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第八話 シスターワンコとなりゆきブラザーズ
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しおりを挟むお客様ではなくなったというのに、アイツは俺が寝ている間に家事を全て終わらせる。
イコール、俺の世話を特に義務感なく、自然体で焼き尽くす。
手伝おうとはするが、本人はそれを無理してやっているわけではなく、このやり方がノーマルらしい。
一応ペットたちの世話くらいは、のんびりと暇な時にしているようだ。
しかしマルイはまだしも、俺にナガイの世話をすることはできない。
仕事にそつがない三初は、当たり前だが家事もそつがなかった。盲点だ。
結局俺は洗濯物を取り入れて畳むことと、洗い物をすることしか請け負っていない。
休みの日でこれだぜ?
仕事始まったら俺のその家事すら奪われかねねぇ。死守しねぇと。
と、これだけでも俺がそんな決意を固めるほど抜け目のないやつだが、まだある。
三初が俺をペット扱いしているということは、つまり、特別に構わないし庇護下に置くということだった。
「あのな、放任と放置は違ぇよ。仮にも俺は人間だろうが。わかれよなぁ?」
「ナーウ」
オウ、猫にもわかるか。
俺はカッと目を吊り上げ、腹の上で丸くなっているマルイに、真剣そのものな表情で相対する。
別に毎日一緒に暮らすからって、毎日濃厚に構えってわけではない。
一人になりたい時もあるだろうし、俺にだって一人でだらけたい時もある。
三初以外と遊ぶ時もあるし、アイツも一人で出かける時はあるんだ。
それは居候する前の付き合いの時から、そうだっただろう。
「いやそれでも、朝飯だけ用意しておいて書き置きも残さずどこかに出かけたと思ったら、帰ってきてすぐ部屋に引っ込んでよォ? 誰だか知らねぇやつらとながながとリモートミーティングなんか、するか? 今日まだほんの一瞬しか顔合わせてねぇぞ」
「ナワゥー」
「仕事っぽいから仕方ねぇってか。こんなもん近距離別居まっしぐらだろ」
ブスッ、とへちゃむくれて、本人に言うにはまだ固まりきっていない取り留めない愚痴を吐き出し続けた。
マルイは相槌を打つように鳴く。
猫が話すわけねぇけど、話し相手がいないんだから仕方ないだろ。
もう昼を過ぎた頃で昼飯をどうするかマインを送ったが、一向に返事が来ないのも問題だ。
一、二時間ほど前にドアへ忍び寄ると話し声が聞こえたので、今もまだ誰かと通話しているのだろう。
外は朝は小雨だったのが地面がぬかるむ雨に育ち、俺は暇を持て余して猫と会話。
家事もたまってねぇからな。
そもそもが二人分だ。
三初が朝のうちに取り入れた洗濯物も、もちろん畳まれている。
抜かりねぇのかよ、ちくしょうめ。
やれることと言えば外に出られない今日、昼飯を作ることぐらいだが、俺にはできない。
料理は三初の領分だ。
手を出したってイマイチな出来栄えの物しか作れないので、はなっから諦めている。
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