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第2章 -少女期 復讐の決意-
108.閑話 Side天敵 リリーナの復讐 -2-
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Side モリー
オヒシバ子爵家のある一室に、モリーは鬱々とした表情で寝込んでいた。
後妻とはいえ、この子爵家の女主人となったにもかかわらず、主人と同じ部屋にならない様……再婚してこの屋敷に来た時から体調不良を理由に別部屋で引き籠っていた。
公爵家から爵位も無い上犯罪者の血縁となり、資産も資金も領地も無い…本当に”ただの女”に成り下がった自分を認めたくなかった。
だが、現実から目を逸らし続けることも出来ない…。
お母様が忠告した様に、爵位も無く牢に入れられたままであればいつ処刑されるか分からない。
例え気に入らない…忌々しいお茶会で恰好のネタになったとしても、この再婚は必要不可欠なモノだった。
しかし…いざ対面した”新しい旦那”は、マシュー様と同じ人間とは思えない程醜く太り気持ちの悪い…生理的に受け付けない男で絶望した。
旦那様は…私の旦那様は公爵家という貴族の中でも尊ばれる身分の上、冷たいながらもそのクールさで数々の女の目を奪った程のイイ男だった。
初めは”公爵家で美男子”という価値にときめいていたが…毎日飽きることないその彫刻の様な美貌に、本気で夢中になってしまった。
婚姻当初、あらゆるお茶会やパーティーで鼻高々にしていた頃が懐かしい。
「おめでとうございます!」という賛辞とは裏腹に、妬み嫉みの篭った熱い視線を一身に浴びていた、あの時は今思うと人生で一番輝いていたし、とても気分が良かった。
女神の様に美しく地位も高く、その上あんなイイ男と結婚出来るなんて…やはり私は選ばれた人間なのだと、本気で思っていた。
────しかし、現実はどうだ?
本気で好きになった旦那様は過去の恋愛を引きずり、一向に自分を見てくれない。
それでも子どもが出来れば変わるのでは!と思えば中々出来ず…どんどん関係が冷めていく空気に耐えきれず代わりの”仕込み男”と操を破り…出来た子どもは全く旦那様の面影もない。
むしろ自分の面影すらなく、完全に旦那様から愛想をつかされ…社交界では見下していた者達から笑われる様になり。
極めつけは離縁、没落、愛した男は他の女に取られ、生理的に受け付けない醜い男と再婚??
なんてクソみたいな人生だ、吐き気がする。
どこで間違ったのか…他の男にも子種を仕込ませた時?いや、あの時は相当焦っていたのだ…一刻も早くあの人の意識を私に向かせる”子ども”が欲しかった。
妊娠中は幸せだった…あれだけ映らなかった綺麗な水色の瞳に、自分の姿が見えたのだから。
やはり、仕込みに関わった者達を全て殺したのが間違いだった。あの気味の悪い子の父親のせいで、人生が滅茶苦茶になってしまったのだ。もっと痛めつけて嬲り殺してやれば、少しは気が晴れただろうに…。
などと今更考えてもどうにもならないことを考えていた時、メイドがノックして部屋に入ってきた。
「奥様、体調の方はいかがでしょうか?───そろそろ落ち着いてきた頃かと思いますので、やはり主賓室に」
「いやっ!!!!!・・・いや、まだ体調が悪いのよ、悪いけどまだ回復には時間がかかりそうだわ。何せ最悪な環境の牢にずっといたんだもの。」
「・・・・・さようでございますか。かしこまりました。では、失礼いたします。」
モリーの嘘見え見えの返答にも何も言わず、静々と立ち去った。
足音が遠くなり、ホッと安堵する。
冗談じゃない。主賓室だと?あの、あの醜い豚男と共寝をしろと?夜伽をしろというのか?この私が??ありえない…!!!それだけは、それだけは嫌だ!!!死んだ方がマシだ!!!
何としてでも、そんな地獄の未来だけは避けなければ…。
幸い、当主のジョオンはこっちの思惑など気づかない、能天気な馬鹿頭みたいだ。
ちょっと考えれば分かることだろうに、私の様な美しい女を妻に出来た幸福に酔って気づきもしない。
モリーは鬼気迫る顔で、どうにか状況を打破しようと思考を巡らせ…気づけば眠りについていた。
◇
まどろみの中で、頭を撫でられる感覚がしてモリーは目が覚めた。
そして────目に飛び込んだ光景に悲鳴を上げ、ベッドから転がり落ちるように後退った。
「おや、目が覚めたみたいだね?僕のお嫁さん。思ったよりも元気そうだ。」
腰かけた部分が深く沈むその人物は、モリーの再婚相手でありこの屋敷の主人であるジョオン・オヒシバ子爵である。
先程まで撫でていた手を名残惜しそうに元の位置に戻すと、そのでっぷりとした腹が邪魔で振り返れなかったのだろう、立ち上がり傍の椅子に座りなおし床で恐怖に震えるモリーを見つめた。
「ぐふ、モリー。ビックリしたかい?そうだよね、君の「体調が悪い」という見え透いた嘘をそのまま飲み込んで、別室を用意してずっと君の回復を待っていたんだから。まさか、勝手に部屋に来るなんて思わなかっただろう?”騙しやすい馬鹿な醜い男”だと侮っていただろうからね?
ふ、ぐふふふ、本当に、モリーは可愛いねぇ?自分が、僕みたいな人間よりも頭が良いに決まってると思ってるんだよね?本当、変わらないなぁ君は。」
恍惚とした表情で、愛しさと憎悪と…色んな感情が混ざったような妖しい目つきに、モリーは益々体が震える。
「君は覚えてないかもしれないけど、僕と君は同い年でね。王都学園で学年も一緒で…。モリーは美人でしかも伯爵令嬢だったからね、とても目立ってて…よく見てたよ、その頃から。」
モリーは学園時代を思い出すが、その頃から既に格下や見目の悪い男共など視界にも入れておらず、全くと言っていい程ジョオンの記憶など無かった。
「その頃から君は、自分より格下の者達には一切興味も無くて…あぁ、いや。見目の良い男は別だったかな?いつもいつも醜い僕みたいな奴等を見下して嘲笑ってたよね。
ぐふ、僕はね、そんな風に鼻につく女が大好きなんだ。何故だかわかるかい?
────そんな自信満々で周囲を見下す女共が、絶望する顔を想像すると…ゾクゾクするんだ!!
いつもいつも見てたよ、いつも嘲笑う君達が逆の立場になって、今度は笑われる様になったらって。
君達のプライドが折れるには?何が一番効果的?どうすれば絶望するのかな?って、毎日毎日楽しかったァ。」
昔から、ストーカーの様な…しかも質の悪い妄想をされていたなんて、とモリーは顔を真っ青にする。
”騙されやすい馬鹿頭”なんかじゃない、ただのサイコパス男だった。
寒い。全身が震える…誰か、誰か助けてほしい…と届かない助けを心で叫ぶ。
「でもやっぱり現実は上手くいかなくてね?君より格下の僕は諦めて同じ子爵の次女である前妻と結婚したんだ。勿論、前妻はモリーみたいにプライドが高くって権威者思考の強い子だったよ。だから結婚したんだけどね?
本当、あの時の顔といったら…!!最高だったよ、君にも見せてあげたいくらい!
僕と結婚すると初めて会った時の絶望した顔!!たまんなかった!!
醜い僕と夜伽をして、毎日あの嘲笑って顎を上げてた女がずっと泣いて…本当、楽しかったなぁ。
でもそれよりもっといい反応があったのがね?社交界に出た時だよ。
僕はもっとイイ顔が見たくて、前妻との秘め事を赤裸々に、ちょっとあることない事も含ませて周囲に話してたんだ。
前妻は引き籠ってたから知らなくてね、久々に出たお茶会で色んな人達から話しかけられたみたいで…屋敷に帰る馬車の中で耐えきれずに発狂してたよ!!!
僕みたいな醜い男に、イイ様にされてた事をみーーーんなが詳しく知ってるんだから!!
プライドが高い前妻には耐えられない屈辱と羞恥だっただろう!!
まぁ、本当に耐えられなかったみたいでね…ちょっと壊れちゃって。
もう飽きちゃったし、離縁してあげたんだ。ちょうど世継ぎであるグリーゼも生まれたしね?
だから、君の話を聞いた時は本当に運命だと思ったよ!!
あの公爵と結婚して、絶対手が届かない存在になってしまった君が!!まさか得体のしれない間男との子を生み離縁されそうになってるなんて!!!
そんな外聞が悪い噂が広まって、しかも連れ子もいるとなったら…僕にもチャンスがあると思ってね?」
話している内に興奮したジョオンは、モリーの傍まで近寄り髪を一房掬い上げた。
「ヒィィッ!!!」
「良い返事が来なくて、諦めてたが…ぐ、ぐふふ!!まさか君の実家が没落するとは!!!!
ライバルもいなくなって本当、心躍ったよ!まぁ、前妻みたいにメンタルが早々にやられないように、君の母上と子どもも引き取る様にしたのは想定外だったけど、良いだろう。
ちょうどグリーゼにも新しい玩具が欲しかったところだし。最近あの子も楽しそうでね、引き取って良かったよ。」
そう、ジョオンがグリーゼを溺愛しているのは間違いないが、ジョオンはグリーゼの演技にただ騙されている訳ではない。
ジョオンの加虐性を受け継いだグリーゼの戯れを、面白そうに見守っているのだ。
ただ思い通りに動いてあげているようで、その後の状況を密かに楽しんで見ている為、アイリーンの訴えはジョオンには絶対に届かない。
まだ幼い少女だけでは悪魔も決定打に欠けていたが、この”とっても悪魔好み”な父親がいたから、悪魔は即決でオヒシバ子爵家と縁を繋げた。
「さぁ、モリー。長年夢見た君だから、ちょっとの我儘を聞いていたが…そろそろ僕も黙ったままではないからね?
ぐふ、ぐふふ!!あぁ、楽しみだ!!君のベッドで泣き叫ぶ顔もっ社交場で絶望する顔もっ!!ぐ、ぐふふふっ!!!!
────今は本当に体調が悪そうだから、今日は大人しく帰ってあげるね。
また来る時までに、覚悟を決めておくんだよ?じゃあ、またね。僕のモリー♪」
ジョオンが部屋を出た後、モリーは未来の絶望を感じ気絶した。
オヒシバ子爵家のある一室に、モリーは鬱々とした表情で寝込んでいた。
後妻とはいえ、この子爵家の女主人となったにもかかわらず、主人と同じ部屋にならない様……再婚してこの屋敷に来た時から体調不良を理由に別部屋で引き籠っていた。
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お母様が忠告した様に、爵位も無く牢に入れられたままであればいつ処刑されるか分からない。
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しかし…いざ対面した”新しい旦那”は、マシュー様と同じ人間とは思えない程醜く太り気持ちの悪い…生理的に受け付けない男で絶望した。
旦那様は…私の旦那様は公爵家という貴族の中でも尊ばれる身分の上、冷たいながらもそのクールさで数々の女の目を奪った程のイイ男だった。
初めは”公爵家で美男子”という価値にときめいていたが…毎日飽きることないその彫刻の様な美貌に、本気で夢中になってしまった。
婚姻当初、あらゆるお茶会やパーティーで鼻高々にしていた頃が懐かしい。
「おめでとうございます!」という賛辞とは裏腹に、妬み嫉みの篭った熱い視線を一身に浴びていた、あの時は今思うと人生で一番輝いていたし、とても気分が良かった。
女神の様に美しく地位も高く、その上あんなイイ男と結婚出来るなんて…やはり私は選ばれた人間なのだと、本気で思っていた。
────しかし、現実はどうだ?
本気で好きになった旦那様は過去の恋愛を引きずり、一向に自分を見てくれない。
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むしろ自分の面影すらなく、完全に旦那様から愛想をつかされ…社交界では見下していた者達から笑われる様になり。
極めつけは離縁、没落、愛した男は他の女に取られ、生理的に受け付けない醜い男と再婚??
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どこで間違ったのか…他の男にも子種を仕込ませた時?いや、あの時は相当焦っていたのだ…一刻も早くあの人の意識を私に向かせる”子ども”が欲しかった。
妊娠中は幸せだった…あれだけ映らなかった綺麗な水色の瞳に、自分の姿が見えたのだから。
やはり、仕込みに関わった者達を全て殺したのが間違いだった。あの気味の悪い子の父親のせいで、人生が滅茶苦茶になってしまったのだ。もっと痛めつけて嬲り殺してやれば、少しは気が晴れただろうに…。
などと今更考えてもどうにもならないことを考えていた時、メイドがノックして部屋に入ってきた。
「奥様、体調の方はいかがでしょうか?───そろそろ落ち着いてきた頃かと思いますので、やはり主賓室に」
「いやっ!!!!!・・・いや、まだ体調が悪いのよ、悪いけどまだ回復には時間がかかりそうだわ。何せ最悪な環境の牢にずっといたんだもの。」
「・・・・・さようでございますか。かしこまりました。では、失礼いたします。」
モリーの嘘見え見えの返答にも何も言わず、静々と立ち去った。
足音が遠くなり、ホッと安堵する。
冗談じゃない。主賓室だと?あの、あの醜い豚男と共寝をしろと?夜伽をしろというのか?この私が??ありえない…!!!それだけは、それだけは嫌だ!!!死んだ方がマシだ!!!
何としてでも、そんな地獄の未来だけは避けなければ…。
幸い、当主のジョオンはこっちの思惑など気づかない、能天気な馬鹿頭みたいだ。
ちょっと考えれば分かることだろうに、私の様な美しい女を妻に出来た幸福に酔って気づきもしない。
モリーは鬼気迫る顔で、どうにか状況を打破しようと思考を巡らせ…気づけば眠りについていた。
◇
まどろみの中で、頭を撫でられる感覚がしてモリーは目が覚めた。
そして────目に飛び込んだ光景に悲鳴を上げ、ベッドから転がり落ちるように後退った。
「おや、目が覚めたみたいだね?僕のお嫁さん。思ったよりも元気そうだ。」
腰かけた部分が深く沈むその人物は、モリーの再婚相手でありこの屋敷の主人であるジョオン・オヒシバ子爵である。
先程まで撫でていた手を名残惜しそうに元の位置に戻すと、そのでっぷりとした腹が邪魔で振り返れなかったのだろう、立ち上がり傍の椅子に座りなおし床で恐怖に震えるモリーを見つめた。
「ぐふ、モリー。ビックリしたかい?そうだよね、君の「体調が悪い」という見え透いた嘘をそのまま飲み込んで、別室を用意してずっと君の回復を待っていたんだから。まさか、勝手に部屋に来るなんて思わなかっただろう?”騙しやすい馬鹿な醜い男”だと侮っていただろうからね?
ふ、ぐふふふ、本当に、モリーは可愛いねぇ?自分が、僕みたいな人間よりも頭が良いに決まってると思ってるんだよね?本当、変わらないなぁ君は。」
恍惚とした表情で、愛しさと憎悪と…色んな感情が混ざったような妖しい目つきに、モリーは益々体が震える。
「君は覚えてないかもしれないけど、僕と君は同い年でね。王都学園で学年も一緒で…。モリーは美人でしかも伯爵令嬢だったからね、とても目立ってて…よく見てたよ、その頃から。」
モリーは学園時代を思い出すが、その頃から既に格下や見目の悪い男共など視界にも入れておらず、全くと言っていい程ジョオンの記憶など無かった。
「その頃から君は、自分より格下の者達には一切興味も無くて…あぁ、いや。見目の良い男は別だったかな?いつもいつも醜い僕みたいな奴等を見下して嘲笑ってたよね。
ぐふ、僕はね、そんな風に鼻につく女が大好きなんだ。何故だかわかるかい?
────そんな自信満々で周囲を見下す女共が、絶望する顔を想像すると…ゾクゾクするんだ!!
いつもいつも見てたよ、いつも嘲笑う君達が逆の立場になって、今度は笑われる様になったらって。
君達のプライドが折れるには?何が一番効果的?どうすれば絶望するのかな?って、毎日毎日楽しかったァ。」
昔から、ストーカーの様な…しかも質の悪い妄想をされていたなんて、とモリーは顔を真っ青にする。
”騙されやすい馬鹿頭”なんかじゃない、ただのサイコパス男だった。
寒い。全身が震える…誰か、誰か助けてほしい…と届かない助けを心で叫ぶ。
「でもやっぱり現実は上手くいかなくてね?君より格下の僕は諦めて同じ子爵の次女である前妻と結婚したんだ。勿論、前妻はモリーみたいにプライドが高くって権威者思考の強い子だったよ。だから結婚したんだけどね?
本当、あの時の顔といったら…!!最高だったよ、君にも見せてあげたいくらい!
僕と結婚すると初めて会った時の絶望した顔!!たまんなかった!!
醜い僕と夜伽をして、毎日あの嘲笑って顎を上げてた女がずっと泣いて…本当、楽しかったなぁ。
でもそれよりもっといい反応があったのがね?社交界に出た時だよ。
僕はもっとイイ顔が見たくて、前妻との秘め事を赤裸々に、ちょっとあることない事も含ませて周囲に話してたんだ。
前妻は引き籠ってたから知らなくてね、久々に出たお茶会で色んな人達から話しかけられたみたいで…屋敷に帰る馬車の中で耐えきれずに発狂してたよ!!!
僕みたいな醜い男に、イイ様にされてた事をみーーーんなが詳しく知ってるんだから!!
プライドが高い前妻には耐えられない屈辱と羞恥だっただろう!!
まぁ、本当に耐えられなかったみたいでね…ちょっと壊れちゃって。
もう飽きちゃったし、離縁してあげたんだ。ちょうど世継ぎであるグリーゼも生まれたしね?
だから、君の話を聞いた時は本当に運命だと思ったよ!!
あの公爵と結婚して、絶対手が届かない存在になってしまった君が!!まさか得体のしれない間男との子を生み離縁されそうになってるなんて!!!
そんな外聞が悪い噂が広まって、しかも連れ子もいるとなったら…僕にもチャンスがあると思ってね?」
話している内に興奮したジョオンは、モリーの傍まで近寄り髪を一房掬い上げた。
「ヒィィッ!!!」
「良い返事が来なくて、諦めてたが…ぐ、ぐふふ!!まさか君の実家が没落するとは!!!!
ライバルもいなくなって本当、心躍ったよ!まぁ、前妻みたいにメンタルが早々にやられないように、君の母上と子どもも引き取る様にしたのは想定外だったけど、良いだろう。
ちょうどグリーゼにも新しい玩具が欲しかったところだし。最近あの子も楽しそうでね、引き取って良かったよ。」
そう、ジョオンがグリーゼを溺愛しているのは間違いないが、ジョオンはグリーゼの演技にただ騙されている訳ではない。
ジョオンの加虐性を受け継いだグリーゼの戯れを、面白そうに見守っているのだ。
ただ思い通りに動いてあげているようで、その後の状況を密かに楽しんで見ている為、アイリーンの訴えはジョオンには絶対に届かない。
まだ幼い少女だけでは悪魔も決定打に欠けていたが、この”とっても悪魔好み”な父親がいたから、悪魔は即決でオヒシバ子爵家と縁を繋げた。
「さぁ、モリー。長年夢見た君だから、ちょっとの我儘を聞いていたが…そろそろ僕も黙ったままではないからね?
ぐふ、ぐふふ!!あぁ、楽しみだ!!君のベッドで泣き叫ぶ顔もっ社交場で絶望する顔もっ!!ぐ、ぐふふふっ!!!!
────今は本当に体調が悪そうだから、今日は大人しく帰ってあげるね。
また来る時までに、覚悟を決めておくんだよ?じゃあ、またね。僕のモリー♪」
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