異世界喫茶店の黒い殺し屋

42神 零

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EPISODE 02・爆発的芸術と称する変態

Epilogue

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1996年12月01日 00:10
レギンside


 ...逃げられてしまったか。

 報告によれば、トラックが空中に舞い上がったと思えば攻撃を受け、門の制御が効かなくなったと聞く。

 奴らを逃がさぬよう、門を閉じたのが回って災難を招いてしまったようだ。私の判断ミスだな。

 さらに別働隊からもボマーを逃したという報告もあった。結果的に多数の負傷者を出すことに終わったな...。


「負傷者を運べ。今は撤退する」


 とは言え、過ぎたことは仕方ない。今は出来ることだけやるとしよう。

 だが、忘れたとは言わせんぞ...。いつしかボマー諸共奴らを捕まえてやる。




・・・




・・









1996年12月02日 07:30
リーパーside


「暴徒制圧組織・ヴァルキリーからの続報です。先日、最上層界アズガルドを象徴とするシンボルこと、ユグドラシルタワーによる爆発事件について、裏社会で暗躍する殺し屋・ボマーの犯行だと声明しました。彼は爆弾を中心とした扱いに慣れ_」

「おいおい、早速騒ぎになってんじゃねぇかよ」


 ボマーとの激戦から2日後。俺は配置されてあるテレビから流れる放送を聞きながらカレーを作っていた。

 最近になって珈琲を淹れる他、カレー作りに手をつけられるようになった。

 ...つってもまぁ、リフィアのレクチャーというスパイス入りだが。


「この人知り合い?」

「まぁな。昨日殺り合った」

「そんなサラッと言わなくても...」


 殺し屋同士衝突するなんて裏社会じゃ珍しくない。前世だって雇われた殺し屋と戦ったことだってある。

 今回の場合、それに当たるな。確かムスペル...とか言ってたな。


「でも今回はちょっと嬉しかったな」

「何がだ?」

「行く前にちゃんと挨拶してくれて」

「あぁ、あれ?別にいいだろ」

「別にってなにさ、あれが最期のやり取りとか私嫌だからね」

「はいはい、ほらカレーでも食って落ち着けって」


 頬を膨らませてこちらをジト目で睨み付けるリフィアの前に俺特製のカレーを置いてやった。

 盛り付けも十分だ。我ながらよくできたもんだな。


「全く...もう少しぐらい気を付けてよ...って甘っ!?なにこれ!?何入れたの!?」

「ハチミツだ。煮込む前に入れてみたが、どうだ?新メニューに入れるか?」

「ハ、ハチミツ入れるとこうなるんだ...ま、まぁ隠し味はさておき...具材の切る大きさ、何とかならなかったの?じゃがいもが大きいよ」

「...そこは見なかったことにしてくれ」


 リフィアにしては痛いところ突いてくるな。俺は不器用なんだ、ほっといてくれ。


「ママー、パパー、おはよー」


 と、ここで我が家のお嬢ことレナが起きてきた。前々から思ってたけど、寝癖すげぇな。

 なんかボサボサを通り越して鬼の角みたいになってんぞ。


「あー!カレー!!」


 そんなレナなんだが、カレーを見るなり目を輝かせて急接近してきた。さっきまでの眠気なんてぶっ飛んだようだ。


「レナ、おはよう。レージくんが作ったカレーだけど食べてみる?」

「パパが作ったの!?食べる食べる!!」


 すっげぇ食い気味だな。そんなに俺が作った料理が食いたかったのか、このお嬢は。


「あーん」


 で、そんなレナだが、美味しそうにカレーを一口運び、閉じてもぐもぐと咀嚼する。

 ...なんか、こう見ると小動物みたいだ。


「どうだ、味は?」

「おいひぃ!!」

「ははっ、よかったよかった」

「でもじゃがいもでかーい」

「.........」


 お、親子揃ってそこを突いてくる...。

 しかもレナに至っては純粋な感想なんで、なんかショックでしかない。


「にっしっし、言われてやんの」

「るせぇな、しょーがねぇだろ。料理とかやった事ねぇんだからよ」

「じゃあ逆に聞くけど、今までどうやって生きてきたの?」

「山に行って狩りして、テキトーに焼いて食ってたな」

「いや、だからサラッとそんなこと言われてもさ...」


 なんか苦笑いされた。

 まぁ普通の家庭ってのはこんな感じなんだろうな。俺は経験したことないから全くわかんねぇが...


「あったけぇな...」

「何か言った?」

「いや、なんでもない。さーて仕事だ仕事。今日も頑張るぜ」

「取り敢えず今日はカレー無しね。珈琲淹れるのまだマスターしてないでしょ」

「きょ、今日も今日とてよろしくお願いしますね、教官殿」

「うむ、よろしい」


 ...正直、今の生活に満足してる俺がいるな。うん。




EPISODE・02
爆発的芸術と称する変態 END
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