転生した復讐女のざまぁまでの道のり 天敵は自分で首を絞めていますが、更に絞めて差し上げます

はいから

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第2章 -少女期 復讐の決意-

68.それぞれの前進

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 クリス王子と最後に国王の挨拶でプレデビュタントはお開きとなった。

 帰り際の会話は、大半が主役であるクリス王子やその婚約者候補の話・・・ではなく、”例の”公爵令嬢の話題で持ちきりだった。

 「やはり髪色が不気味だと頭の中も汚染されているのだ」「本当に公爵はあの娘のことは見放しているらしい」
 「あの年まで会っていないんだ、情の欠片もなかろう・・・」「それにしても・・・父親と知った奴の顔見たか?傑作だった!」
 「伯爵家はまともに教育も出来ない家らしいな」「お父様に付き合いを控えるように進言しておかないと」


 などなど、ここ最近はモリー以降社交界の話題は変化が無く、退屈していたこともあり・・・皆新しいゴシップにどこか楽しそうに帰っていった。

 その様子を見ていた国王は「はあぁぁぁ、」と手を顔に被せながら深いため息をついていた。



 ◇



 眠るリリーナのいる救護室には、部屋の大きさに比べると結構な人数が入室していた。


 「リリー・・・無理をさせたわね。」
 「お姉様大丈夫?良くなるよね??」
 「大丈夫だ・・・きっと良くなるさ。ナーデル、心配するな。」

 グレンから話を聞き、すぐにリリーの下へ向かったバジル家の面々が心配そうに見つめる。
 特にナーデルは、リリーの弱ったところを見た記憶が無いに等しく、初めて見るリリーの苦しんだ表情に泣きそうになっていた。


 「─────父上、すいません。俺がついていながら・・・。リリーがここまで弱ってしまったのは俺の落ち度です。・・・いくら病気がちで無くなったと言えど、リリーが繊細であることをどこか忘れていました。ましてやあの様な乱暴を許すなど・・・!!俺は兄失格ですっ!!」

 「エディ、そんなに自分を責めるのは止めなさい。・・・プレデビュタントに行かせたのは私とて同じだ。それに、お前はよくリリーを守ってくれたよ。貴族達からも、あの令嬢からも・・・。後の事は私達も一緒に対処するから、そう気を落とすな。リリーも、お前が落ち込んでいたら悲しいだろう。」

 ガンディールがエディを抱きしめながら慰めると、エマやナーデルも寄ってきて一緒に励ましていた。


 「リリー・・・王都楽しみにしてたのに、悲しいだろうな。」
 「そうね・・・。明日はバジル領には咲いてないお花を買ってきてプレゼントしましょ!そしたらリリーも早く良くなるかもしれないわ!」

 ポートマン姉弟も、リリーを心配して明日の予定を立てる。
 自分達も楽しみにしていただろうに、相手を思いやってそんなこと微塵も感じさせない・・・そんな我が子の優しさに成長を感じ、ショーンは二人の頭を撫でた。


 「────今日はお前達も王宮に泊まると良い。ご息女だけ残すのも心配だろう。・・・ショーン、お前達はどうする?明日子ども達は一緒に遊ぶ約束をしているようだが・・・?」

 「いや、私達は屋敷も近いですし、帰りますよ。・・・お前達、明日見舞いに来るんだろう?今日はもう帰ろう。父様はまだ王様と話すことがあるから、先に帰りなさい。」

 国王からの申し出を断り、ショーンは子ども達を先に帰らせようと伝えた。
 子ども達は少し渋ったが、ここに沢山人がいたらリリーも休めないだろうと素直に帰っていった。


 「・・・ルーカス、クリス。お前達ももう部屋に戻りなさい。お前達は今日会ったばかりだろう、もしリリー嬢が起きたら緊張して体調が悪化してしまうかもしれんぞ。・・・明日もリリー嬢はここにいるんだ、もう夜も更けてきた。明日早く起きれるように、もう休みなさい。」

 父である国王の言葉にクリスは予想を外して素直に頷いた。
 「・・・うむ、分かったぞ!エディ!明日もリリーのお見舞いに来るからな!その時に弟君の紹介をしてくれ!兄様、部屋に戻りましょう。・・・兄様??」


 ルーカスに声をかけるが、返事が返ってこない。
 それまでバジル家の者以外で一番リリーの近くを陣取り、手を握って様子を見守っていたルーカスは・・・その目に心配と何かクリスには判別できない感情を篭らせてリリーを見つめていた。

 病弱な実母である側妃の姿に重ねているのかもしれないと、クリスはそっとしておいた。

 ─────しばらくして満足したのか、一度ギュウッと力強く手を握りそっと離した。
 「・・・また明日な。君が良くなることを祈っている。・・・さぁ、クリス、部屋に戻ろうか。エディ、俺も明日また見舞いに来るから、よろしくな。」


 そういうと、王子達も退室した。
 国王は(まさかな・・・?あのルーカスがな・・・?え、違うよね?)と思いながらも見守った。


 そんな国王の様子を、マシュー含め大人組は何とも言えない気持ちで見つめていた。


 「さぁ、お前達も部屋を案内してもらいなさい。俺達は少し話があるから、後で行く。」
 ガンディールの言葉に、バジル家の面々も名残惜しそうに退室して行った。


 この部屋に残っているのは、ガンディールと公爵当主の二人、国王・・・そしてシャルとハヤトだ。


 「シャル、ハヤト。今からお前達にも聞かせられない話をする。・・・国王に付いている影の者達も、一旦部屋から出てくれないか?・・・何、そんなに時間はかからない、すぐに終わるさ。・・・頼む。」

 当初困惑したが、ガンディールからの命令なのでバジル家の二人はすぐに退室した。
 国王付きの影達は納得していなかったが、国王直々に命令されて渋々退室していった。



 「─────さて。ガンディール、これはどういうことだ??なぜお前の娘が・・・テレサと同じ体質なのだ?お前の嫁はコアスの森の先住民の姫であって、王家と縁も所縁もない血筋だったのではなかったか??」

 国王が真面目に・・・どこか睨みつけるような思い雰囲気を醸し出しながらガンディールを問い詰める。

 「国王。まず初めに、黙っていたことをお詫びします。しかし、あらぬ誤解や憶測を産まぬために・・・この二人以外には告げませんでした。この子は正真正銘私とエマの子です。私も、勿論エマも王族の血は入っていないと断言します。・・・現在まで、エマの実家とコンタクトを取ろうと捜索していましたが、ちょうど先住民達が現在滞在している場所が分かったと連絡がありました。明日の国王とのお話が終わりましたら、私共はすぐに領へ戻り先住民達に話を聞こうと思ってます。」

 ガンディールも真剣な眼差しで、噓偽りなどないと伝わるように話していった。

 「今分かっていることは、エマの実家に”王家の呪い”についてのヒントが隠されているかもしれないということ、そしてリリーが妖精から授かったこの深海の石があれば、テレサ様も救われるかもしれないという2点だけです。・・・リリーが身に着けていた石にヒビが入っていました。恐らく、そのせいでリリーは体調を崩したのだと・・・病弱体質が戻ったのだと推測されます。」

 リリーの首から事前に外していた石を、国王に見せた。
 ガンディールを擁護するようにマシューやショーンも言葉を付け足す。


 「この石は獣人達を救ったリリー嬢へ、妖精が気まぐれに与えたものです。陛下に進言した”深海で取れる石”はこのことです。何もこの子だけを救おうと思っていたわけではありません。テレサ様と症状が一致していることはすぐに気づきました・・・リリー嬢のことを知られるかもしれないリスクがありながらも、コイツは陛下へ情報を共有しようとしていました。どうか、そのことを評価してやってください。」

 「そうそう、むしろリリー嬢がいなかったら可能性も希望も何も見つからなかったんだし、お互いにWIN-WINじゃない?今や他国にもその手を伸ばしているバジル家と、最高権力者である陛下がタッグを組んだら絶対見つかるって!!むしろ強い味方が加わったと喜ぼうぜ??」

 国王は二人の言葉を聞き、ガンディールを見つめると・・・長いため息を吐いて、切なそうな表情をしながらも賛同してくれた。

 「・・・分かっておる。”王家の呪い”などと言われ・・・国家機密になっている話だ。そう易々と相談も出来なかったろう。そうだな、お主らの言う通りだ。・・・今のバジル家であれば、この石を見つめることが出来るかもしれん。どうか、お願いだ。テレサの石も見つけてくれ。・・・テレサはここ最近意識も朦朧としていることが多くなってきた。出来るだけでいい、早く捜索に着手してくれ。儂が出来ることは何でもする。・・・この通りだ。」

 頭を下げた国王に慌ててガンディールは止めるように言った。


 その後色々と話をつけたガンディール達は、退室を命じていた影の者達を部屋の中に入れ、応接室へ移動して宰相を呼び、明日話す予定だったものを少し前倒しで話していた。

 「ほう!マヨンとは元々バジル領発祥のものだったのか!!私達もあれは大好物でな!!・・・あぁ、料理長もバジル領で行ってる”料理教室”なるものに行ってみたいと申しておったわ!!・・・いやぁ、バジル領に儂も一度行ってみたいものだな。料理がとにかく美味く、景観も美しい所が多いと聞いたぞ!」

 「いえいえ、それほどでも・・・。王宮の料理長がその様なことを言ってくれているとは、うちの料理人も喜びます。是非、参加して欲しいと伝えてください。俺も、王宮の料理長が作ったものが食べれるとは思ってませんでした。明日の朝が楽しみです。」

 「そうだろう、そうだろう!うちの料理長が作る物は何でも美味いぞ!」


 食料品の話からバジル領の料理について話題が上り、国王は王宮の料理長も負けてないぞ!と言わんばかりに胸を張って自慢していたが・・・宰相がゴホン、と言いにくそうに口を開けた。

 「陛下、実は・・・。料理長より「陛下の食事は一週間別の者に作らせる」と伝言を受けました。・・・ランチ会に”例の令嬢”を出席させたのは陛下だと耳にしたようで・・・。「折角のご令嬢と殿下のランチを台無しにした罰です。」と聞かなくて・・・。まぁ別の料理人のちゃんとした料理は出すみたいなので、我慢してください。」

 「な・・・・!!なにいいいぃぃぃぃぃぃぃ?!?!じゃ・・・じゃあ料理長のあの特製マヨミソン漬けも、マシュロンとやらも食べれないのか?!?!そ・・・そんな・・・儂あれ大好物だったのに・・・。」


 さっきの様子とは真逆の、テンションがだだ下がった国王を見て苦笑する。

 ────何だかんだ言いつつも、一使用人である料理長が国王にその様なこと出来る立場ではない。
 だが、この国王は文句も罰も与えずに甘んじて受け入れている。
 そんな心優しい国王だからこそ、皆大好きで・・・着いてきてくれるのだろう。

 ガンディール達はお互いに目を合わせて、微笑みを浮かべながら国王が立ち直るのを待っていた。

 

 そんな国王は、あの時”例の”令嬢を参加させる許可を出したことを、それはもう後悔していたのだった。






 ◇



 その頃、地下牢で与えられた食事を放り投げ、ギャーギャーと騒ぎ立てる姿があった。

 「お父様に会わせて!!誤解なのよ!!アイリが被害者なのよ?!・・・この国の王族は終わってるわ!!早くお父様を説得しないと、お父様も毒されちゃう!!!」
 「王子も子息もクソガキばっかじゃないっ!!やっぱりアイリにはカイトしかいないわ!!カイトを呼びなさい!!こんな所に閉じ込めて・・・立派な虐待よ!冤罪よ!!ここから出しなさい!!」

 いつまで経っても静かにならない地下牢に、見張りの衛兵はほとほと疲れていた。
 (あ~、さっさと寝ないかな。本当、いつもは静かで瞑想にちょうどいいのに・・・勘弁してくれ。)

 はぁ、とため息を吐きながら早く交代の時間にならないかと、ただただ解放される時を待っていた。




 ─────そんなアイリーンの様子を見つめるモノがいた。


 (アッハッハッハ!!!マジでウケるわ!!!自分が望んだ容姿のせいであんな無様な感じになってるなんて・・・面白すぎるッ!!!いやぁ、ジジイから話聞いて降りてきて正解だったわ、こんな面白いの間近で見れるなんて・・・最高だな!)

 そのモノは・・・妖精の様な、小人の様な・・・人間の容姿をした小さな存在が空間を漂っていた。

 この小さな存在の正体は、アイリ・・・愛理を転生させたあの時の悪魔である。
 リリーナを転生させた神様から、「お主が騙して転生させた奴、マジウケる状態になっとるぞ、マジ卍」と・・・え?バカにされてる?と思う程軽く報告され気になって見に来たのだ。


 アイリーンが”マヨネーズ”で体調を崩した時くらいから見ていたが、前世で殺した女と出会った今日が一番笑えた。
 リリーナは特に何もしてないのに、アイリーンが自分で首を絞めていく姿が滑稽で・・・どうしてそんなに自分で死にに行ってるんだ??と不思議になる程見事な自滅っぷりに腹がよじれる程笑った。

 (いやぁ~、コイツ面白すぎwww・・・でもこのままじゃコイツ他国に売られて普通に奴隷生活になりそうだなぁ・・・。もうちょいもがいてる姿みたいし・・・ちょっかい出してやるか♪)


 そう思い至り、スルーっと壁を通りアイリーンの下へ近づいていった。



 「これは夢、私は今日まだ起きてないのよ。・・・こうなるから気を付けろと予知夢を見てるんだわ。・・・私は今から目覚めて、念入りに支度をするの。ランチ会では王子が来る時に一発殴られてた方が印象が良いわね。・・・そうよ、今からやり直しができるのよ・・・お父様だって、あんな怖いオジサンな訳ないっ!!!この世界の主人公はっ私なのよ!!!!!」

 ブツブツと自分に言い聞かせて何とか心を保っているアイリーンに、悪魔は囁いた。


 「お前を助けるために、力を貸してやるぞ?」


 
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