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第八.五話 オワリ兄妹のある日
01(side美環)
しおりを挟むいつも兄がお世話になっております。
妹の美環と申します!
これで合っているのか自信はないけれど、大人としてのご挨拶なんだぜ。
なんて、脳内でおもしろおかしく自己紹介をする。
こんな私をにぃはいつも「キングオブノー天気」と言うのだ。褒め言葉だよね。これは自信たっぷりだよ。
御割 修介。これが私のお兄ちゃんの名前。私は修にぃ、もしくはにぃと呼んでいる。
にぃは少しワイルドな目つきをしているのでいつも初対面の人に一歩引かれてしまう、もったいない人だ。
中身は全然怖くない。
身内と親しい人にはとっても優しくて、年下の世話をついつい焼いてしまうお兄ちゃん体質である。
まったく、もったいないでしょ?
目つきの他にはただほんのちょっと体が大きくて、声が低くて、口と態度が悪くて、すぐに暴言と手足がでちゃって、よせばいいのに趣味が筋トレなだけなのにさ。
失礼しちゃうよ。学生時代も、友達の半分は絶対ににぃがいる時は私の部屋に遊びに来てくれなかったしさ。
そんなに怖いかなぁ?
慣れてるからわかんない。
友達が遊びに来たらなにがなんでも挨拶をしにくる、礼儀正しい自慢のにぃなのに。
私がそう言ってため息を吐くと、いつも一緒にいる友達は「絶対に挨拶されるから心臓に悪いんだよ」と頭を抱えていた。
閑話休題。
この件は長らく保留なんだ。
とにかく、私は私のお兄ちゃんが大好き。
そんな私がにぃの部屋を借りてから、だいたい二週間ぐらいが経った。
今日はゴールデンウィークが明けてから、初めての休日だ。
ちゃんと一人で暮らせているのか、心配性のにぃは様子を見るために帰ってきた。
カチャカチャとココアとお菓子を用意して出すと、にぃは「ちゃんとおもてなしはできてんじゃねえの」と言ってココアを飲む。
ということは、これは「上手にいれたな。ココア美味いぜ」ってこと。やったね! 褒められた。グッと親指を立てる。
素直じゃないにぃの言葉も、生まれた時から一緒の私には普通に聞こえるのだ。
にぃの友達──冬賀さんにはいつも翻訳機にされてたなぁ。
完璧に翻訳できるからね!
にぃの友達はだいたいにぃみたいにちょっと見た目が派手で豪胆な人が多くて、みんなは怖がってたけど、私はかわいがってもらってたんだよ。
にぃの友達たちは、にぃをツンギレって言ってた。
でも最近のにぃは、私の見立てだとデレを得て、ツンデレ属性を取得したらしい。
むふふ、と笑って自分の分のココアをテーブルに置き、ソファーに座るにぃの隣にボスンッと腰を下ろした。
「オイ美環、暑苦しいって」
「だいじょーぶー」
そのまま腕に絡みついたって、にぃは怒らない。暑いと言われたけど、振りほどくことはないのだ。
黒のカットソーに白のインナーを着たにぃは、腕に抱き着くとなかなかあったかい。手も大きいから、ついつい触っちゃう。
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