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EPISODE 00・異世界へ来た殺し屋
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1996年09月28日 21:05
リーパーside
「………」
何とか寝床を確保した俺は、ホームに置かれた待機席の上で横になり、整備されてない電灯を見つめながらボーっとしていた。
何を考えるのかと聞かれりゃ、そりゃもう沢山だ。ここがどこなのか、俺はどうなったのか…
「…あれ無理してる人間の顔だったな」
何より記憶に新しいのがリフィアについてだ。
奴自身は明るく振る舞っているつもりらしいが、俺は見逃さなかった。あいつの目が笑っていなかったことを。
つっても外道のような腐りきった瞳とは別で、どちらかと言えば…何かを恨んでいて、何かを覚悟しているような、そんな目だった。
長年殺し屋を営んでたんでな。人の目を見りゃ大抵の考え事は分かるようになっちまった。
おまけに俺が持っていた拳銃を「壊れた」と称して返さなかったこと。変な圧に押されて返せとは言えなかったが…
「…いや、まさかな」
何となく嫌な予感が過ったが、あの拳銃は複雑だ。ちょっとやそっとじゃ壊れねぇし、なんなら素人がそう容易く使えるもんじゃない。
あー、やめだやめ。これ以上変に考えてもこんがらがる。ここはとっとと寝て忘れ…
「お、やっと見つけた…おーい、黒の兄ちゃん。ちょっと…ってなんじゃこりゃ!?」
…寝ようとしたら誰かに話しかけられた挙句、勝手に驚かれた。
でもまぁ、そりゃびっくりするだろうな。何せ俺が寝っ転がってる隣にはウザ絡みしてきた馬鹿共が山のように積み重なってんだからよ。
「またあんたか。悪いが老人の独り言に付き合う気分じゃねぇぞ」
んで、顔に被せたハット帽から覗かせてみると、朝に有難い情報をくれた隻眼のホームレスが突っ立っていた。
「………」
…どういうわけか知らねぇが、エイルで見かけた白髪のガキを連れて。
「おいおい、おっさん。ホームレスだからっていくらなんでもガキを攫うのはまずいって」
「子供は好きだが、犯罪まがいなことはしないんで安心しなさんな。それにこの子はこっちからやって来てな」
まぁ、嘘じゃないってのは初めから知っているけどな。
なんせそのガキ、目が赤くなってる。ついさっきまで大泣きでもしてたんだろうよ。
「で、結局俺に何の用だ?只事じゃないみたいだけど」
このガキを連れてきた…ということはリフィア関係か。もしかすると厄介事に巻き込まれたのか?
「話が早くて助かる。この子の親が攫われたんだよ」
「どこのどいつに?」
「ミダスという闇金会社だ。違法ギリギリのやり方で金を搾り取る、クソみたいな会社だ」
「ほーん…闇金、ねぇ」
通りであんな暗い顔してたわけ、か。
その闇金にちょっかい掛けられてるってことはせいぜい借金か何かを抱え込んでるってのがオチだろ?
「あそこの会社は色々と黒い噂があってな。首が回らなくなった女は性奴隷にしたり、返済と称して詐欺まがいなことをしていたり…挙句の果てには、奴らのバックにはヨトゥンっつー巨大組織が_」
「あー、大まかなことはわかった。で、あんたは俺に何を望む?」
とりあえずその会社がまともじゃねぇってのは痛いほどよくわかった。
俺が聞きたいのは闇金会社の情報じゃなくて、このおっさんが俺にどうして欲しいのか、そこだけはハッキリしておきたい。
「無理を承知して言う…この子の親、リフィアを助けて欲しい」
そう言うと、おっさんは地面に膝を着いて土下座し始めた。
人に物を頼む態度にしちゃ、ちとやりすぎてる部分があるが、そこまでするってことはおっさんにも少なからず、リフィアに御恩があるってことだな。
「…ひとつ聞きたい。何故俺に頼む?」
だが一番理解出来ない部分がある。それは何故おっさんが俺にこんなことを頼むかだ。
今日の朝会ったばっかりで、互いにまだ何も知らない状態だ。それなのに、このおっさんは初めから俺を殺し屋かなんかだとわかっているような、そんな物言いに少し不気味に感じてしまう。
「お前さん、本当は殺し屋なんだろ?」
「根拠は?」
「ない。ただ俺の直感だ」
「………」
ふざけてるって訳じゃなさそうだ。
いくらなんでもドラマや漫画の見すぎ、と言いたいところだが、様子を見る限りじゃ突っ込んでる時間もくそもねぇか。
「本来なら報酬の取引をしたいところだが、俺にもリフィアに恩がある。ここはひとつ、タダ働きしてやろうじゃねぇか。だからおっさん、顔を上げてくれ」
主に俺が恥ずかしい。言ってなかったが、ここって普通に人通ってるからよ。
…まぁ通りすがる度に、連中は山積みになったDQN共に釘付けになるんだが。
「あぁ、ありがたい…!」
「その間、ガキは頼んだ。行ってくる」
さてと、ゴミ掃除と洒落こみますか。
リーパーside
「………」
何とか寝床を確保した俺は、ホームに置かれた待機席の上で横になり、整備されてない電灯を見つめながらボーっとしていた。
何を考えるのかと聞かれりゃ、そりゃもう沢山だ。ここがどこなのか、俺はどうなったのか…
「…あれ無理してる人間の顔だったな」
何より記憶に新しいのがリフィアについてだ。
奴自身は明るく振る舞っているつもりらしいが、俺は見逃さなかった。あいつの目が笑っていなかったことを。
つっても外道のような腐りきった瞳とは別で、どちらかと言えば…何かを恨んでいて、何かを覚悟しているような、そんな目だった。
長年殺し屋を営んでたんでな。人の目を見りゃ大抵の考え事は分かるようになっちまった。
おまけに俺が持っていた拳銃を「壊れた」と称して返さなかったこと。変な圧に押されて返せとは言えなかったが…
「…いや、まさかな」
何となく嫌な予感が過ったが、あの拳銃は複雑だ。ちょっとやそっとじゃ壊れねぇし、なんなら素人がそう容易く使えるもんじゃない。
あー、やめだやめ。これ以上変に考えてもこんがらがる。ここはとっとと寝て忘れ…
「お、やっと見つけた…おーい、黒の兄ちゃん。ちょっと…ってなんじゃこりゃ!?」
…寝ようとしたら誰かに話しかけられた挙句、勝手に驚かれた。
でもまぁ、そりゃびっくりするだろうな。何せ俺が寝っ転がってる隣にはウザ絡みしてきた馬鹿共が山のように積み重なってんだからよ。
「またあんたか。悪いが老人の独り言に付き合う気分じゃねぇぞ」
んで、顔に被せたハット帽から覗かせてみると、朝に有難い情報をくれた隻眼のホームレスが突っ立っていた。
「………」
…どういうわけか知らねぇが、エイルで見かけた白髪のガキを連れて。
「おいおい、おっさん。ホームレスだからっていくらなんでもガキを攫うのはまずいって」
「子供は好きだが、犯罪まがいなことはしないんで安心しなさんな。それにこの子はこっちからやって来てな」
まぁ、嘘じゃないってのは初めから知っているけどな。
なんせそのガキ、目が赤くなってる。ついさっきまで大泣きでもしてたんだろうよ。
「で、結局俺に何の用だ?只事じゃないみたいだけど」
このガキを連れてきた…ということはリフィア関係か。もしかすると厄介事に巻き込まれたのか?
「話が早くて助かる。この子の親が攫われたんだよ」
「どこのどいつに?」
「ミダスという闇金会社だ。違法ギリギリのやり方で金を搾り取る、クソみたいな会社だ」
「ほーん…闇金、ねぇ」
通りであんな暗い顔してたわけ、か。
その闇金にちょっかい掛けられてるってことはせいぜい借金か何かを抱え込んでるってのがオチだろ?
「あそこの会社は色々と黒い噂があってな。首が回らなくなった女は性奴隷にしたり、返済と称して詐欺まがいなことをしていたり…挙句の果てには、奴らのバックにはヨトゥンっつー巨大組織が_」
「あー、大まかなことはわかった。で、あんたは俺に何を望む?」
とりあえずその会社がまともじゃねぇってのは痛いほどよくわかった。
俺が聞きたいのは闇金会社の情報じゃなくて、このおっさんが俺にどうして欲しいのか、そこだけはハッキリしておきたい。
「無理を承知して言う…この子の親、リフィアを助けて欲しい」
そう言うと、おっさんは地面に膝を着いて土下座し始めた。
人に物を頼む態度にしちゃ、ちとやりすぎてる部分があるが、そこまでするってことはおっさんにも少なからず、リフィアに御恩があるってことだな。
「…ひとつ聞きたい。何故俺に頼む?」
だが一番理解出来ない部分がある。それは何故おっさんが俺にこんなことを頼むかだ。
今日の朝会ったばっかりで、互いにまだ何も知らない状態だ。それなのに、このおっさんは初めから俺を殺し屋かなんかだとわかっているような、そんな物言いに少し不気味に感じてしまう。
「お前さん、本当は殺し屋なんだろ?」
「根拠は?」
「ない。ただ俺の直感だ」
「………」
ふざけてるって訳じゃなさそうだ。
いくらなんでもドラマや漫画の見すぎ、と言いたいところだが、様子を見る限りじゃ突っ込んでる時間もくそもねぇか。
「本来なら報酬の取引をしたいところだが、俺にもリフィアに恩がある。ここはひとつ、タダ働きしてやろうじゃねぇか。だからおっさん、顔を上げてくれ」
主に俺が恥ずかしい。言ってなかったが、ここって普通に人通ってるからよ。
…まぁ通りすがる度に、連中は山積みになったDQN共に釘付けになるんだが。
「あぁ、ありがたい…!」
「その間、ガキは頼んだ。行ってくる」
さてと、ゴミ掃除と洒落こみますか。
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