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第2章 -少女期 復讐の決意-
90.閑話 Sideアセビ ピラカンサの事情
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Side アセビ
カヨ達を連れて街のレストランで食事をした後、レイナの明日の休憩時間を確認して別れた。
宿に着いたアセビは大変苛立っており、物に当たり散らしている。
「クソッ!!成人もしてないガキが、この僕に意見するなんてっ!!!
商人のおかげで成り上がった田舎者風情が、僕の話を遮るどころか拒否するなど、許されない!!!」
バジル家での出来事を思い出しながら、ブツブツと呪いの様に呟き親指の爪を噛みグルグルと実家より大分狭い部屋を歩き回る。
そんな時、コンコンッとノックが聞こえ「アセビ様、報告してもよろしいでしょうか。」と声がかかる。
「入れっ!!」と八つ当たり気味に答えると、一人の従者と…布で顔を覆い隠している数人の影が入室してきた。
影達は入り口の近くで跪き、まるで主人の命令を待つ犬の様に待機していた。
「それで、どうだった。」
「はい。ピラカンサ家の名でモレッツ商会に取り次ぎを依頼しましたが「伝言のみ受け付けます」の一点張りで。
一応カヨ様やレイナ様、アセビ様の名前も出したのですが対応は変わりませんでした。
あまりしつこいと怪しまれそうでしたので、伝言を依頼して早々に引き上げて参りました。
現在出張中の商会長以外、副会長家族も会長の家族も接触は叶わず、数人の役員とは言葉を交わしましたが…色よい返事はありませんでした。
やはり取引相手の決定権は副会長以上にしかない様です。従業員の買収は意味が無いでしょう。
そもそも買収出来そうな従業員もいませんでしたし…。」
思い通りにいかない現状にむしゃくしゃして、控えていた影の一人に向かって苛立ちを込めて蹴りを入れる。
「チックソックソッ!!!!」
ドゴッ!!ドゴッ!!
「っ、っっ」
蹴られている影の者は、慣れているのかうめき声一つ立てずにただただアセビの蹴りを受け入れていた。
そんな顔色一つ変えない反応が面白くなく、俯く顔を上げさせ顔面に思いっきり力を込めて蹴りを入れ、踏みつぶした。
ドゴォォッ!!ガッ!!
「どいつもこいつも生意気だ…!!!庶民の分際で貴族の僕を袖にするなんて…!!
バジル家の後ろ盾なんぞ無ければ、すぐに潰してやるものを…!!生産方法を探らせた奴等はどうした!!」
「はっ、それが…そちらもやはり難しく…。他の貴族・商会達と同じく工場に近寄ることも出来ませんでした。
何せ戦闘能力が高く、鼻も効く獣人達が多数おりまして…。申し訳ありません。」
「チッ!!獣交じりがっ忌々しい…!!」
ボコォッ!!!と最後にボールを蹴り飛ばす様に振りかぶった足を影にぶつけると、そのまま虫の息になり起き上がることもなかった。
「ではやはり、商会かバジル家に直接承諾を得るしかなさそうだ…全く手間をかけさせる…!!
あの難攻不落なバジル家の主力が大幅にいないのに、一つの隙も見せないなどっバケモノが!!!」
動かなくなった影になど見向きもせず、またガジガジと親指の爪を噛み始めた。
いつになく機嫌の悪い主人を刺激しない様、最後にとっておいた”良い情報”を聞かせる。
「さようで。──小耳にはさみましたが、そろそろ北方に主張していたモレッツ商会長が帰ってくる様です。」
「ほぅ…!!そうか、流石運がイイな僕は!!その商会長とやらが話が分かる奴であることを願おうじゃないか!!
──もし商会が難しければ、バジル家になるが…その時は長女のリリー様を狙うしかないな。」
歪な色を瞳に映しながら言うアセビに、使える従者もゾクッと悪寒がした。
「リ、リリー様ですか?その…てっきり奥方か嫡男様かとばかり…。」
「あぁ、僕もそのつもりだったが…奥方は僕の話なぞ耳も傾けず、中央情勢の話をさせた後はカヨの為に会ってあげてと言ってさっさと会合を切り上げた…。
お節介で騙されやすいかと思えば、バジル家や領の情報一つ寄こさず隙も見せない…下手に家族や聞かれたこと以外を話題にすると探るような目つきで見てきた。
流石は文明とは無縁の下賤な先住民のお姫様だよ、野生の感が働くのかな?」
ハッと嘲笑いながらエマを下に見る発言をするアセビに、目を合わせない様にした。
「それに嫡男もダメだ。あれは”バジル家の血”がそのまま表れてる。まだ奥方の方が可愛げがあった。
それと無くカヨを出汁にまたお目通りの機会を結ぼうとしたが、発言の途中で一刀両断されたよ!
成人もしてない青二才のガキに!!この僕が!!!遮られ無残に捨てられた!!!!
確実にこっちを警戒しているし、何よりあんなガキに頼み込むなんて真似したくないね!!!」
その時の苛立ちが蘇ったのだろう、別の影の者にまた発散を始めた。
「末の次男は警戒心のカケラも無く、騙されやすそうな顔をしていたが…何せ若すぎる。
仲介してもらうのに説得が無さすぎて適任ではない。
──その点、リリー様は適任だ。プレデビュタントも終わっているし、何より人の良さそうな騙されそうな性格をしていたよ。
カヨとも仲が良いみたいだし、少し押せば商会との仲を取り持ってくれるだろう。
最終的に紹介が難しそうだったら、ちょ~っと強引に書面にサインでも貰ったらいい。
あれだけ美しいお嬢様だ、どうせ蝶よ花よと育てられ人を疑うことなど知らないだろうし、書面を見せたところで意味も分かるまい!
まだガキとは言えプレデビュタントは終わった年頃だ、辺境伯爵のご息女として、十分サインの効果もあるだろう。」
いつの間にか蹴っていた影の者が、また虫の息となっていた。
少し機嫌が直ったか…?と思われたが、みるみるうちに顔を歪ませる。
「こんなしなくてもいい苦労を僕がする羽目になったのも、全部トトマのマヌケのせいだっ!!!
ポートマン家に目を付けられる前に、我らが潰しておけばよかったのだ…!!!
あんな底辺庶民の商人に足を引っ張られることになるとは…!!!あぁ、今からでも殺してやりたい!!」
その怒りは難を逃れていた別の影の者にぶつけられた。
やはりその者も、うめき声一つ出さず…粛々と暴力を受け入れていた。
──そう、レイナが睨んだ通り、ピラカンサ家の”稼業”というのはポートマン家とバジル家が摘発した違法な奴隷商売を初め、暗殺者や影の者を販売・派遣する裏稼業であった。
因みにアイリの母方であるステイン伯爵家にトトマを紹介したのも彼等である。
トトマを初め小規模な裏業者を取りまとめ貴族や富豪達に商品を斡旋していた大元は、何を隠そうこのピラカンサ家だった。
先の大戦以降どんどん”穏健派”となっていったハーブリバ王国で、徐々にじわじわと裏で勢力を拡大していったのだ。
そんな王国の裏の顔であり、”ベテラン”であったピラカンサ家も大規模な摘発・粛清と…ポートマン家やガンディール達の猛攻に、とうとう稼業の先行きが見通せなくなった。
顧客は摘発され、仕入れて育成中であった商品は奪われ、今後の仕入れルートも強化された警備を前に崩れ去った。
大元という立場の為、常に用心深く”ピラカンサ”の名を表に出さない様に気を付けていた為、今回の摘発に難を逃れたが…今後稼業が出来なくなった今、ピラカンサ子爵家は早々に金策に走らなければ貴族人生が危うかった。
そんな時、目に入るのは今や飛ぶ鳥を落とす勢いで絶好調のワグナー商会・モレッツ商会・そしてバジル領。
花油を皮切りに、一つでも大金が稼げる商品を次々に生産・販売し始めた彼等に目を付けるのは早かった。
ワグナー商会はタンジ公爵家の後ろ盾もあり、長年実績もある老舗の大商会。
取引相手としてはハードルが高すぎる…。
一方モレッツ商会は規模は大きくなったが所謂若手商会。付け入る先はありそうだ。
バジル家も、現在当主のガンディール様は今回の騒動で長期間王都に出張されてるし、守護神と名高いキース様含む主力部隊も何でかは知らないがバジル領を離れているらしい。
チャンスだ…!!神が僕にバジル領にいけと仰ってるんだ!!と思うくらいに都合が良かった。
しかも昔婚姻していた女と我が子がバジル家に仕えているなんて…笑ってしまいそうな程運が味方に付いていた。
「絶対に、邪魔者達がいない間にモノにするぞ…!!!」
噛み過ぎてふやけた親指を、また噛みながら──アセビはギラギラと瞳を輝かせ呟いた。
カヨ達を連れて街のレストランで食事をした後、レイナの明日の休憩時間を確認して別れた。
宿に着いたアセビは大変苛立っており、物に当たり散らしている。
「クソッ!!成人もしてないガキが、この僕に意見するなんてっ!!!
商人のおかげで成り上がった田舎者風情が、僕の話を遮るどころか拒否するなど、許されない!!!」
バジル家での出来事を思い出しながら、ブツブツと呪いの様に呟き親指の爪を噛みグルグルと実家より大分狭い部屋を歩き回る。
そんな時、コンコンッとノックが聞こえ「アセビ様、報告してもよろしいでしょうか。」と声がかかる。
「入れっ!!」と八つ当たり気味に答えると、一人の従者と…布で顔を覆い隠している数人の影が入室してきた。
影達は入り口の近くで跪き、まるで主人の命令を待つ犬の様に待機していた。
「それで、どうだった。」
「はい。ピラカンサ家の名でモレッツ商会に取り次ぎを依頼しましたが「伝言のみ受け付けます」の一点張りで。
一応カヨ様やレイナ様、アセビ様の名前も出したのですが対応は変わりませんでした。
あまりしつこいと怪しまれそうでしたので、伝言を依頼して早々に引き上げて参りました。
現在出張中の商会長以外、副会長家族も会長の家族も接触は叶わず、数人の役員とは言葉を交わしましたが…色よい返事はありませんでした。
やはり取引相手の決定権は副会長以上にしかない様です。従業員の買収は意味が無いでしょう。
そもそも買収出来そうな従業員もいませんでしたし…。」
思い通りにいかない現状にむしゃくしゃして、控えていた影の一人に向かって苛立ちを込めて蹴りを入れる。
「チックソックソッ!!!!」
ドゴッ!!ドゴッ!!
「っ、っっ」
蹴られている影の者は、慣れているのかうめき声一つ立てずにただただアセビの蹴りを受け入れていた。
そんな顔色一つ変えない反応が面白くなく、俯く顔を上げさせ顔面に思いっきり力を込めて蹴りを入れ、踏みつぶした。
ドゴォォッ!!ガッ!!
「どいつもこいつも生意気だ…!!!庶民の分際で貴族の僕を袖にするなんて…!!
バジル家の後ろ盾なんぞ無ければ、すぐに潰してやるものを…!!生産方法を探らせた奴等はどうした!!」
「はっ、それが…そちらもやはり難しく…。他の貴族・商会達と同じく工場に近寄ることも出来ませんでした。
何せ戦闘能力が高く、鼻も効く獣人達が多数おりまして…。申し訳ありません。」
「チッ!!獣交じりがっ忌々しい…!!」
ボコォッ!!!と最後にボールを蹴り飛ばす様に振りかぶった足を影にぶつけると、そのまま虫の息になり起き上がることもなかった。
「ではやはり、商会かバジル家に直接承諾を得るしかなさそうだ…全く手間をかけさせる…!!
あの難攻不落なバジル家の主力が大幅にいないのに、一つの隙も見せないなどっバケモノが!!!」
動かなくなった影になど見向きもせず、またガジガジと親指の爪を噛み始めた。
いつになく機嫌の悪い主人を刺激しない様、最後にとっておいた”良い情報”を聞かせる。
「さようで。──小耳にはさみましたが、そろそろ北方に主張していたモレッツ商会長が帰ってくる様です。」
「ほぅ…!!そうか、流石運がイイな僕は!!その商会長とやらが話が分かる奴であることを願おうじゃないか!!
──もし商会が難しければ、バジル家になるが…その時は長女のリリー様を狙うしかないな。」
歪な色を瞳に映しながら言うアセビに、使える従者もゾクッと悪寒がした。
「リ、リリー様ですか?その…てっきり奥方か嫡男様かとばかり…。」
「あぁ、僕もそのつもりだったが…奥方は僕の話なぞ耳も傾けず、中央情勢の話をさせた後はカヨの為に会ってあげてと言ってさっさと会合を切り上げた…。
お節介で騙されやすいかと思えば、バジル家や領の情報一つ寄こさず隙も見せない…下手に家族や聞かれたこと以外を話題にすると探るような目つきで見てきた。
流石は文明とは無縁の下賤な先住民のお姫様だよ、野生の感が働くのかな?」
ハッと嘲笑いながらエマを下に見る発言をするアセビに、目を合わせない様にした。
「それに嫡男もダメだ。あれは”バジル家の血”がそのまま表れてる。まだ奥方の方が可愛げがあった。
それと無くカヨを出汁にまたお目通りの機会を結ぼうとしたが、発言の途中で一刀両断されたよ!
成人もしてない青二才のガキに!!この僕が!!!遮られ無残に捨てられた!!!!
確実にこっちを警戒しているし、何よりあんなガキに頼み込むなんて真似したくないね!!!」
その時の苛立ちが蘇ったのだろう、別の影の者にまた発散を始めた。
「末の次男は警戒心のカケラも無く、騙されやすそうな顔をしていたが…何せ若すぎる。
仲介してもらうのに説得が無さすぎて適任ではない。
──その点、リリー様は適任だ。プレデビュタントも終わっているし、何より人の良さそうな騙されそうな性格をしていたよ。
カヨとも仲が良いみたいだし、少し押せば商会との仲を取り持ってくれるだろう。
最終的に紹介が難しそうだったら、ちょ~っと強引に書面にサインでも貰ったらいい。
あれだけ美しいお嬢様だ、どうせ蝶よ花よと育てられ人を疑うことなど知らないだろうし、書面を見せたところで意味も分かるまい!
まだガキとは言えプレデビュタントは終わった年頃だ、辺境伯爵のご息女として、十分サインの効果もあるだろう。」
いつの間にか蹴っていた影の者が、また虫の息となっていた。
少し機嫌が直ったか…?と思われたが、みるみるうちに顔を歪ませる。
「こんなしなくてもいい苦労を僕がする羽目になったのも、全部トトマのマヌケのせいだっ!!!
ポートマン家に目を付けられる前に、我らが潰しておけばよかったのだ…!!!
あんな底辺庶民の商人に足を引っ張られることになるとは…!!!あぁ、今からでも殺してやりたい!!」
その怒りは難を逃れていた別の影の者にぶつけられた。
やはりその者も、うめき声一つ出さず…粛々と暴力を受け入れていた。
──そう、レイナが睨んだ通り、ピラカンサ家の”稼業”というのはポートマン家とバジル家が摘発した違法な奴隷商売を初め、暗殺者や影の者を販売・派遣する裏稼業であった。
因みにアイリの母方であるステイン伯爵家にトトマを紹介したのも彼等である。
トトマを初め小規模な裏業者を取りまとめ貴族や富豪達に商品を斡旋していた大元は、何を隠そうこのピラカンサ家だった。
先の大戦以降どんどん”穏健派”となっていったハーブリバ王国で、徐々にじわじわと裏で勢力を拡大していったのだ。
そんな王国の裏の顔であり、”ベテラン”であったピラカンサ家も大規模な摘発・粛清と…ポートマン家やガンディール達の猛攻に、とうとう稼業の先行きが見通せなくなった。
顧客は摘発され、仕入れて育成中であった商品は奪われ、今後の仕入れルートも強化された警備を前に崩れ去った。
大元という立場の為、常に用心深く”ピラカンサ”の名を表に出さない様に気を付けていた為、今回の摘発に難を逃れたが…今後稼業が出来なくなった今、ピラカンサ子爵家は早々に金策に走らなければ貴族人生が危うかった。
そんな時、目に入るのは今や飛ぶ鳥を落とす勢いで絶好調のワグナー商会・モレッツ商会・そしてバジル領。
花油を皮切りに、一つでも大金が稼げる商品を次々に生産・販売し始めた彼等に目を付けるのは早かった。
ワグナー商会はタンジ公爵家の後ろ盾もあり、長年実績もある老舗の大商会。
取引相手としてはハードルが高すぎる…。
一方モレッツ商会は規模は大きくなったが所謂若手商会。付け入る先はありそうだ。
バジル家も、現在当主のガンディール様は今回の騒動で長期間王都に出張されてるし、守護神と名高いキース様含む主力部隊も何でかは知らないがバジル領を離れているらしい。
チャンスだ…!!神が僕にバジル領にいけと仰ってるんだ!!と思うくらいに都合が良かった。
しかも昔婚姻していた女と我が子がバジル家に仕えているなんて…笑ってしまいそうな程運が味方に付いていた。
「絶対に、邪魔者達がいない間にモノにするぞ…!!!」
噛み過ぎてふやけた親指を、また噛みながら──アセビはギラギラと瞳を輝かせ呟いた。
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