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第九話 先輩後輩ごった煮戦線
01
しおりを挟む時が経つのは早いもので、来週には七月に入る頃。
それはつまり、四月に入ったヒヨコ共が三ヶ月を経て、若鶏程度には育っているべき時期でもあるのだ。
一応うちの部署では入社から四年が経過すると、後輩を教育する先輩となる。
俺も四年目の時に後輩ができたが、一人目の後輩は一週間でやめちまった。
その翌年できた二人目の後輩が三初だ。
そうやって直属の教育係になったおかげで惚れた腫れたの関係になったのだから、あの頃の俺には予想もできないことだろう。
その三初も今年で四年目。
実績とポテンシャルはさておき、三初は晴れて若鶏を連れ歩く先輩にわとりになる頃である。
とはいえ、どういうわけか、今年は三初に若鶏はつかなかった。
なので今年も俺と二人。
ツーマンセル続行。
入社してからずっと一緒にいる俺とこいつは、そろそろ腐れ縁になりつつあるだろう。
やぶさかではないが、同居し始めてからは仕事もプレイベートも一緒でお腹いっぱいな気もする。
まあ、俺は別に?
多少離れたっていいんだぜ。大人の男がべったりってのも気持ち悪いしな。
「──ということで。今年は直属の先輩だけでなく他のメンバーとも組んで最適なチームを模索するべく、新入社員も含めて再度チームを割り振ろうと思う」
「…………」
いや──だからと言って、別に離れさせろということではないというのに。
本日の朝礼の最後にそう告げた部長がチームを割り振る声を聞いて、俺は一瞬目をまんまるにし、硬直してしまった。
(いや。……うん)
言った。確かに言ったが、そんなマッハで決行するか? 秒だぞオイ。
ふざけんな。いや別にいいけどな。
いいんだけどなッ!
心の中でどうしようもない叫びをあげる。言霊というやつを信じそうになった瞬間だ。
理にかなっているというか、会社としてはそうあるべきだと思うけど、ちょっとだけビックリしたじゃねぇか。ちょっとだけだ。
「…………」
そっと隣に立つ三初を見ると、特に反応はなく、素知らぬ顔をしている。
こいつはわかってないのだろうか。
二人一組のチーム編成を見直すということは、つまり、俺と三初が別々のチームで仕事をするということだというのに。
いや、いやいや。別に?
気にしろとかそういうんじゃねぇけどよ。
俺だって誰と組もうが仕事はちゃんとする。三初だって誰が相手でもいつも通りにしているだろう。
ただこれっぽっちもなんとも思っていないなら、それはそれでムカつく。
「で、御割と竹本。三初と山本。元木と──」
「………」
「………」
「………」
「………」
俺の新しい相方が竹本だとわかった瞬間、竹本がバッと俺を見て、それからなぜか三初を見つめ、無言のまま同じくらいの速度で顔を逸らした。
逆に気になるわアホ。
なんなんだ? アイツ。俺の相手でなにが不満なんだ。
そして三初の新しい相方である山本は、ギギギ、と錆びた機械的に三初を振り返り、そしてなぜか俺を見て、再度ギギギ、と首を戻す。
いやだから、なんでセットで見るんだよ。
ちなみに三初はアイツらの反応を完無視している。アウトオブ眼中か。
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