誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第九話 先輩後輩ごった煮戦線

17※

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 よし。やはり下品でいやらしい言葉は、効果が絶大だ。

 結果がついてくると、自然と肉食獣のようにギラついた気分になる。

 すると三初が『どうグチャグチャなのか、気になりすぎてヤバイんですよねぇ』と強請った。気分はいい。

「はぁ……ん、もう十分……っふ、指で、ぐって、割ったら、んっ……すっげぇ、拡がってるぜ」
『ふ……そうなんですか? もっと教えて?』
「っもっ、……な、かに、その、テメェのが全部入るくらい、ドロッドロ、はっ……」

 思ったより食いつきが素直で一瞬戸惑いつつも、三初が俺に挿れたくなるような言葉をチョイスして囁く。

 あ、あぶねぇ。
 俺が余裕をなくしたら負けだ。

『はは、最高。えろっちくて、俺はメロメロですよ。イっちゃうかもしんないなぁ』
「なっ……っ」

 しかしたった一言でなくしたら負けな余裕が再度なくなりかけ、ぐっと唇を噛み締める。

(いや、マジで予想以上に……っまぁ、三初もチョロいもんだ。わざとだと知らねぇで、……くくく)

 ついついニヤついてしまった。
 つられたように心臓がドクドクと鼓動する。

「はっ……お、お前、俺のこれ、想像して抜いてんのかよ……?」
『そらね。頭ん中でグズグズの先輩想像して、声聞きながら、いじってんの。ほら……聞きます?』
「っ、ま、これ……っ?」

 通話の向こうから聞こえる三初に声が遠のき、代わりにクチュ、という粘液が擦れる水音が聞こえた。

 それがなにかを高速で回転する思考回路が弾き出した時、すぐに通話口がもとに戻され、フッとわざとらしく息を吹きかけられる。

 驚いて思わず中に入っていた指をキツク締め付けてしまい、声が漏れた。

「んぅ……ッ」
『ふっ、俺もドロッドロですね』

 そうして身を震わせてシーツを乱す俺にかけられるセリフは、あんな音を聞かせて状況を示した後だと、とんでもない淫語と化す。

(こ、こいつ、俺を煽り返してんのか……っ)

 いつの間に勝負になったのかわからないが、俺は勝手に三初の挑発をそう受け取った。

 散々調教されて感じやすくなった俺と違って、相手は涼しい顔を取り繕うことにかけて右に出る者がいない。

『もっと卑猥な先輩のセリフと鳴き声が聞きたいぐらいですけど……はっ、もう限界?』

 俺のカレシ様は、押しも押されぬポーカーフェイスの大魔王である。

「はぁ、ぁ……っく、そ、ッわかってんだろテメェ……っ」

 中を締め付けて圧迫感で感じながらグチュグチュと肉棒を擦り上げて、口惜しい恨み言を吐き出した。

 含み笑いで返されて、僅かに残った自制心がブチッと引きちぎれる。

 つまりこれは音声だけでいかにエロく煽って余裕を崩せるかという、意地っ張りと天邪鬼の勝負だ。

『ヤバイなぁ。あんたが目の前にいたら、今すぐぶち込んで顔面にぶっかけてやりたいですね』
「は、んっ……っ俺だって、やべぇ、っての……っ」
『その減らず口も、喉の奥まで塞いであげますよ。味わって』
「んんっ……」

 ゴク、と喉が鳴った。

(クソ、想像しちまった……っ)

 こいつは声だけでも抜け目なく鬼畜サドなのである。チクショウめ。



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