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第七.五話 暴君カレシの尽力
01
しおりを挟む間森マネージャーにあわやオモチャにされかけてから、一週間が経つ。
休み明けに会社で会ったマネージャーは相変わらずでケロッとしていたが、俺と三初の仲を拗れさせるようなことはしなくなった。
ついでに言うと、俺は出会い頭に宣言通り思いっきり鳩尾をぶん殴った。
顔だと目立つからな。
されど報復をしないほど優しくはない。やられたら是が非でもやり返す。一発だけでチャラにしてやる俺は、温和すぎる部下だと思う。
ちなみにおはようございます、は「次は玉を潰してやる」である。
低く唸って挨拶すると、三初は怒らせられたが俺を折ることには成功していないので、マネージャーは瀕死のままソワソワとしていた。
けれどなにをしても反応のよくない三初にガチギレされたのが相当ご満悦であり、やはり相当懲りたらしい。
色気のある憂い顔で「御割さんのお尻と棒は諦めますよ」と宣言した。
チッ。命拾いしたな、ゲス上司め。
ちなみにマネージャーが「お仕置きの後に復讐ファックしてくれてもよかったのに」と舌なめずりして誘惑しても、三初は「一棒一穴主義なんで」と綺麗に笑ってスルーしていた。
綺麗な笑顔ということは愛想笑いということで、その素顔と真意は暴君のみぞ知る、だろう。
まぁとにかく、これで間森マネージャーに悩まされることは今後本当になくなったわけだ。マゾはつまらん云々も解消したし、俺と三初の交際に一先ず憂いなないと言える。
ということで晴れやかな気持ちである俺は、現在──迷惑をかけたセレクトのマスターことナーコへ、詫びを入れにきていた。
「いろいろと迷惑かけたな。相談したくせに結局バレたし……悪かった」
「あら、わざわざありがとねぇ! でも気にしなくていいのよっ。すぐ近くにいたのに、アタシちっともキレイちゃんのオイタを知らなかったんだもん。それに虐められるシュウちゃんを見ても、きっとプレイと本気の区別はつかなかったわ。やっぱり持つべきものはイケメンのカレシくんね!」
営業時間外である昼間に訪ねて菓子折を持って謝ると、ナーコは笑って受け取り、大丈夫だと手を振る。
この度量の大きさというか、細かいことは気にしない兄貴肌なところは冬賀に似てるよな。
せっかくだから掃除も手伝おうと声をかけると、快諾してもらえた。
従業員は店の準備をする時間まで来ないので、細かい掃除はいつもナーコがやっているらしい。
「そういえばシュウちゃん。ここに来ること、カレシくんには言ったの?」
椅子等を上げてから箒をカチャカチャ動かして床を掃除していると、グラスを拭くナーコが楽しげに声をかけてきた。
「いや、言ってねぇけど、まぁいいんだ。知ってるからな」
「なによぉそれ。なぞなぞかしら」
冗談交じりに笑われたって、気にすんな、と頑なに誤魔化す。
そりゃ例のカレンダーアプリに〝セレクト詫び入れ。開店前に帰る〟って書いたからとは、言えねぇだろうが。
ムスッと不貞腐れた顔で、赤くなった頬を指先でかいた。
クソ、名前が羞恥プレイすぎるわ。
カップルアプリってなんだ。俺とアイツをそう表すなコノヤロウ。開発者の頭に浮かれた花でも咲いてんのかよ。
「俺ばっかり毎度恥じてンじゃねぇかチクショウ……余裕綽々、ノーダメージで涼しい顔しやがって……ッ」
ガチャガチャと掃除に集中し、ゴミを一箇所に集めてちりとりに入れる。
するとナーコが照れ隠しの独り言を聞いて「あら?」と声を上げた。
「そんなことないワ。あの日、シュウちゃんのカレシくんに『シュウちゃんならコレコレ云々で今キレイちゃんとSMルームにいるわよ』って教えてあげたら、目の色変わって物凄い勢いで詰め寄られたもの。相当焦ってたわね。あれは間違いなくブチギレてたわよ~」
「あぁ……?」
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