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EPISODE 00・異世界へ来た殺し屋
03
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1996年09月28日 20:50
「ありがとうございましたー」
喫茶店エイル。ここニヴル地下街唯一の癒しの場所。
やってくる客は少ないながら様々で、穏やかな人も居れば、愚痴をこぼしにやってきた者、中には組織絡みの人間だってやってくる。
そんなエイルの閉店時間は21:00。現時刻をもってラストオーダーを終えたリフィアと白髪のひとり娘レナは喫茶店の後片付けに取り掛かった。
「………」
その最中、リフィアはキッチンの戸棚を開き、あるものを見つめる。
それは黒い物体で、手に持つとズッシリとした重量感のあるもの…。
リフィアはただそれを見つめるだけで手に取らず、何か覚悟を決めたような顔付きでゴクリと固唾を呑んだ。
「…ママ?」
「へ?」
物静かにじっと見つめるリフィアだったが、横からやってきたレナの声で我に返った。
振り向くと、そこには心配そうにリフィアを見つめるレナの姿が…。
「あ、あぁ。ごめんね、後片付けだね」
正気を取り戻したリフィアは苦笑いしながら一言謝罪すると、再度後片付けに手を出した…
_ドォンッ!!
…まさにその直後だった。
締まったはずの出入口用の扉が勢いよく蹴破られ、外からは大量の黒服の男が流れ込んできたのだ。
「っ!!」
突然の招かれざる客にレナは悲鳴を上げてリフィアの背後へ、リフィアはそのレナを守る形で一歩後ろへ下がった。
この対応からして過去に何度も似たようなことがあるようで、リフィアは度々黒服集団に頭を悩ませているらしい。
そんな黒服集団を掻き分け、現れたのは貫禄のある丸坊主の大男。背中には日本語とも英語とも捉えられない文字がデカデカと記載されている。
この男が黒服を取り締まってる者だと見える。
「よぉ、リフィア。借金返済の方はどうだ?」
タバコを一本口に銜えたその男は、黒服のひとりから火を灯させ、ニコチンを含んだ汚い煙を撒き散らしながらニヤリと笑う。
どうやらリフィアから借金を取り立てる、闇金融の人間らしい。
「借金返済って…もう返したじゃない。今更なんの用?」
「おいおいとぼけんなよ。まだ利子があるだろ?」
「あんなの利子じゃない!あんた達が金を搾取してるだけ!これ以上私から何を奪うっての!?」
怯みを見せないリフィアだったが、そう言い切った直後に乾いた音が鳴り響き、リフィアは後ろへ吹き飛んで行った。
泣き叫ぶレナの前には、ビンタを振り抜いた大男の姿が。
対するリフィアは刈り取られそうな意識の中、何とか堪えて立ち上がろうとするも、左右からやってきた黒服たちによって拘束され、身動きが取れない状態に陥った。
「威勢のいい女は好きだが、生意気な女は大っ嫌いだ。それに口答えできる立場だと思ってんの?」
「っ…!」
挑発口調でそうベラベラと喋る大男に対し、歯を食いしばって睨み付けるリフィア。
理由はどうであれ、借金を背負っている以上、反論したらどうされるのか…そんなこと目に見えてるリフィアにとって、ここはグッと堪えるしかなかった。
何より関係の無いレナだけは巻き込みたくない。その一心で動いてるリフィアは自身が犠牲になってもいい覚悟は出来ていた。
「んー…そうだな。返せねぇなら…俺の奴隷にでもなれ」
だが現実とは非情なもので、大男はそんなリフィアも知らんと言わんばかり、理不尽な請求をしてきた。
彼の持つ鎖の先端にはゴム製の輪っかが引っ掛かっており、それを持ってはリフィアの首にはめこもうと近付いた。
「…そうすればレナに手を出さない?」
「さぁ?そいつはどうかな」
「………」
首輪をかけられそうになってる状況下の中、リフィアは冷静にリリナの方へ視線を向ける。
「ママァ…!ママァ!!」
そこには顔を真っ赤にして泣き叫ぶレナの姿があった。
まだ純粋無垢な年頃のためか、レナにとって何を口喋ってるのか理解出来かったものの、本能的に母親が拉致されると察したのだろう。これまで以上の声量で泣き叫んでいた。
「…わかった。あんたの奴隷でもなんでもやるから、レナだけは手を出さないで。それだけは譲れないわ」
少し間が開いた後…リフィアは真剣な眼差しで大男にそう訴える。
「言い方が癪に障るが…いいだろう。テメェらのカンドーする親子愛に免じて、ガキは見逃してやるよ」
対する大男はニヤリと汚らしい笑顔を見せると、そのまま首輪を使ってリフィアに…
「ありがとうございましたー」
喫茶店エイル。ここニヴル地下街唯一の癒しの場所。
やってくる客は少ないながら様々で、穏やかな人も居れば、愚痴をこぼしにやってきた者、中には組織絡みの人間だってやってくる。
そんなエイルの閉店時間は21:00。現時刻をもってラストオーダーを終えたリフィアと白髪のひとり娘レナは喫茶店の後片付けに取り掛かった。
「………」
その最中、リフィアはキッチンの戸棚を開き、あるものを見つめる。
それは黒い物体で、手に持つとズッシリとした重量感のあるもの…。
リフィアはただそれを見つめるだけで手に取らず、何か覚悟を決めたような顔付きでゴクリと固唾を呑んだ。
「…ママ?」
「へ?」
物静かにじっと見つめるリフィアだったが、横からやってきたレナの声で我に返った。
振り向くと、そこには心配そうにリフィアを見つめるレナの姿が…。
「あ、あぁ。ごめんね、後片付けだね」
正気を取り戻したリフィアは苦笑いしながら一言謝罪すると、再度後片付けに手を出した…
_ドォンッ!!
…まさにその直後だった。
締まったはずの出入口用の扉が勢いよく蹴破られ、外からは大量の黒服の男が流れ込んできたのだ。
「っ!!」
突然の招かれざる客にレナは悲鳴を上げてリフィアの背後へ、リフィアはそのレナを守る形で一歩後ろへ下がった。
この対応からして過去に何度も似たようなことがあるようで、リフィアは度々黒服集団に頭を悩ませているらしい。
そんな黒服集団を掻き分け、現れたのは貫禄のある丸坊主の大男。背中には日本語とも英語とも捉えられない文字がデカデカと記載されている。
この男が黒服を取り締まってる者だと見える。
「よぉ、リフィア。借金返済の方はどうだ?」
タバコを一本口に銜えたその男は、黒服のひとりから火を灯させ、ニコチンを含んだ汚い煙を撒き散らしながらニヤリと笑う。
どうやらリフィアから借金を取り立てる、闇金融の人間らしい。
「借金返済って…もう返したじゃない。今更なんの用?」
「おいおいとぼけんなよ。まだ利子があるだろ?」
「あんなの利子じゃない!あんた達が金を搾取してるだけ!これ以上私から何を奪うっての!?」
怯みを見せないリフィアだったが、そう言い切った直後に乾いた音が鳴り響き、リフィアは後ろへ吹き飛んで行った。
泣き叫ぶレナの前には、ビンタを振り抜いた大男の姿が。
対するリフィアは刈り取られそうな意識の中、何とか堪えて立ち上がろうとするも、左右からやってきた黒服たちによって拘束され、身動きが取れない状態に陥った。
「威勢のいい女は好きだが、生意気な女は大っ嫌いだ。それに口答えできる立場だと思ってんの?」
「っ…!」
挑発口調でそうベラベラと喋る大男に対し、歯を食いしばって睨み付けるリフィア。
理由はどうであれ、借金を背負っている以上、反論したらどうされるのか…そんなこと目に見えてるリフィアにとって、ここはグッと堪えるしかなかった。
何より関係の無いレナだけは巻き込みたくない。その一心で動いてるリフィアは自身が犠牲になってもいい覚悟は出来ていた。
「んー…そうだな。返せねぇなら…俺の奴隷にでもなれ」
だが現実とは非情なもので、大男はそんなリフィアも知らんと言わんばかり、理不尽な請求をしてきた。
彼の持つ鎖の先端にはゴム製の輪っかが引っ掛かっており、それを持ってはリフィアの首にはめこもうと近付いた。
「…そうすればレナに手を出さない?」
「さぁ?そいつはどうかな」
「………」
首輪をかけられそうになってる状況下の中、リフィアは冷静にリリナの方へ視線を向ける。
「ママァ…!ママァ!!」
そこには顔を真っ赤にして泣き叫ぶレナの姿があった。
まだ純粋無垢な年頃のためか、レナにとって何を口喋ってるのか理解出来かったものの、本能的に母親が拉致されると察したのだろう。これまで以上の声量で泣き叫んでいた。
「…わかった。あんたの奴隷でもなんでもやるから、レナだけは手を出さないで。それだけは譲れないわ」
少し間が開いた後…リフィアは真剣な眼差しで大男にそう訴える。
「言い方が癪に障るが…いいだろう。テメェらのカンドーする親子愛に免じて、ガキは見逃してやるよ」
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