誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

文字の大きさ
上 下
312 / 454
第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

31

しおりを挟む


※ここから数ページ、マネージャーに虐げられる描写がございます。

 地雷の場合は回避していただけますようお願い申し上げますぞ(本番なし)。
 なお作者がハピエン厨なのでハピエンです。そして改訂に伴い一部の描写、展開を変更しております。
 どうぞよろしくお願いしまする!





 真性のサドでもマゾでもない真性変態である間森マネージャーに問題を抱えていることがバレ、腹をくくってSMうんぬんの相談をした後。

 相談への提案としてまず、自分がマゾかどうか、虐められればわかるんじゃないか、という話になった。

 一理はあるだろう。
 俺は俺をマゾではなくノーマルだと思っているが、根拠を持つのは大切だ。マゾの定義にそれがあるなら、そこから外れるとマゾではない根拠になる。

 セレクトの奥には、盛り上がったカップルや男たちのために貸し出しのベッドルームがあるのだ。

 ユニットバスのついた八畳のワンルームで三部屋しかないが、ノーマル、SM、病室と毛色は変わっていたり。
 ちなみに料金は一律休憩五千円の宿泊八千円。人手がなくなることと清掃の手間を考えると安売りである。

 SMルームには、それ専用の器具もベーシックで揃っていた。
 ネタグッズやカメラまで一通りプレイには困らない。

 となれば「場があるならばやるしかないでしょう?」という間森マネージャーに誘われ、とりあえずイメージどおりの所謂SMプレイを試してみることになるのはまぁ自然だと思う。

 一応理には叶ってるからな。
 間森マネージャー相手でも三初相手の時と同じように反応するなら、俺は三初とのセックスが好きなのではなく、虐められるセックスが好きということになる。不本意ながら。

 しかしこのあたりで俺は、かなりの難色を示した。

 直接触れない。セックスも断固しない。それをクリアした上で終電を逃さずに帰れないならヤらない、とは事前に釘を滅多刺しにしてある。

 しかしその全ての条件を承諾されても、間森マネージャー相手、と考えると脳内三初が地雷を踏まれた顔で親指を下に向けて笑いかけてくるのだ。

 俺は三初がパンイチで誰かに鞭でしばかれたり罵声を浴びせられる姿を見ても、一旦ただのそっくりさんか新手のお遊戯かシンプル魔が差したかと考える。
 それよりは俺にナイショで誰かを部屋に入れたり、仲良さそうにしているほうが俺は嫌だ。

 でも三初はたぶん、怒るンだよな……。
 フリとはいえ自分以外が恋人をどうこうはたぶん、気に食わない。たぶん。

 基本的に俺以外に触らせることすらほとんどないくらい、三初は心のパーソナリースペースが狭い男なのだ。

 付き合う前は間森マネージャーと二人でお買い物、なんてシーンを目撃したが、付き合ってからは素振りもない。
 本当に逆らうほうが面倒くさくて仕事対応していただけなのだろう。もう面倒になった今はどうでもいいっぽい。

 忘年会で能力を買っているデザイン部連中に連行された時も、別に密着したり距離が近かったりとかはなかった。

 触られるのが嫌いなんだろう。
 だから自分からは触らない。俺に触ってくるのはまぁ、……彼氏だから。
 アイツはああ見えてちゃんと特別扱いしてくる。どうでもいい相手に気のある態度は絶対に取らない。絶対に。

 で、そういう三初が俺と間森マネージャーのお試しプレイを知ったら?

 ガチギレされるだろ。俺が。

 アイツのことだ。寂しがるとか悲しむとか焦るとかそんな可愛い感情は皆無だろうが、奇跡的に状況映像だけ見るバレ方とかしようもんなら死ぬだろうが。俺が。

 そう考えた俺は断ろうとしたのだが、間森マネージャーは三初の同族。

 サクッと丸め込まれてしまった。
 オイ。チョロいとか言うな。

〝マゾじゃない確信を得たら、受け身での主導権の握り方を教える〟
〝マゾだったらサドの喜ばせ方を教える〟

 そんな甘い餌でホイホイと釣られてしまった俺は、危機感や警戒心より魅力的な情報を取ってしまった。




しおりを挟む
感想 137

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

処理中です...