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本編

閑話 一方その頃国では

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ユートとラナが幸せなひとときを過ごしている中、2人がでていったあとの国は大変なことになっていた。

彼らが2人を追い出したあとのパーティーはそれはもう明るかった。

入場した王も、この事をした王子を褒め称え、ユミィを正式に王太子の婚約者とした。

賢い正妃を除いて、パーティーにいた皆これでこの国は安泰だと思っていた。(マリアの友人達は兵士によって拘束されていたので除く。)

しかし、それは大間違いだった。

最初の異変は朝から始まった。

使

いや正確には魔法がだいぶ劣った。

ことの発端は精霊にある。

魔法は自身の魔力とともに精霊の力が必要で、この地は精霊に愛された国として有名な魔術師をたくさん育てていた。

しかしそれは大きな間違い。

精霊が愛していたのは聖女のラナであって、その国ではないのだ。

そして人を貶める奴らを精霊たちは好かないし、ラナを悲しませた国など即刻出ていくだろう。

こうして大精霊ものとも、 精霊たちの大移動が始まった。

自身の魔力があろうとも、王宮魔術師でさえ生活魔法が限界だった。

しかし王宮と神殿はそれ以上の修羅場だった。

「おい、この書類どうした!!?」

「こっちにもけが人!!」

「なんで急に魔物が入ってきたんだ?!この国は魔物が入られないんだろう?!!」

王宮は書類の山と化していき、神殿はけが人がそこら中に横たわっていた。

王宮の件については、ユートが乗り移る前のユリアが関わっている。

ユートは成績はそんなに良くなかったが、ユリアはいつでも血の滲むような努力を繰り返していた。

そのため王宮の全ての仕事、国王や王子たち生徒会の仕事まで一人で行えるようになった。

しかしそんなことを知られれば怠け者の人々は全員ユリアに押し付ける。なんで皆自分の仕事がまともに出来ないのだ。

これからこの国は崩壊して、王や貴族たちは世界で一番無能な王、貴族というレッテルを永遠に貼られるだろうが、自業自得だ。

哀れむ気はない。

神殿も同じこと。(ちなみに神殿と教会の違いは、神殿は聖女候補の育成、聖女や神殿の権力者の住処、王族や上位貴族の治療を目的に作られたもので、教会は平民や下位貴族の治療、難民の保護、孤児院、修道女シスターの育成や住処を目的に作られている。)

治癒能力が高いラナに丸投げして、自分たちは快適な生活を送る。

そのツケが今回って来ただけであって、こちらも自業自得だ。

そして魔物のことだが、これはラナが無意識に貼っていた結界が作動して魔物の侵入を拒んでいた。

つまりラナのいない国では当然のように結界はなくなり、魔物が国中の押しかけてくる。

一応国を守るために騎士団と魔術師団はあるが、訓練を怠っていた騎士団と生活魔法レベルの魔法しか使えない魔術師で、何百匹の魔物を倒せるかどうかは謎だが。

こうして2人が出ていった後の国は大変なことになっていた。(全員自業自得だが。)

王妃たち一派を除いて。
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