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第十話 誰かこの暴君を殴ってくれ!
17※
しおりを挟む「みは、ぅ、く」
「いーい? 手を離したら先輩を置いて、一人で抜いて終わりますから」
「ぁっ…はぁ…ん……」
グチュ、と柔らかくぬかるんだ内部に、それほど抵抗なくヌルン、と根元まで挿入されていく。
一人で、と言われて、心臓がキュゥ、と切なく萎んだ。縋るように中を収縮させ、深く咥え込む。
「一服盛られたぐらいで性欲に負ける惰弱な理性を捩じ伏せてでも、俺はやめる」
「っ……や、だ、やめんな、よ……いやだ……」
俺がいるのに三初がわざわざ俺を無視して一人で処理してしまうなんて、寂しすぎる。
「ふっ……それじゃあ、頑張って足抱えてなきゃ、ね……っ」
「ぅ、ん……っぁ……っあ…っ」
そう言うと笑われながら腰を掴まれ、絡みつく襞を振り切り抽挿が開始された。
俺の好きなポイントを同じテンポで強さに緩急をつけ、突き上げられる。
「ぁっ……うっ……ぁあ……っ」
押し込まれるたびに肌がぶつかり合い、意図せずに甘い鳴き声が唇から溢れた。
いつもより締まりの緩んだ柔らかな襞を食い締め、腕に力を込める。
終わらせないように必死だ。
力尽きそうに疲弊していても、恍惚とした快楽に揺られ、感じずにはいられない。
三初は内部を犯しながらくったりと腹の上で跳ねる肉茎を掴み、濡れた先端を指先で擦る。
「ヒッ…ぁッ…み、みはじめぇ……いやだ、いや、だぁ……っ」
「嫌じゃない。できるでしょ?」
「も、漏れちまう、ぅ……っ俺そこ、だめ、だめだってぇ……っ」
ヌト、ヌト、と擽るようにそこを擦られると、溢れてしまう癖があった。
左右にユルユルと首を振ってボロボロと泣きながら、ダメ、ダメ、と訴える。
それでも三初は止めてくれるわけがない。
俺がダメだと言うのが、気持ちよすぎるからダメだ、ということを、誰よりもよく知っているからだ。
「ぁ、や、ぁ、ひあ、あぁぁ」
いやらしい水音を奏でて中をかき混ぜられながら、肉棒の先端を揉みしだかれる快楽。
肌が汗でヌメり、気を抜くと足を離してしまいそうで、俺はいっそう首を振って涙する。
「やめて、ダメになる、いや、手ぇ、離すの、ひ、やだ、いやだぁ」
「ふっ……なんでやなのかねぇ。離したら、終わりにするんですよ? ココから潮吹かなくて済むから、先輩嬉しいんじゃないの? ん?」
「ぁ、違うぅ、いやだ、終わん、なっで、ぇ、ぃうぅ……っぅうぅ……っ」
バカになってしまうのは、いやだ。
だけど三初が俺の相手をやめてしまうのは、もっといやだ。
どちらも嫌で選べないまま、枯れた精子を置いて湧き上がる淫液が、上り詰めていく。
節くれだった怒張が小刻みに抽挿を繰り返し、ゴツッ、ゴツッ、と前立腺を的確に刺激しながら、指はヌチュヌチュと巧みに俺の肉茎を追い詰め、俺は息も絶え絶えだ。
「責任取るの、やめる?」
「ちが…っ違う、ぅう……っでも、あぁ、あ、ぁぁ、あ」
「違う? ほら、でももう、先輩出しちゃうでしょ?」
「っん、俺、イク……っで、出る、出たら離す、離しちまうよ、お、終わりに、なる、ひ、っ……や、ぁ…っぁん……っ」
なのに三初は、泣きべそをかく俺が逃れることを許さない。
俺が足を離さないなら三初は俺をイカせるし、イッてしまうと離してしまう。
どちらにせよ離させようとしているようで、終わりを誘われる俺は、鼻の奥がツンと痛くなった。
「俺、離すの、嫌、だ」
三初が嫌がっても、離せない。
淡々と突き上げられ揺さぶられながらも、グリュッ、と自分の腿に爪を立てて、ゴロついた涙声で足にしがみつく。
「は、……俺だって、嫌ですよ?」
俺が限界を訴えるにつれてハイテンポになる抽挿の合間、三初は吐息混じりに俺の目元にキスをした。
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