447 / 454
番外編 三初要、タコ焼きを焼く。
01
しおりを挟む◆マシュマロにて誰殴のSSが読みたいといってもらい、木樫の気力と時間とネタがあったのでリハビリがてらツイッターに載せたSS。
三初の家に泊まり込んでいたある日の昼。
「お、お、お、お~っ」
「オットセイって呼んでいいですか?」
「いいって返ってくる可能性がなんで一ミリでもあると思ってんだお前」
お昼は手軽なやつで、の一言でキッチン上の収納からおもむろにタコ焼き器を取り出した三初により、俺の皿には出来立てのたこ焼きがしこたま並んでいた。
意味わかんねぇだろ?
一般的なご家庭にタコ焼き機があるってのと、それを当然のようにセットするってのがよ。あと職人並みの手さばきでタコ焼きを量産しまくってるってとこな。
俺は物珍しくてタコ焼き生産を眺めていたのだが、三初は冒頭の通り一蹴した。
真っ黒いもんばっかり吐きやがって、このオクトパス野郎。タコ焼きの具にすんぞオイ。
「ソースとマヨと青のりと鰹節。紅ショウガも。そこにあるんで、好きにかけてどうぞ。そのくらいは犬でもできるでしょ」
「おーおー人間様にはチョロいもんだわお前の顔面に一発入れるのもなッ」
「入ってませーん」
「入れよッ」
「肉球パンチの軌道読むくらい人間様にはチョロいもんなんで。あ、俺は有言実行ね。人間様ですから」
「大魔王の間違いだろうがッ!」
タコ焼きを焼きながらも息をするように俺をバカにする三初に吠え、俺は出来立てのタコ焼きをデコレーションすることにした。
こんなドSに構ってられっか。
際限ねぇんだからよ。
そう思ってソースを手に取ると、いつも見る円柱状のソースじゃなくて、マヨネーズと同じようなプラ容器だと気が付いた。
オレンジ頭の不審なソースだ。
首を傾げつつも俺はキャップをペコ、と外し、ソースをタコ焼きにぶっかけてみる。
「お、おぉ……」
すると数本のソースがビームとなり、見事屋台のタコ焼きがごとく綺麗にタコ焼きを彩った。
おい。なんだよこのタコ焼きにソースをかけるためだけに用意されたみてぇなソース。
思わず三初に視線をやるが、三初はタコ焼きを焼いている。
まるで日常の顔だ。俺のソースビームには興味がないらしい。
仕方なく声をかけるのを諦め、今度はマヨネーズのキャップをペコ、と外し、いつも通りのマヨをかける気分でタコ焼きに絞る。
「おっ……おぉっ……!?」
すると、まさかのビーム。
ソースと同じ美しいビームが数本生成され、俺の手の動きに合わせて踊るビームにより、見事なマヨをかけられた。
おい。おいなんだよこのタコ焼きにマヨをかけるためだけに用意されたみてぇなマヨ。
「三初ェ」
「はい」
わなわなと驚愕に震える俺はもう謎が謎を呼びわけがわからなくなったので、眉間にシワを寄せて三初を呼んだ。
顔を上げた三初に、両手に持ったソースとマヨを突き出す。
「テメェ、このソースはなんだ」
「タコ焼き用ソースですけど」
「じゃあこのマヨは」
「それはお好み焼き用マヨ」
「なんでそんな使用頻度の偏る限定的なシロモンが突然のタコ焼きランチにおあつらえ向きに用意されてんだよおかしいだろまた無駄遣いしやがったなッ!?」
トンッ! とマヨとソースをテーブルに置いて睨みつけると、三初は顔全体に〝なんかめんどくさいこと言い始めたぞオイ〟とでも言いたげな表情を貼り付けた。誰のせいだ誰の!
「やかましいなぁ。なんで怒ってるんですか?」
「当たり前だろこのブルジョア坊ちゃんが! たった一回のタコ焼きの為に専用調味料買うこたねぇってのッ」
「は? 買ってませんよ。俺〝手軽なやつ〟って言いましたよね? コレ、もともとうちにあったやつです」
「あぁ? アホか。普通のご家庭にはタコ焼き専用ソースもお好み焼き専用マヨもねぇんだよ。少なくとも俺と俺のダチの家にはねぇ」
腕を組み、ジロリと視線を向ける。
三初は心底理解できないとばかりにその視線を一瞥し、なにごともなかったかのようにジュゥ~、とタコ焼きを焼き始める。
いや聞けよ。
まだ終わってねぇだろこの話。
15
お気に入りに追加
1,376
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
新しいパパは超美人??~母と息子の雌堕ち記録~
焼き芋さん
BL
ママが連れてきたパパは超美人でした。
美しい声、引き締まったボディ、スラリと伸びた美しいおみ足。
スタイルも良くママよりも綺麗…でもそんなパパには太くて立派なおちんちんが付いていました。
これは…そんなパパに快楽地獄に堕とされた母と息子の物語…
※DLsite様でCG集販売の予定あり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる