377 / 454
第九話 先輩後輩ごった煮戦線
01
しおりを挟む時が経つのは早いもので、来週には七月に入る頃。
それはつまり、四月に入ったヒヨコ共が三ヶ月を経て、若鶏程度には育っているべき時期でもあるのだ。
一応うちの部署では入社から四年が経過すると、後輩を教育する先輩となる。
俺も四年目の時に後輩ができたが、一人目の後輩は一週間でやめちまった。
その翌年できた二人目の後輩が三初だ。
そうやって直属の教育係になったおかげで惚れた腫れたの関係になったのだから、あの頃の俺には予想もできないことだろう。
その三初も今年で四年目。
実績とポテンシャルはさておき、三初は晴れて若鶏を連れ歩く先輩にわとりになる頃である。
とはいえ、どういうわけか、今年は三初に若鶏はつかなかった。
なので今年も俺と二人。
ツーマンセル続行。
入社してからずっと一緒にいる俺とこいつは、そろそろ腐れ縁になりつつあるだろう。
やぶさかではないが、同居し始めてからは仕事もプレイベートも一緒でお腹いっぱいな気もする。
まあ、俺は別に?
多少離れたっていいんだぜ。大人の男がべったりってのも気持ち悪いしな。
「──ということで。今年は直属の先輩だけでなく他のメンバーとも組んで最適なチームを模索するべく、新入社員も含めて再度チームを割り振ろうと思う」
「…………」
いや──だからと言って、別に離れさせろということではないというのに。
本日の朝礼の最後にそう告げた部長がチームを割り振る声を聞いて、俺は一瞬目をまんまるにし、硬直してしまった。
(いや。……うん)
言った。確かに言ったが、そんなマッハで決行するか? 秒だぞオイ。
ふざけんな。いや別にいいけどな。
いいんだけどなッ!
心の中でどうしようもない叫びをあげる。言霊というやつを信じそうになった瞬間だ。
理にかなっているというか、会社としてはそうあるべきだと思うけど、ちょっとだけビックリしたじゃねぇか。ちょっとだけだ。
「…………」
そっと隣に立つ三初を見ると、特に反応はなく、素知らぬ顔をしている。
こいつはわかってないのだろうか。
二人一組のチーム編成を見直すということは、つまり、俺と三初が別々のチームで仕事をするということだというのに。
いや、いやいや。別に?
気にしろとかそういうんじゃねぇけどよ。
俺だって誰と組もうが仕事はちゃんとする。三初だって誰が相手でもいつも通りにしているだろう。
ただこれっぽっちもなんとも思っていないなら、それはそれでムカつく。
「で、御割と竹本。三初と山本。元木と──」
「………」
「………」
「………」
「………」
俺の新しい相方が竹本だとわかった瞬間、竹本がバッと俺を見て、それからなぜか三初を見つめ、無言のまま同じくらいの速度で顔を逸らした。
逆に気になるわアホ。
なんなんだ? アイツ。俺の相手でなにが不満なんだ。
そして三初の新しい相方である山本は、ギギギ、と錆びた機械的に三初を振り返り、そしてなぜか俺を見て、再度ギギギ、と首を戻す。
いやだから、なんでセットで見るんだよ。
ちなみに三初はアイツらの反応を完無視している。アウトオブ眼中か。
16
お気に入りに追加
1,388
あなたにおすすめの小説



イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる