46 / 63
35.合コンで持ち帰り?
しおりを挟む
学校の休み時間、トイレの帰りに廊下を歩いていた。前方から一之瀬、と誰かに自分の名前を呼ばれた。そちらに視線を向けたら見知った奴だった。
「山下? 何か用か」
「ふぅ……かなり言いづらいんだが、一之瀬はその……合コンって興味あるか?」
「合コン?」
山下から合コンと言う単語が口から出て驚いてつい聞き返してしまった。
普段から何事にも落ち着いた態度で淡白なのもあって恋愛事も例外ではなくあまり興味なさそうに見えた。もしかしたら、意外とそうでもなかったのか。
「俺の中学の時の同級が高校の男友達を呼べってしつこくて。俺はこの通り友達が少なくて誘えそうな奴がいないから困ってたんだ」
「一之瀬くん、あと一人足りないんだって……」
山下の後ろからひょっこりと現れた武田が自信なさげに言う。その同級生に半ば強引に付き合わされる山下に同情する。
友達が多ければ、その場に見合った奴を誘えばいいのだが、華がない一之瀬を誘う時点で選んではいられない状況のようだ。
この話し振りだと、武田もか。
「……武田も合コンに参加するのか?」
「うん、僕も参加するよ。よく漫画やドラマでそういうシーンをやっていてどんな感じなのか楽しみなんだぁ」
「そ、そうなのか……」
一之瀬の問いに武田が眼鏡のレンズ越しで目を輝かせて話す。男女のスペックを競い合う弱肉強食の過酷な現場で自分にとっていい女やいい男との出会いを掴む交流の場だ。
楽しみにしてる所悪いが、そんな場所で草食動物の如く弱々しい武田が猛獣達に精神的な面で押し潰されないか心配してしまう。
「一之瀬も今週の土曜に予定がなければ合コンに参加してくれないか? ただ、無理にとは言わない。少し考えてくれないか」
山下は真剣な顔付きで尋ねる。その時、人生で初合コンの時の事を思い出す。
入学してすぐに中学の同級生に合コンを誘われた。一之瀬が誘われた理由は進学校に入った人を呼んで欲しいと女の子に頼まれたからだった。本来の目的である人気者になれるチャンスではないかと自信たっぷりで淡い期待をして参加した。
しかし、結果は連絡先は誰とも自分とは交換されずにリア充っぽい奴らに全部持ってかれて惨敗。結局の所、進学校に入学したとしても一之瀬のような平凡な非リアではリア充には勝てないと改めて理解した。性格までもがさらに歪めた出来事だった。
山下はかなり困ってんな。合コンでは嫌な目に合ってるが、多少世話になってる山下に助け船を出すか。
「……わかった。山下のためだ、俺で良ければ参加するぜ」
「本当にいいのか?」
山下が目を見開いて再び聞いた。
「あぁ、たまには他の女子と楽しみたいのもあるしなぁ」
「よ、良かったね。山下くん」
一之瀬の言葉に武田が山下の方に向いて嬉しそうに話す。山下は安心したかのように頷いていた。半分は可愛い女子と出会いたいのが本音だ。本命はみんなの天使、間宮さんだが、流石に平凡な男相手では勝算がないとわかっている。
それに間宮さんといい雰囲気の春風相手では全く歯が立たない。リア充にはやはり勝てないのかと悔しい思いだ。
しかしこの合コンをきっかけに家庭的で可愛いらしい女子といい雰囲気になれればと期待を持っている。
「ありがとう、一之瀬。時間が決まったら連絡するな。……とその前に連絡先教えてくれないか?」
「おう、俺の連絡先は……」
一之瀬は携帯を取り出して山下と連絡先を交換した。久しぶりの合コンに浮かれていたが、一之瀬の参加によって波乱を呼んでしまう。
「山下? 何か用か」
「ふぅ……かなり言いづらいんだが、一之瀬はその……合コンって興味あるか?」
「合コン?」
山下から合コンと言う単語が口から出て驚いてつい聞き返してしまった。
普段から何事にも落ち着いた態度で淡白なのもあって恋愛事も例外ではなくあまり興味なさそうに見えた。もしかしたら、意外とそうでもなかったのか。
「俺の中学の時の同級が高校の男友達を呼べってしつこくて。俺はこの通り友達が少なくて誘えそうな奴がいないから困ってたんだ」
「一之瀬くん、あと一人足りないんだって……」
山下の後ろからひょっこりと現れた武田が自信なさげに言う。その同級生に半ば強引に付き合わされる山下に同情する。
友達が多ければ、その場に見合った奴を誘えばいいのだが、華がない一之瀬を誘う時点で選んではいられない状況のようだ。
この話し振りだと、武田もか。
「……武田も合コンに参加するのか?」
「うん、僕も参加するよ。よく漫画やドラマでそういうシーンをやっていてどんな感じなのか楽しみなんだぁ」
「そ、そうなのか……」
一之瀬の問いに武田が眼鏡のレンズ越しで目を輝かせて話す。男女のスペックを競い合う弱肉強食の過酷な現場で自分にとっていい女やいい男との出会いを掴む交流の場だ。
楽しみにしてる所悪いが、そんな場所で草食動物の如く弱々しい武田が猛獣達に精神的な面で押し潰されないか心配してしまう。
「一之瀬も今週の土曜に予定がなければ合コンに参加してくれないか? ただ、無理にとは言わない。少し考えてくれないか」
山下は真剣な顔付きで尋ねる。その時、人生で初合コンの時の事を思い出す。
入学してすぐに中学の同級生に合コンを誘われた。一之瀬が誘われた理由は進学校に入った人を呼んで欲しいと女の子に頼まれたからだった。本来の目的である人気者になれるチャンスではないかと自信たっぷりで淡い期待をして参加した。
しかし、結果は連絡先は誰とも自分とは交換されずにリア充っぽい奴らに全部持ってかれて惨敗。結局の所、進学校に入学したとしても一之瀬のような平凡な非リアではリア充には勝てないと改めて理解した。性格までもがさらに歪めた出来事だった。
山下はかなり困ってんな。合コンでは嫌な目に合ってるが、多少世話になってる山下に助け船を出すか。
「……わかった。山下のためだ、俺で良ければ参加するぜ」
「本当にいいのか?」
山下が目を見開いて再び聞いた。
「あぁ、たまには他の女子と楽しみたいのもあるしなぁ」
「よ、良かったね。山下くん」
一之瀬の言葉に武田が山下の方に向いて嬉しそうに話す。山下は安心したかのように頷いていた。半分は可愛い女子と出会いたいのが本音だ。本命はみんなの天使、間宮さんだが、流石に平凡な男相手では勝算がないとわかっている。
それに間宮さんといい雰囲気の春風相手では全く歯が立たない。リア充にはやはり勝てないのかと悔しい思いだ。
しかしこの合コンをきっかけに家庭的で可愛いらしい女子といい雰囲気になれればと期待を持っている。
「ありがとう、一之瀬。時間が決まったら連絡するな。……とその前に連絡先教えてくれないか?」
「おう、俺の連絡先は……」
一之瀬は携帯を取り出して山下と連絡先を交換した。久しぶりの合コンに浮かれていたが、一之瀬の参加によって波乱を呼んでしまう。
1
お気に入りに追加
65
あなたにおすすめの小説
僕が玩具になった理由
Me-ya
BL
🈲R指定🈯
「俺のペットにしてやるよ」
眞司は僕を見下ろしながらそう言った。
🈲R指定🔞
※この作品はフィクションです。
実在の人物、団体等とは一切関係ありません。
※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨
ので、ここで新しく書き直します…。
(他の場所でも、1カ所書いていますが…)
部室強制監獄
裕光
BL
夜8時に毎日更新します!
高校2年生サッカー部所属の祐介。
先輩・後輩・同級生みんなから親しく人望がとても厚い。
ある日の夜。
剣道部の同級生 蓮と夜飯に行った所途中からプチッと記憶が途切れてしまう
気づいたら剣道部の部室に拘束されて身動きは取れなくなっていた
現れたのは蓮ともう1人。
1個上の剣道部蓮の先輩の大野だ。
そして大野は裕介に向かって言った。
大野「お前も肉便器に改造してやる」
大野は蓮に裕介のサッカーの練習着を渡すと中を開けて―…
山本さんのお兄さん〜同級生女子の兄にレ×プされ気に入られてしまうDCの話〜
ルシーアンナ
BL
同級生女子の兄にレイプされ、気に入られてしまう男子中学生の話。
高校生×中学生。
1年ほど前に別名義で書いたのを手直ししたものです。
ヤンデレだらけの短編集
八
BL
ヤンデレだらけの1話(+おまけ)読切短編集です。
全8話。1日1話更新(20時)。
□ホオズキ:寡黙執着年上とノンケ平凡
□ゲッケイジュ:真面目サイコパスとただ可哀想な同級生
□アジサイ:不良の頭と臆病泣き虫
□ラベンダー:希死念慮不良とおバカ
□デルフィニウム:執着傲慢幼馴染と地味ぼっち
ムーンライトノベル様に別名義で投稿しています。
かなり昔に書いたもので、最近の作品と書き方やテーマが違うと思いますが、楽しんでいただければ嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる