誰かこの暴君を殴ってくれ！

第九話 先輩後輩ごった煮戦線

１８※

　目隠しにしている布団の下で、熱く滾った下半身はすっかりムワ……ッ、と濃厚で淫猥な空気で満ちていた。

　散々かき回して丁寧に拡張したおかげで、奥は締まったままだが、入り口は指を三本楽に呑み込めるほど拡がっている。

　ぐるりと体をうつぶせにして枕を噛み、なりふり構わず指を乱暴に動かして快感に追いすがった。

「もっ、は……ッく、今なら自分から騎乗位して、腰振って、自分からキスしてやりてぇ……っ」
『ん……、ふ、んなこと言われたら、どこでもドアでも開発したくなりますね』

　情事に聞く三初の熱っぽい声がそんなことを言うと、ズク、ズク、と指では届かない部分が脈打つ。

　これだけ拡げれば、いつもならそろそろ挿れろとせっつく頃合いだ。

「ひ……っあ、ぁ、…じゃ、ぁ、早く来いよ………っ」
『あんた、むちゃくちゃ言うなぁ……』

　ピクン、と足の先が跳ねた。

　張り詰めた怒張の先端が開閉を繰り返し、粘度の高い蜜が際限なく分泌される。

　予想通りもっと深く突き上げられたくなってしまい、どうにも手淫だけでイっても満足できそうにない。

　反撃を受け始めた時点で負けが濃厚だった俺は、シーツにトロリと唾液を零して甘く喘ぐ。

「欲しい、中……っ挿れろ、って……っんっ…あ、っ……尻上げて、ねだってるっ……みはじめ、指じゃも、足りねぇ……っ」

　もう言葉を選んでいる余裕がなかった。
　ただ言いたいことを言っているだけだ。

　誘惑して余裕を崩すために素直に快感を求めすぎて、副作用に犯されている。

　すなわち、本当に理性が飛んでしまったというわけだ。

『うわぁ……これだからアホなんですよ、あんたが俺に挿れさせろって、の、っ……ん』
「うっせ、ぇ、っ……俺で抜いてるくせに、ん、んぁ、ひ、ぅく……っ」
『くくく、それ、ブーメラン』

　少し掠れた、アイツの情事のエロい声。

　電波を伝って熱っぽく乱れた呼吸や声が、耳をくすぐる。

　そのたびに、俺はゾクゾクと背筋を粟立て、尻を揺らめかせて感じてしまう。

　自分の指に絡みつく襞の熱さや、小刻みな痙攣を繰り返してもっとと求める内部の動きが、恥ずかしいくらいいやらしかった。

（中に、欲しい……っイきたい、なにか、なにか代わりの……っ）

　ぼやけた視界で見つけた保湿クリームのチューブを、思わず手に取る。

　徳用だから普通より大きめのこれなら、ツルリとしていて凹凸もなく、難なく中に入るだろう。

　そう判断した後は、欲情して快楽に溺れている俺は、そのまま濡れて拡がった後孔にグチュッ、と押し込んだ。

「ゔぁ、ッ……！　あ、ん……ッあぁ……っ固い、のが、はい、って、当たってる、ぅ」
『っ、は、あんた、ね……』

　ちゃんと見えていない三初にもわかるように言葉にすると、三初が一瞬たじろいだのがわかった。

　やっぱり俺が気持ちよくなれば、コイツのペースを崩せるのだ。

　全部教えてやれば、全部伝えてイけば、俺の勝ち。そうだろ？