誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

文字の大きさ
上 下
294 / 454
第七話 先輩マゾと後輩サドの尽力

13※

しおりを挟む


 目を閉じていたために不意打ちを喰らい、心臓の鼓動が速度を増す。

 ──俺が……俺がやらしいんじゃねぇ。
 三初に触られると感じる体に躾けた、三初がやらしいに決まっている。

 けれど火照った体と期待をごまかせず、俺は身をよじって弱々しい抵抗をした。

 黙ってはいられないが暴れることもできない言葉なき抵抗だ。

 蜜で溶けた屹立を握る腕を掴み、引き離すために僅かに揺する。


「ふっ……ン、……んぅ……」


 そうすると手のひらと擦れあって、尿道口がヒク、と収縮した。
 クスリと笑みが耳を詰る。


「俺の手でオ‪✕‬ニーしたいの? くく……いいですよ」

「ぅ……っ、っ……」


 そんなつもりはない。
 触ってほしくないという意味だ。ここでは嫌だ。困る。できない。

 けれど三初は言うことを聞けば気持ちよくイかせてやる、と言って、耳たぶを唇で食み、項にキスをした。

 思わず目を開く。
 暗闇から画面の光を浴びた視界がぼやけ、三初の手の体温が鮮明に感じた。

 黒のトートバッグからレザーケースを取り出し、軽くボタンを弾くと、中身を手にバッグから手を引く。

 耳の後ろでビニールが破れる音がして、取り出したものがなんなのかを察した。


「自分でケツ締めて、中でちゃんと感じて。どうしたら気持ちいいか、教えた通りに自分で練習して? そしたら思いっきりイッていいですよ。でも……絶対、声は出さないでくださいね」

「ッ……ん…ぐ、……ッ……ッ」


 硬く勃起した屹立にヌルリとゴムがハメられ、耳孔を舐めながら命令が下される。

 オイコラテメェ、なんでンなもん持ち歩いてんだ。俺をいたぶる準備万端かよッ!

 なんて文句を言おうとしたが、体内に埋め込まれたローターのうねりが激しさを増し、慌てて唇を噛み締めた。

 コイツは、強制的に後に引けない快感を与え、逃げ場を奪う気だ。

 そして俺はそれに、まんまとハマっちまっている。

 嫌になるくらいわかっていた。
 三初の行う新たな遊びに、自分がいつだって最後はハマってしまうから。


「ッく、……ッ、……ゔッ、……ッ!」


 三初の手が薄いゴムを纏った屹立を包み、強弱をつけて再度扱き始めると、より快感が増して腰が椅子から浮かんだ。

 可動式の骨組みが軋む。
 人にされるほうがマズイ。しかもこんな暗闇で。頭の奥が痺れてきた。

 ヴヴッヴッヴヴヴッ、というランダムなバイブ音が肉や骨を伝い、体の中から鼓膜を揺らす。


「ぅ…く、……っん…ふ……、ッ…んッ……んッ……」


 ちくしょう。
 三初の野郎、わかってるくせに。

 そんなに強く中を叩かれると俺はもうダメになるんだってことを、知ってるくせに。──この、ドS暴君が……ッ!

 頭ではそう思っている。

 筋金入りの意地っ張りな俺だ。
 心は折れず、底意地の悪い性悪なドラ猫に死んでも従ってなるかと反抗心が燃え盛っている。


「……く、ん……、ッ…んッ……ふ……ッ」


 けれど調教された体は、目先の快楽にゴマをすって媚びを売るのだ。

 俺は無意識に三初の命令通りに内壁を収縮させ、小ぶりなローターでも満遍なく締めつけられるよう筋肉を動かしていた。


「……っ……んっ……」


 下手に動いて人に気づかれないよう裏筋や反りをクチュクチュと扱く手に身を委ね、追いかける。

 薄目を開けて呼吸を乱し、声だけは殺して三初の手に吐き出す。

 声を出せない状況で、人に見られるかもしれないと思いながら淫行に耽る自分が、死にたいくらい恥ずかしい。

 だがそう理解しながらも三初に身を任せると、どうしたことか、性感帯の感度が上がっている気がした。

 ──チッ……アホらしい。

 気のせいに決まっている。
 俺は羞恥に興奮するマゾじゃねぇ。

 反抗心がムクムクと頭をもたげると、不意に尿道口へ僅かに指先を挿入されて「ヒ……ッ」とうめき声が漏れた。エスパーめ。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

アダルトショップでオナホになった俺

ミヒロ
BL
初めて同士の長年の交際をしていた彼氏と喧嘩別れした弘樹。 覚えてしまった快楽に負け、彼女へのプレゼントというていで、と自分を慰める為にアダルトショップに行ったものの。 バイブやローションの品定めしていた弘樹自身が客や後には店員にオナホになる話し。 ※表紙イラスト as-AIart- 様(素敵なイラストありがとうございます!)

変態村♂〜俺、やられます!〜

ゆきみまんじゅう
BL
地図から消えた村。 そこに肝試しに行った翔馬たち男3人。 暗闇から聞こえる不気味な足音、遠くから聞こえる笑い声。 必死に逃げる翔馬たちを救った村人に案内され、ある村へたどり着く。 その村は男しかおらず、翔馬たちが異変に気づく頃には、すでに囚われの身になってしまう。 果たして翔馬たちは、抱かれてしまう前に、村から脱出できるのだろうか?

体育教師に目を付けられ、理不尽な体罰を受ける女の子

恩知らずなわんこ
現代文学
入学したばかりの女の子が体育の先生から理不尽な体罰をされてしまうお話です。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

少年ペット契約

眠りん
BL
※少年売買契約のスピンオフ作品です。 ↑上記作品を知らなくても読めます。  小山内文和は貧乏な家庭に育ち、教育上よろしくない環境にいながらも、幸せな生活を送っていた。  趣味は布団でゴロゴロする事。  ある日学校から帰ってくると、部屋はもぬけの殻、両親はいなくなっており、借金取りにやってきたヤクザの組員に人身売買で売られる事になってしまった。  文和を購入したのは堂島雪夜。四十二歳の優しい雰囲気のおじさんだ。  文和は雪夜の養子となり、学校に通ったり、本当の子供のように愛された。  文和同様人身売買で買われて、堂島の元で育ったアラサー家政婦の金井栞も、サバサバした性格だが、文和に親切だ。  三年程を堂島の家で、呑気に雪夜や栞とゴロゴロした生活を送っていたのだが、ある日雪夜が人身売買の罪で逮捕されてしまった。  文和はゴロゴロ生活を守る為、雪夜が出所するまでの間、ペットにしてくれる人を探す事にした。 ※前作と違い、エロは最初の頃少しだけで、あとはほぼないです。 ※前作がシリアスで暗かったので、今回は明るめでやってます。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

発禁状態異常と親友と

ミツミチ
BL
どエロい状態異常をかけられた身体を親友におねだりして慰めてもらう話

処理中です...