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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力
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しおりを挟む痛みや屈辱を伴うことは、マネージャーにされても負の感情しか湧いてこない。
三初にされる時は例え剃毛でも、映画館でイカされても、拘束してオモチャで弄ばれても、許せてしまうのに。
ということは俺はやはり断じてマゾではなく、至って普通ということだろう。
至って普通の、恋人にしか苦痛も快感も与えられることを許せない、貞淑な男なのだ。
それでも頭の中で結論が出ようが、貞操の危機である現状は変わらず。
「んぐッ…ふ…っゔぁぅ……っ!」
激しく筋肉が痙攣し、中のプラグをギュゥ……ッ、と締め付けながら、俺はついに達してしまった。
張り詰めた屹立からドクドクと白濁が迸り、どうしたってもう止められない。
力が抜けて、ガク、と項垂れる。
重力に従い、顎を濡らす唾液が、床にシミを作っているだろう。
「うわぁ、痛そう」
「あッ……ふッ……ぁッ……ぁ……ッ」
鞭の打撃が止み、代わりに絶頂しピクピクと震える肌を、細い手がなぞる。
これも違う。
あいつの手も綺麗だが、もっと冷たい。
「お尻裂けて血が混じっていますし、背中まで真っ赤になっていますよ」
「ぅッ…ぅッ……ぁう……ッ」
プラグの動きが止まないために、俺はぐったりと満身創痍になりながらも、断続的に声を漏らした。
見えないせいで、余計に感度が高まる。
熱く腫れた皮膚をなぞられると、悪寒に似た粟立ちが襲う。
声が聞きたいと言われ、間森マネージャーは目隠しをそのままに、口枷を外した。
「っぅあ……っ、はっ……ひんれ……しんでくれ、さっ……ぁっ……ぅっ……」
「開口一番上司に向かってなんてことを言うんですか。興奮しちゃいますよ」
うるせぇ三十路が。
悪路過ぎて敬意ゼロに決まってんだろ。
プレイとして程度にサドもマゾも嗜むハイブリッド変態上司は、やはり猫なで声で俺の耳にキスをする。
力が入らなくてもすぐに頭突きをしたが手応えはなく、代わりに楽しげな笑い声が聞こえた。
「チッ……あっ…ぅっ…テメェじゃ、生ぬるくて、折れてやんね、わ……はっ……んぁ……」
「ふふっ……いけずやねぇ……?」
精一杯の悪態に返ってくるのは、粘着質で甘い声だけ。
三初が気ままで強かな野良猫だとしたら、この上司は血統書付きのワガママなお猫様だ。
三味線の皮になれ、と呪いをかけると、ふと近くからマネージャーの気配が消える。
「ぁ……? んッ…んッ…、は……てか、も、抜け、って」
「よし、ハメ撮り中イキ動画を撮って捨てアドで要くんに送っちゃいましょう。うふふ。私両刀なので、御割さんには後で挿れさせてあげますね。変声マスクをつけていますし、御割さんのイキ顔だけを撮れば、私は証拠不十分」
「な、ン……ッ!?」
「しらばっくれれば要くんのことですから、恋人に手を出したくらいで私相手に報復したりしないです。いつもめんどくさいって、捨て置きますから」
あっけらかんと言われたことが理解できず、俺は素っ頓狂な声をあげてバッ! と顔を上げた。
しかし驚きのあまり弛緩していた内部も締め付けてしまい、モロに感じたプラグの振動で「はぁ……っ」と喘いでしまう。
その隙にマネージャーの声は、どんどん遠ざかり始めた。
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