誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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閑話 嫉妬×監禁×自堕落=最低カレシ

11(side三初)※微

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 チュプ、と指を引き抜く。
 耳元に唇を寄せて、耳たぶを食んだ。

「なら、十秒あげるんで、この部屋から出てみてください。それができたら普通にシて、普通にダラダラ、あんたと過ごしてあげますよ」
「っぁ……」

 ワガママな飼い犬の望みを多少は叶えてやるのも、飼い主の務め。

 あっさりと身を引き、困惑する御割の尻をパシンと叩いてやる。

「はい、じゅーう、きゅーう」
「ま、待て、なん、っ」

 逃げ出そうともがく御割を見もしないでカウントダウンをしながら、三初は立ち上がってベッドの下のオモチャ箱を取り出した。

 四つん這いになってベッドから手探りで移動した御割は、ドサッ、と頭から床に突っ込む。

「いッ、…って、ふっ……」

 カパ、と箱を開き、リードがついた首輪とバラ鞭を手に取りながら、半端に快感を得て火照った体で尚も前へ進もうとする姿を眺めた。

「はーち、なーな」
「はっ……はっ……」

 御割が必死に這い進んでいるのは出口ではなく、パソコンが置いてあるテーブルの方向だ。

 立ち上がろうとしても案の定足に力が入らず犬のように前へ進む背中を、背後から見つめ、クククと笑う。

「ろーく、ごーお、よーん」

 クリームを塗布され艶かしくヌメる背中には、薄くなった鞭の痕があった。
 手足より少し白い尻だけが、赤く染まっている。

 壁にゴン、と頭をぶつけた御割を追いかけてゆっくりと近づくと、彼は壁に手をあてドアを探した。

 その哀れな姿を笑いながら追い詰め、見下ろす。楽しすぎる鬼ごっこだ。

「さーん」
「くそ、目隠し、外せよ、っ……」
「にーい」
「っみはじめ、か、感じるの、嫌だ……も、もう許してくれって……っ」
「いー……ち、ぜろ」
「ッあぁ……ッ!」

 許しを乞う愛らしい駄犬の肌に、バチンッ! と思い切り鞭を振り下ろした。

「残念。おやすみまで遊ぶコースですね? 嬉しくって笑えるわ」

 バチンッバチンッ、と続けざまに鞭で打ちながら、心から喜びの言葉を贈ってやる。

「いッ、ひっ……許して、もっい……ッ」
「んー? 許して? 先輩は悪いことしてないんですよね? 俺の気持ち、わかんないからこんな仕打ち受けてるんですよね?」
「やッ…ぁッ…はぁッ……!」

 御割の反応をつぶさに観察し、苦痛が過ぎないよう調整して虐めた。

 バラ鞭は加減すれば手で殴るよりも痛くないが、肌はすぐに赤く染まっていく。

 それに適度な痛みは不慣れなマゾヒストに、ちょうどいい快感をもたらす。

 泣き虫で迂闊な駄犬の躾には、ピッタリの道具だ。


「ぁっ…いッ…ご、ごめんって言って、ひっ……なっ殴んな、…もっ…逃げね、からぁ……っ」

 そうしてしばらく打ち続けると、御割はついに謝罪をし、三初の決定に逆らうことをやめた。

 ──ごめん? こんなにしつけているのにそんな聞き飽きたセリフしか出てこないなんて、許し難いだろう。

「ふっ……手ぇどけて」
「っ」

 縮こまってそれらしいことを言い出したので、打つのをやめ、打って変わって酷く冷たい声で命じる。

 別に、本当はもう、ちっとも怒っていない。これは本当。
 ただ痛みに抗おうと顔を庇っていた腕が、邪魔なのだ。



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