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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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アルコールに浸って駄々をこねる子どもと化した俺と抜け出し自宅へ引っ張り込んだ三初は、まず、俺からスーツの上着を奪ってネクタイを解いた。
シャワーを浴びて寝ろと粗雑に扱われて余計に拗ねる俺は、三初を無理矢理ベッドに押し倒して体に跨り、現在その一物を口内で味わっている。
「んッ……ンッ……」
「腰引けてますよ」
眼前に晒した剥き出しの俺の尻をなぶる三本の指が声と共に前立腺を擦って、思わず咥えながら身をくねらせた。
呆れたような三初の声。
もう小一時間しゃぶっているが、大きく張り詰めた怒張は未だに達していない。
それだけ思考回路が溶けた俺の口淫が下手クソというだけだが、酒に酔った頭は〝俺のことが好きじゃないからだ〟と考え、いっそう焦り、泣きたい気分になる。
わかってんだよ。
わかってるけど、俺が好きなら俺で出せよと思う。下手でもイケよ。
俺と飲むより女と飲むほうがイイってなら俺とヤるほうがイイって思え。思わねぇと寝かせねぇ。
気持ちだけは一人前だが何度も繰り返し仕込まれた舌使いがてんで生かせず、ただ吸って咥えて舐めるだけだ。そりゃあイクにイケないに決まっている。でも、寂しくなる。
別に、乗り気じゃないわけではないのかもしれないけれど……三初は俺で感じてくれないし、抱いてもくれない。
抱かないまま、俺の体を熱くする。
下手クソな俺の奉仕に引き換え巧みに中の弱点をあやす三初の指で、もう二度、俺は前と後ろで一度ずつイッている。
下着はどこかに脱ぎ捨てた。
下肢を剥き出しにボタンを全部外したワイシャツを羽織っただけの姿。
汗ばむ体を覆う布は、ヒートテックインナーと湿ったシャツに靴下のみだ。
そんな間抜けた格好で三初の体に跨り、進んで肉棒を頬張って、甘いキャンディーを味わうようにチュクチュクと舐めている自分。
情けないしはしたない。
それこそメス犬みてぇじゃねぇかと自覚はあるが、やめようと思えなかった。
「舐めるだけで飽きないのかねぇ……普段は嫌がってるくせに、ずっと離しやしない」
「んふッ、……ぅ、ん……ッ」
ビクンッ、と再び腰が無意識に大きく弾む。またトントンと中のしこりを気まぐれにノックされたのだ。
「そんなに美味しい? 俺のそれ」
「ふぁ…あッ……ふぇぅ……」
からかっているが呆れてもいる声だ。
勝手に拗ねて勝手にワガママを言って勝手に押し倒した俺に、怒っていないのか、機嫌がいいのか、わからない。今の俺にはなにもわからない。
自分がどうしたいのかも、だ。
このあやふやな気持ちをきちんと伝えられる言葉に形作るなんて、ヤケ酒で萎縮した脳ではできっこなかった。
「はっ……みはぃぇ、ぉ、ん」
「はいはい」
「へぁ、っ……」
泣き出しそうなのに快感にトロけた声で俺が名前もどきを呼ぶと、三初は適当な返事を返してくれる。
適当だけど返してくれる。
それが嬉しい俺は、ただ三初を自分ひとりで満足させて、いいこだね、と褒めてほしいだけなのかもしれない。
定かではないけどよ。
でも、そうだな。きっと褒められたら、気分がいいだろう。
もう御割先輩だけいればいいですかね、なんて答えてくれるかもだ。そうなったらもうけだぜ。
俺だけでいいじゃねぇか。俺はお前だけでいいって言ってンだからよ。
「オイタ」
「ひぁッ、あ、ン、く……ッ!」
希望が見えてニマニマと笑うと、勃起したものに歯でも当たったのか、思い切り尻をバチンッ! と叩かれた。
痛い。いつもそれする、イテェのに。
なんでいつもぶつんだよ。
最近こいつは、俺に痛いことばかり。そんなことしたら、俺はダメになる。
「いッ……! ぐぅッ……!」
繰り返しバチンッバチンッとぶたれた俺は、思わず口内から硬い肉棒を抜き、そのままずらした下着とスラックスに顔を埋めて呻いた。
けれどそれももう気持ちがいい、俺の体。おかしくなっちまったお前専用の体だ。
ダメになったじゃねぇか。
痛みが快感になるなんて、生き物として失格だろうが。わかってんだよ。わかってんのに感じちまう。
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