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本編
1話
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「貴様は我が国の大切な宝である聖女に嫉妬して嫌がらせをしていたそうだな。そんな奴と婚約は出来ない。きさまとの婚約は破棄する!!」
あっ、やっべ。この人達の事忘れてたわ。
男性が王子で女性がヒロイン兼聖女ということは分かるんだけど、でもヒロインの様子が違う気がする。たしかプラチナブロンドの髪に金色の眼だったような......
それに彼女からは聖気を感じられない。
聖女とは文字通り聖なる女性のことだ。
結界を張ったり傷を治したり、人々を癒すことができ、人類にはとても貴重で必要不可欠な人間でもある。
聖女という名前の通り見た目も性格も美しい人間が多い。
そんな聖女は聖気という力が必要不可欠だ。
結界や治療云々もこの聖気というエネルギーを使って行われている。
なのに彼女からは感じ取れない、なぜだろう。
「そして聖女、いや偽聖女サリア・ルベール。君は彼女が本物の聖女であってことを知り、嫉妬して彼女と手を組み嫌がらせをしたようだな。」
王子が目配せするとメガネを掛けた黒髪の男の人が前に出てきた。
「教科書やドレスなどの物を壊す、二人がかりで暴言を吐く、そして挙句の果てに階段から落とそうとする、まぁこれは王子によって助けられましたが、あなた達の罪状を上げればきりがありません。」
確かゲームでは宰相の息子兼攻略対象だった男性がそう言い放った。
でもこれには矛盾してる部分がある。
この転生ではこの瞬間に俺の魂が入り込んだ?と言う表現は正しくないのかもしれないが、少なくとも今までとは違ってこの子が進んできた人生はこの子の人生であって、俺の人生ではない。
しかしその代わりなのか、俺の中にはこの子の記憶がおぼろげにあった。
つまり何が言いたいのかというと、この子の記憶にはないから冤罪だよ、ということだ。
うん、前置き長。
「証拠は揃えてある。それにお前たちが階段から落としたときの目撃者もいる。もう言い逃れはできんぞ。」
だーかーらー、証拠も何もやってないって。それに階段の件に至っては、あの子が勝手に落ちたんだけど。
「であるからしてお前たち二人を国外追放する。そして僕は彼女、聖女ユミィと新たに婚約するとここで宣言する!!」
その王子とやらの発言によって、周りの貴族らしき学生たちがワァと歓声を上げた。
「うれしいですわ!!クレイド様!」
王子が宣言するとその女ユミィは王子に抱きつき、その聖女とやらは王子に抱きつきながらこちらに性悪な笑みを向けていた。
そこまでくれば周囲に鈍感と言われ続けていた俺でもわかる。俺たちはこの女にはめられたわけだ。
「王太子様、失礼ながら申し上げますが、このことは国王殿下や王妃様は了承されているのですか?」
お、よく言った隣の子。
確かに王太子の婚約破棄に、公爵令嬢と、教会では大司教の次に権力を持っている聖女(王子の言うことが正しければ元だけど)の国外追放は、いくら彼が次期国王だからって簡単にできることじゃない。
そこらへんはどうなってるんですかね、王太子様?
「いや、二人にはいってないが問題ない。俺は王太子だぞ?認められるに決まってるだろ。」
あ、だめだ。
こいつアホだわ。大馬鹿だわ。
しかももっとやばいのは自称聖女も他の攻略対象も周りの生徒も全くおかしい事に気づいてないってとこだ。
普通気づくだろ。
というか今からでもいいから気づけ。
こんな奴らに、この国の将来がかかってると思うとぞっとするんだけど。
「はぁ、分かりました。それでは私達は出ていきますので。」
この人達には話が通用しないことが分かったからか、隣の子も諦めたらしい。
正しい判断だ。
この国の人たち(いやこのお坊ちゃんお嬢ちゃんだけなのか?というかそうであってくれ)はみんな頭お花畑ばっかだけど、この子は違う様子で安心する。
まぁそんなまともな子も俺と一緒に国外追放なんだけど。
俺も彼女に続こうと振り向いた時、そこにはプラチナブロンドの髪に金色の目を持った美少女がいた。
その子を見た瞬間、俺は固まってしまった。
その子がヒロインだったからではなく、凄まじい聖気を感じたからでも、超絶美人だったからでもない。(いや実際ものすごく美人で俺のタイプだが。)
その女性に物凄く見ぼえがあったのだ。
「ラナ......?」
彼女の名前はサリア、いやラナ。
俺の弟子で、友人で、そして恋人だった女性だ。
あっ、やっべ。この人達の事忘れてたわ。
男性が王子で女性がヒロイン兼聖女ということは分かるんだけど、でもヒロインの様子が違う気がする。たしかプラチナブロンドの髪に金色の眼だったような......
それに彼女からは聖気を感じられない。
聖女とは文字通り聖なる女性のことだ。
結界を張ったり傷を治したり、人々を癒すことができ、人類にはとても貴重で必要不可欠な人間でもある。
聖女という名前の通り見た目も性格も美しい人間が多い。
そんな聖女は聖気という力が必要不可欠だ。
結界や治療云々もこの聖気というエネルギーを使って行われている。
なのに彼女からは感じ取れない、なぜだろう。
「そして聖女、いや偽聖女サリア・ルベール。君は彼女が本物の聖女であってことを知り、嫉妬して彼女と手を組み嫌がらせをしたようだな。」
王子が目配せするとメガネを掛けた黒髪の男の人が前に出てきた。
「教科書やドレスなどの物を壊す、二人がかりで暴言を吐く、そして挙句の果てに階段から落とそうとする、まぁこれは王子によって助けられましたが、あなた達の罪状を上げればきりがありません。」
確かゲームでは宰相の息子兼攻略対象だった男性がそう言い放った。
でもこれには矛盾してる部分がある。
この転生ではこの瞬間に俺の魂が入り込んだ?と言う表現は正しくないのかもしれないが、少なくとも今までとは違ってこの子が進んできた人生はこの子の人生であって、俺の人生ではない。
しかしその代わりなのか、俺の中にはこの子の記憶がおぼろげにあった。
つまり何が言いたいのかというと、この子の記憶にはないから冤罪だよ、ということだ。
うん、前置き長。
「証拠は揃えてある。それにお前たちが階段から落としたときの目撃者もいる。もう言い逃れはできんぞ。」
だーかーらー、証拠も何もやってないって。それに階段の件に至っては、あの子が勝手に落ちたんだけど。
「であるからしてお前たち二人を国外追放する。そして僕は彼女、聖女ユミィと新たに婚約するとここで宣言する!!」
その王子とやらの発言によって、周りの貴族らしき学生たちがワァと歓声を上げた。
「うれしいですわ!!クレイド様!」
王子が宣言するとその女ユミィは王子に抱きつき、その聖女とやらは王子に抱きつきながらこちらに性悪な笑みを向けていた。
そこまでくれば周囲に鈍感と言われ続けていた俺でもわかる。俺たちはこの女にはめられたわけだ。
「王太子様、失礼ながら申し上げますが、このことは国王殿下や王妃様は了承されているのですか?」
お、よく言った隣の子。
確かに王太子の婚約破棄に、公爵令嬢と、教会では大司教の次に権力を持っている聖女(王子の言うことが正しければ元だけど)の国外追放は、いくら彼が次期国王だからって簡単にできることじゃない。
そこらへんはどうなってるんですかね、王太子様?
「いや、二人にはいってないが問題ない。俺は王太子だぞ?認められるに決まってるだろ。」
あ、だめだ。
こいつアホだわ。大馬鹿だわ。
しかももっとやばいのは自称聖女も他の攻略対象も周りの生徒も全くおかしい事に気づいてないってとこだ。
普通気づくだろ。
というか今からでもいいから気づけ。
こんな奴らに、この国の将来がかかってると思うとぞっとするんだけど。
「はぁ、分かりました。それでは私達は出ていきますので。」
この人達には話が通用しないことが分かったからか、隣の子も諦めたらしい。
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この国の人たち(いやこのお坊ちゃんお嬢ちゃんだけなのか?というかそうであってくれ)はみんな頭お花畑ばっかだけど、この子は違う様子で安心する。
まぁそんなまともな子も俺と一緒に国外追放なんだけど。
俺も彼女に続こうと振り向いた時、そこにはプラチナブロンドの髪に金色の目を持った美少女がいた。
その子を見た瞬間、俺は固まってしまった。
その子がヒロインだったからではなく、凄まじい聖気を感じたからでも、超絶美人だったからでもない。(いや実際ものすごく美人で俺のタイプだが。)
その女性に物凄く見ぼえがあったのだ。
「ラナ......?」
彼女の名前はサリア、いやラナ。
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