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閑話 嫉妬×監禁×自堕落=最低カレシ
08(side三初)
しおりを挟む「ククク。んじゃ、あーん」
「…………」
わざとらしい高めの声で言うと、御割は黙ったまま雛鳥のように口を開け、不機嫌そうに餌を貰えるのを待つ。
だいぶ間抜けな顔だが、スプーンですくったオートミールを与えてやった。
あとはこれを繰り返すだけ。
三食分、三初はきちんと給餌する。
初回と二回目は自分で食べると言っていたが、じゃあどうぞ? とやらせると、口の周りをベタベタにして、恥ずかしげに盆の上でひっくり返った皿を舐めていた。
拘束と目隠しを一切外さないので、犬食いオンリーの彼が一人で食事を取れるわけがない。
三日目の今日では不服そうにしてはいるものの、御割はちゃんと用意した食事を平らげた。
律儀に餌を与えられるのを口を開けて待つ姿は、アホ面だと笑う反面、愛嬌もある気がする。
なので面倒なことに思えるし見える給餌は、三初としても悪くはない時間だ。
あたたかいココアとついでに精力剤をジュースと偽って飲ませ、後の楽しみを彩っておくことも忘れない。
「はい完食」
「う……。……ごちそうさん」
「だけですか? 感想は?」
「……うまかった。なんかあんまり食わねぇやつ、ジャム甘くて、ブルーベリーのジャム? は、うまいから好きだ」
「語彙力ないなぁ」
「う、うるせぇ」
御割はバツが悪そうに顔を逸らし、それ以上はなにも言わないという意思表示をする。
わざわざ普段聞かない感想を求めたのは、あてつけだ。
取られたハジメテは数倍で回収する主義だからね。当然。
三初はその後御割の体を綺麗に洗い、髭を剃り、一晩の汗や体液を流して身奇麗にしてやってから、丁寧に歯磨きまでしてやった。
御割は腑に落ちていない顔をしていたが、自分の迂闊な行動で三初が気分を害したと言い聞かせているので大人しい。
これは事実だろう? あー悲しいな。
責任を取ってもらわないと、泣いてしまう。か弱い三初なので、仕方がない。
ことあるごとにそれを引き合いに出して傷ついた、辛い、もっと甘やかしてくださいよ、と鳴くだけで、単純な御割は文句を苦虫ごと飲み下し、黙り込む。
いやはや、嫉妬って楽しいわ。
監禁プレイとセットなら、いつでもかわいく妬いてあげよう。
ウキウキ、じゃなくションボリな三初は、拘束されているがために一人じゃなにもできないデクの恋人を抱いて移動させ、ベッドの上に優しく乗せてやった。
そうしてようやくこの日初めて、拘束具を外してやる。
筋肉が固まるとせっかくバランスのいい体躯をしているのに、変な癖がついてしまう。
それは惜しいので、日に一回マッサージをしてやるのだ。
「ん……おかしい……んっ……なんか、この、く……っ」
「全然? 普通にマッサージでしょ」
「はっ……ぁ……ん……」
うつぶせに横になる御割へ、ヌルヌルと全身にボディクリームを塗りこんでやりながら、クククと笑う。
なにもおかしなことはしていない。
ただ全身マッサージに使用しているボディクリームが──感度アップの媚薬成分入り、というだけだ。
それを目隠しをされている御割には言わずにいるので、精力剤と媚薬のコンボを決められていることは、ちっとも気がついていないのである。
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