30 / 30
EPISODE 03・処女の血を啜る女
Epilogue
しおりを挟む
1996年12月17日 17:00
リーパーside
「パパ!!ママ!!」
「オリビア!!よかった……本当に良かった……!!」
あの後、無事にオリビアちゃんを見つけ出した。手首を鎖で宙吊りにされてたんで、もう少し遅れていたら外道女に殺されていたところだっただろう。
そんなオリビアちゃんは少しうちで休ませてやると回復したようで、依頼者を呼んできて見りゃご覧の通り、感動の再開劇だ。
「あ、あの……」
で、その再開劇の真っ只中、一人だけ気まずそうに話しかけてくるやつが。
例の旦那だ。申し訳ないと言わんばかりの顔をして娘を抱く妻へ言葉を紡ぐが……
「………………」
振り向いた妻は無言のまま、旦那をじっと見つめる。
だがその顔付きはどこか物悲しいもので決して怒りに満ちてる訳では無い。
そして何を思ったのか、オリビアを一旦引き剥がすと、呆然と突っ立っている旦那の方へ歩み寄ると…
「馬鹿!どれほど心配したと思ってんの!!」
と、怒鳴る勢いで言い放ち、そのまま旦那の胸へと飛び込んだ。
顔は見えないものの、声が震えてるからにして、泣いているようだ。
「すまない……本当に、すまなかった……」
対する旦那はただ一言、それしか言えなかった。
その一言だけ残すと、抱き寄せてくる妻の背中を優しく撫でてやった。
「よかったよかった。これでめでたし、だね」
「あぁ、そうだな…」
ここまで何も無ければいい話だったんだが…それはそうとして。
「おい。なんでここにいる?」
感動劇を尻目に、俺はある方向へ視線を向ける。
その視線の先にはカウンター席で腰掛け、呑気にぐうたらとする女…言わずもがなローズが居た。
「パフェ食べに来た」
しかも満面な笑みを浮かべてこう言ってくる始末。
「オーケー、素直なのは嫌いじゃない。でもここは喫茶店だ。パフェなんてもんは_」
「あるよ」
「…と、店長さんが言ってるけど?」
「わーったよ。作ればいいんだろ。作れば」
くそっ、こいつら初対面のはずなのに会話の成り立ちが息ぴったりじゃねぇか。
「当然、あんたの付けね」
「まぁ、そうなるわな」
仕事を進めるためとはいえ、そんな約束しちまったからな。
「レージさん、本当にありがとうございました」
「あー、いいっていいって。あとは末永く幸せになれることを祈るよ」
支度をしてると向こうから感謝の言葉が送られてきた。
対して俺は視線を合わさずにテキトーに返してやった。
職業上、人に褒められるようなもんじゃない。だから依頼者に感謝される筋合いなんてない。
「あー、気にしないで。この人照れてるだけだから」
「うっせバーカ」
おちょくってんのか、ローズはそれを出汁にして適当な解釈を入れてくる。
いくら適当とはいえ酷いな。俺が照れるとか天地がひっくりかえってもありえねぇって。
しかし、それがウけたのかどうか知らんが、依頼者含む、その場に居たもの達は暖かな笑顔を見せ、笑っていた。
「………」
…そんな顔されちまったら、怒る気も失せるなこりゃ。
それにしてもオリビアちゃんらいい顔だな。両親に会えたらそりゃそうか。
「……家族、ねぇ」
俺も捨てられなきゃ、あんなふうに笑えてたんだろうか。
その後、依頼者一同と別れを告げた。
……同時に作ったパフェをローズにやってみると「いちごの切り方が雑」と一言ダメ押しされた。
前にもカレーを作った時、リフィアとレナに同じところを突かれたんで、なんも言い返せねぇ。ちくしょうめ。
EPISODE・03
処女の血を啜る女 END
リーパーside
「パパ!!ママ!!」
「オリビア!!よかった……本当に良かった……!!」
あの後、無事にオリビアちゃんを見つけ出した。手首を鎖で宙吊りにされてたんで、もう少し遅れていたら外道女に殺されていたところだっただろう。
そんなオリビアちゃんは少しうちで休ませてやると回復したようで、依頼者を呼んできて見りゃご覧の通り、感動の再開劇だ。
「あ、あの……」
で、その再開劇の真っ只中、一人だけ気まずそうに話しかけてくるやつが。
例の旦那だ。申し訳ないと言わんばかりの顔をして娘を抱く妻へ言葉を紡ぐが……
「………………」
振り向いた妻は無言のまま、旦那をじっと見つめる。
だがその顔付きはどこか物悲しいもので決して怒りに満ちてる訳では無い。
そして何を思ったのか、オリビアを一旦引き剥がすと、呆然と突っ立っている旦那の方へ歩み寄ると…
「馬鹿!どれほど心配したと思ってんの!!」
と、怒鳴る勢いで言い放ち、そのまま旦那の胸へと飛び込んだ。
顔は見えないものの、声が震えてるからにして、泣いているようだ。
「すまない……本当に、すまなかった……」
対する旦那はただ一言、それしか言えなかった。
その一言だけ残すと、抱き寄せてくる妻の背中を優しく撫でてやった。
「よかったよかった。これでめでたし、だね」
「あぁ、そうだな…」
ここまで何も無ければいい話だったんだが…それはそうとして。
「おい。なんでここにいる?」
感動劇を尻目に、俺はある方向へ視線を向ける。
その視線の先にはカウンター席で腰掛け、呑気にぐうたらとする女…言わずもがなローズが居た。
「パフェ食べに来た」
しかも満面な笑みを浮かべてこう言ってくる始末。
「オーケー、素直なのは嫌いじゃない。でもここは喫茶店だ。パフェなんてもんは_」
「あるよ」
「…と、店長さんが言ってるけど?」
「わーったよ。作ればいいんだろ。作れば」
くそっ、こいつら初対面のはずなのに会話の成り立ちが息ぴったりじゃねぇか。
「当然、あんたの付けね」
「まぁ、そうなるわな」
仕事を進めるためとはいえ、そんな約束しちまったからな。
「レージさん、本当にありがとうございました」
「あー、いいっていいって。あとは末永く幸せになれることを祈るよ」
支度をしてると向こうから感謝の言葉が送られてきた。
対して俺は視線を合わさずにテキトーに返してやった。
職業上、人に褒められるようなもんじゃない。だから依頼者に感謝される筋合いなんてない。
「あー、気にしないで。この人照れてるだけだから」
「うっせバーカ」
おちょくってんのか、ローズはそれを出汁にして適当な解釈を入れてくる。
いくら適当とはいえ酷いな。俺が照れるとか天地がひっくりかえってもありえねぇって。
しかし、それがウけたのかどうか知らんが、依頼者含む、その場に居たもの達は暖かな笑顔を見せ、笑っていた。
「………」
…そんな顔されちまったら、怒る気も失せるなこりゃ。
それにしてもオリビアちゃんらいい顔だな。両親に会えたらそりゃそうか。
「……家族、ねぇ」
俺も捨てられなきゃ、あんなふうに笑えてたんだろうか。
その後、依頼者一同と別れを告げた。
……同時に作ったパフェをローズにやってみると「いちごの切り方が雑」と一言ダメ押しされた。
前にもカレーを作った時、リフィアとレナに同じところを突かれたんで、なんも言い返せねぇ。ちくしょうめ。
EPISODE・03
処女の血を啜る女 END
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる