誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第八話 シスターワンコとなりゆきブラザーズ

31※微

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 それはまぁ、確かに〝自分の話をしろ〟とせがんだのは俺だ。

 しかしそんな話を寝物語に聞かされて、俺の眉間のシワは深まり、顔に「理解できねぇ。なんだそいつ」と書き記すに至る。

 普通に意味わからん。

 後輩に全部押し付けるとか、いつもごめんねじゃ済まなくね? 自分も頑張ろうってなるだろ。

 それを意思表示しねぇでもたれかかって、そうすんなら、現状はそいつの自業自得じゃねぇの?

 だって三初は助けようとしたんだぜ?
 差し伸べられた手を取ったくせに歩くことをしねぇなら、抱えて引きずる相手が死ぬじゃねえか。

 三初は俺の過去の話を聞いてなんか怒ってたけど、俺だって怒るわ、アホ。

 笑ってんな。なんで機嫌いいんだよ。お前も意味わからん。

 ブスッと不貞腐れて機嫌をどん底に悪くする俺に気がついた三初は、どうしてか熱っぽい火照った頬でニマ、と笑う。

「ね。先輩と真逆でしょ?」
「言っとくけど、俺の仕事を全部奪ったら絶縁するかんな」
「はいはい」
「んッ」

 急に顔をあげさせられ、唇にキスをされた。
 いや、話に脈絡もなければそんな素振りもなかったのに、なんでこうなった。

 俺は怒ってるんだよッ!

「ふっ……んむ、ぅ、ぷぁ、ってめ、人が憤ってるってのになにしやがんだッ」
「んー? 眠くならないし、風邪治ってきたから体動きそうだし、テンション上がってるから、ね」
「ね。じゃねぇわッ!」

 話しながらもモソモソと下半身に手が伸び、下着ごと下をずらされ、布団の下で尻を剥き出しにされてしまう。

 そりゃあくっついていたらムラムラするかもしれないと言ったけど、現実的に明日出勤でもう風呂入った後だぞコラ。

 もう一度入るのはめんどくさい。そして三初は治りかけのデリケートな時期なのだ。

 言っとくけどな。
 俺自身はめんどうなだけでやぶさかではないとか、そういう話じゃねぇ。

「また熱上がったらやべ、って、んっ、こ、はぁ……っ聞けよッ!」
「ゴホッ。聞いてる聞いてる」
「聞いてるだけだろうがッ!」

 聞いた上で手を止めろと言っているのに、聞く耳持たず。

 治りかけの三初をぶん殴れるわけがない俺の服を脱がそうとされ、俺はゴロンと転がって逃げてから起き上がった。

 ブスッ、と仏頂面で睨むが、寝そべる三初は気だるげな瞳でこちらを眺めている。

(くっ、そ……仕方なく、仕方なくだぞ、マジで。仕方なくッ。ちっ)

 黙ったまま渋々とスウェットの下を脱げば、その表情は紅潮してはいるものの、いつものニマ、とした笑みに変わった。

 この不謹慎野郎め。
 俺が今なら本気で抵抗できないって、知ってて手ぇ出しただろ。

 いっぺん風邪菌が脳まで達してしまえ。
 脱いだスウェットを、畳んで放る。

「って、オイ。もうヤんのは諦めるけど、テメェは今日動くなよ。後、ゼッテェ一回しかシねぇ」

 するとベッドの上から手を伸ばしておもちゃ箱を取り出す三初が見えたので、俺はにじり寄った。

 おもちゃ箱を取り上げて、三初を押し倒す。
 腰に跨り見下すと、俺を見上げる三初はこてん、と首を傾げた。

「先輩がシてくれるんですか。へぇ。そりゃあ楽しみだなー」
「面白がってンなコノヤロウ」

 愉快気に笑われ、そっぽを向く。

 そこそこ元気になってきてるのは不本意ながらありありとわかっているが、それで悪化したら元も子もない。

 箱の中から取り出したゴムを二本の指に嵌め、下着の中に手を入れた。

 固く閉じた窄まりに指を這わせ、入り口を擦る。

「ん……、く、……っ」
「補助いります?」
「いらん」

 悠然とこちらを鑑賞する三初の申し出を突っぱね、腰を上げて濡らした後孔にヌル、と指を挿れた。

 初めから二本はキツイが、慣れた異物感だ。力の抜き方はとっくに知っている。

 直腸の中と指の角度を合わせるために三初の頭の横に手をつき前傾姿勢を取ると、猫のような笑みは俺の影に収まった。

 それと目が合うのは気恥ずかしいので、目線を外す。くそ、あんまり見んな。



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