が飾られている部屋にたどり着いたわ
この部屋の水晶球も、やっぱり部屋の中央ね………
セシリアは、淡い緋色の水晶球を台座から取り上げる。
と、さっきと同じように、仄かに輝いた後にスゥーっと消えてしまう。
覚えてないだけで、こういうイベントあったのかもしれないわね
となると、後いくつ水晶球を台座から外せばいいのかしら?
そんなコトを考えながら、セシリアは怪しそうなところを探し出しては、宝箱をゲットし、水晶球を消していった。
「これで、9個目ぇ………」
セシリアが台座からほんのりと紫色を帯びた水晶球を持ち上げ、その手から消失させたところで、今まで歩き回った空間の中央に、魔法陣が現れていた。
9個目の水晶球の消失と共に、空間がキシキシという音を響かせたコトで、セシリアは慌てて水晶球が安置されていた部屋から飛び出してキョロキョロする。
「えっ?………魔法陣?………あれ?……別の階に移動するんだっけ?」
現れた魔法陣を見て首を傾げるが、見ていても何も変わらないので、セシリアは喉を鳴らして呟く。
「ゴキュッ……無謀かもだけど……進まないと……流石に、寂しくなってきたわ」
なんか、お腹も空いて来た気がするし………
たぶん、そこそこにはお宝ゲットしたはずだし………
「女は度胸っ………」
そう口にして、セシリアは魔法陣の上に乗る。
が、そのままでは何も起こらない。
はぁ~……勝手に稼働する訳じゃないのね………
つーと、魔力を流せば良いのかしら?
セシリアは、深呼吸を繰り返し、ゆっくりと足元の魔法陣へと魔力を流し込んだ。
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