誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

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 あとはこう、セックスはしないが多少道具は使うから万が一のため、と中も綺麗にするよう言われ、準備もした。

 やり方は三初とオモチャ契約を結んだ時に教えられたので、一人でも問題ない。悲しきかな、むしろ結構慣れている。

 それほど手間もかからず、シャワーついでにボディソープを塗り込んで、中と入口を綺麗にした。

 どこかの誰かさんのお陰様で日々快腸だからな。俺の中は基本的にスッキリしている。

 けれどたった数分でもこういう作業をしていると、俺は更に現実を見て、めんどうな気分になってきた。

 なんつーか……三初といるとあいつの相手で手一杯だから、俺の感情や思考は山あり谷ありだ。

 恋愛脳のヘタレにされてしまうのは、三初が相手だから。
 そうじゃないなら、なんだか今からなにをするだとか、そのためのいろいろだとか、全部がつまらなく思えてきた。

 付き合ってから抵抗なく三初とセックスをしていて、つまらないなんて思ったことはない。

 むしろあいつといると、ドキドキするんだ。驚愕とか恐怖とかいろんな意味でもな。
 俺もあいつをドキドキさせられていればいいけれど、そんなのゼッテェ有り得ねぇだろ。いつも俺ばかり。

 そう思うと、腹が立つ。
 結局はその腹立たしさを原動力に奮起し、行き着く先へ、だ。

 あれよあれよと動かされ、身を清め終わった俺は意識を失い、気がつくと──。

「ふっ……ッ! ぅ、うーッ!」

 ──なぜかSMルームにて、謎の器具の上に全裸のまま、うつ伏せで乗せられていた。

(いや。いやいやいや。おかしいだろ。おかしいだろォッ!?)

 混乱の極みに至る俺だが、わけがわからない。
 しかも乗馬鞭のようなものでペチペチと後ろから腿をなでられている。全然わけがわからない。わかるはずがない。

 それに口腔には強制的に口を開きっぱなしにするリング状の口枷がハメられているので、うまく言葉が話せなかった。

 首をひねって自分を見ると、全裸。黒いプラスチック素材のカマボコのような台に乗せられ、拘束されているようだ。

 暴れようとしても手足は固定プレートについた枷で繋がれ、降りることも立つこともできない。

 どうやらこの器具は強制的に四つん這いにさせて、身動きを取れなくする器具らしい。

「ふあ、あぇ……ッ」

 自分の状況を正しく理解した俺は、後ろにいる人間に尻まで見られている状態に、恥ずかしくて死にたくなった。

 これが気持ちいいのがマゾヒストならば、理解不能だ。苛立ちしか感じない。

(くそ、なんなんだよ……ッ)

 ズキン、と頭が痛んだ。
 思考がはっきりしない。まどろみの中にいるような曖昧な感覚がする。

 必死に思い出した最後の記憶は、急に風呂場でふらついて、意識がブラックアウトしたところまでだ。

 ということは、犯人はただ一人。

「うあ、あぅぁッ、ぅ!」
「大丈夫ですよ。体には害がないものなので。体質によりますし、数時間は多少クラクラするかもしれませんが……横になっていればマシですからね。うふふ」

 はんなり美人ゲス男である、間森マネージャーに決まっているのだ。

 落ち着かせると言っても、こんなエロティックな器具に横にならせる必要性は皆無だろうし、落ち着けるわけもない。

 納得してたまるか。
 酒に一服盛りやがったなコノヤロウ。



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