悪役令嬢?に転生した元勇者〜聖女様と精霊ともふもふとのぶらり旅〜

汐田 蓮

文字の大きさ
上 下
4 / 18
本編

1話

しおりを挟む
「貴様は我が国の大切な宝である聖女に嫉妬して嫌がらせをしていたそうだな。そんな奴と婚約は出来ない。きさまとの婚約は破棄する!!」

あっ、やっべ。この人達の事忘れてたわ。

男性が王子で女性がヒロイン兼聖女ということは分かるんだけど、でもヒロインの様子が違う気がする。たしかプラチナブロンドの髪に金色の眼だったような......

それに彼女からは

聖女とは文字通り聖なる女性のことだ。

結界を張ったり傷を治したり、人々を癒すことができ、人類にはとても貴重で必要不可欠な人間でもある。

聖女という名前の通り見た目も性格も美しい人間が多い。

そんな聖女は聖気という力が必要不可欠だ。

結界や治療云々もこの聖気というエネルギーを使って行われている。

なのに彼女からは感じ取れない、なぜだろう。

「そして聖女、いや偽聖女サリア・ルベール。君は彼女が本物の聖女であってことを知り、嫉妬して彼女と手を組み嫌がらせをしたようだな。」

王子が目配せするとメガネを掛けた黒髪の男の人が前に出てきた。

「教科書やドレスなどの物を壊す、二人がかりで暴言を吐く、そして挙句の果てに階段から落とそうとする、まぁこれは王子によって助けられましたが、あなた達の罪状を上げればきりがありません。」

確かゲームでは宰相の息子兼攻略対象だった男性がそう言い放った。

でもこれには矛盾してる部分がある。

この転生ではこの瞬間に俺の魂が入り込んだ?と言う表現は正しくないのかもしれないが、少なくとも今までとは違ってこの子が進んできた人生はこの子の人生であって、俺の人生ではない。

しかしその代わりなのか、俺の中にはこの子の記憶がおぼろげにあった。

つまり何が言いたいのかというと、この子の記憶にはないから冤罪だよ、ということだ。

うん、前置き長。

「証拠は揃えてある。それにお前たちが階段から落としたときの目撃者もいる。もう言い逃れはできんぞ。」

だーかーらー、証拠も何もやってないって。それに階段の件に至っては、あの子が勝手に落ちたんだけど。

「であるからしてお前たち二人を国外追放する。そして僕は彼女、聖女ユミィと新たに婚約するとここで宣言する!!」

その王子とやらの発言によって、周りの貴族らしき学生たちがワァと歓声を上げた。

「うれしいですわ!!クレイド様!」

王子が宣言するとその女ユミィは王子に抱きつき、その聖女とやらは王子に抱きつきながらこちらに性悪な笑みを向けていた。

そこまでくれば周囲に鈍感と言われ続けていた俺でもわかる。俺たちはこの女にはめられたわけだ。 

「王太子様、失礼ながら申し上げますが、このことは国王殿下や王妃様は了承されているのですか?」

お、よく言った隣の子。

確かに王太子の婚約破棄に、公爵令嬢と、教会では大司教の次に権力を持っている聖女(王子の言うことが正しければ元だけど)の国外追放は、いくら彼が次期国王だからって簡単にできることじゃない。

そこらへんはどうなってるんですかね、王太子様?

「いや、二人にはいってないが問題ない。俺は王太子だぞ?認められるに決まってるだろ。」

あ、だめだ。

こいつアホだわ。大馬鹿だわ。

しかももっとやばいのは自称聖女も他の攻略対象も周りの生徒も全くおかしい事に気づいてないってとこだ。

普通気づくだろ。

というか今からでもいいから気づけ。

こんな奴らに、この国の将来がかかってると思うとぞっとするんだけど。

「はぁ、分かりました。それでは私達は出ていきますので。」

この人達には話が通用しないことが分かったからか、隣の子も諦めたらしい。

正しい判断だ。

この国の人たち(いやこのお坊ちゃんお嬢ちゃんだけなのか?というかそうであってくれ)はみんな頭お花畑ばっかだけど、この子は違う様子で安心する。

まぁそんなまともな子も俺と一緒に国外追放なんだけど。

俺も彼女に続こうと振り向いた時、そこにはを持った美少女がいた。

その子を見た瞬間、俺は固まってしまった。

その子がヒロインだったからではなく、凄まじい聖気を感じたからでも、超絶美人だったからでもない。(いや実際ものすごく美人で俺のタイプだが。)

その女性に物凄く見ぼえがあったのだ。

「ラナ......?」

彼女の名前はサリア、いやラナ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おまけ娘の異世界チート生活〜君がいるこの世界を愛し続ける〜

蓮条緋月
ファンタジー
ファンタジーオタクな芹原緋夜はある日異世界に召喚された。しかし緋夜と共に召喚された少女の方が聖女だと判明。自分は魔力なしスキルなしの一般人だった。訳の分からないうちに納屋のような場所で生活することに。しかも、変な噂のせいで食事も満足に与えてくれない。すれ違えば蔑みの眼差ししか向けられず、自分の護衛さんにも被害が及ぶ始末。気を紛らわすために魔力なしにも関わらず魔法を使えないかといろいろやっていたら次々といろんな属性に加えてスキルも使えるようになっていた。そして勝手に召喚して虐げる連中への怒りと護衛さんへの申し訳なさが頂点に達し国を飛び出した。  行き着いた国で出会ったのは最強と呼ばれるソロ冒険者だった。彼とパーティを組んだ後獣人やエルフも加わり賑やかに。しかも全員美形というおいしい設定付き。そんな人達に愛されながら緋夜は冒険者として仲間と覚醒したチートで無双するー! ※他サイトにて重複掲載しています

【完結】月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

五城楼スケ(デコスケ)
ファンタジー
※本編完結しました。お付き合いいただいた皆様、有難うございました!※ 両親を事故で亡くしたティナは、膨大な量の光の魔力を持つ為に聖女にされてしまう。 多忙なティナが学院を休んでいる間に、男爵令嬢のマリーから悪い噂を吹き込まれた王子はティナに婚約破棄を告げる。 大喜びで婚約破棄を受け入れたティナは憧れの冒険者になるが、両親が残した幻の花の種を育てる為に、栽培場所を探す旅に出る事を決意する。 そんなティナに、何故か同級生だったトールが同行を申し出て……? *HOTランキング1位、エールに感想有難うございます!とても励みになっています!

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!

暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい! 政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

〈完結〉毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

伯爵令嬢の秘密の知識

シマセイ
ファンタジー
16歳の女子高生 佐藤美咲は、神のミスで交通事故に巻き込まれて死んでしまう。異世界のグランディア王国ルナリス伯爵家のミアとして転生し、前世の記憶と知識チートを授かる。魔法と魔道具を秘密裏に研究しつつ、科学と魔法を融合させた夢を追い、小さな一歩を踏み出す。

処理中です...