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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
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しおりを挟む……というかこれを言うために、ホワイトデー企画中の仕事の話を振ってきたんだな?
しかも俺が罪悪感を抱いていてあまり拒否できないこのタイミングで恋の駆け引きってことは、全部計算もしくは野生のカンで、ベストタイミングを嗅ぎ取ってやがったな?
全てに気がついた俺はピキ、と口角を引きつらせ、思いっきりドン引きしていますという顔を押し出す。
なあ世界聞いてくれよ。これ俺の恋人なんだぜ。しかも後輩なんだぜ。
確実にこっちのほうが画面の向こうより断然ホラーだろ。
ゾンビなんか頭潰せば死ぬんだろうけどよ、三初は頭潰す前に玉潰されるだろう生命体だぞコラ。
得も知れない恐怖を覚え掴まれた手をそーっと振りほどこうとするが、ガッチリ握られてさりげなくは逃げられない。
握っている三初は、俺が逃げようとしていることを察して、相変わらずの飄々とした表情のまま「あらら」と呟く。
「へぇ、バレンタインないのか……先輩が俺のこと嫌いになっちゃったなんて、知らなかったなー。好きならくれるはずなのに、泣いちゃいそうだわ」
「っべ、別に嫌いだからとかじゃねぇっ、好きだけどそれは、…………クソがぁぁぁぁ……ッ」
言い切った直後、罠に気がついた俺は、ボフッ、とクッションを当てて顔を隠し、叫んだ。
わざとらしく目を伏せてボソリと呟きをあてつけのように俺にトゥイートするものだから、まんまとファボを押してしまったってわけである。
それが釣りだと気がついた時には、時既に遅し。
猫はニマ、と愉快そうに口元に弧を描き、掴んだ手首を強く引いて俺を片腕で軽く抱く。
「あはは、好きですか。それは嬉しいわ。──じゃ、バレンタインチョコ待ってますね」
余談だが。
こうなったらとんでもないゲテモノチョコレートを購入してやる、と内心復讐を決意する思考を察した大魔王により、だ。
俺は──
〝三初 要が不快と判断するチョコレートを贈与、またはチョコレート自体を用意しなかった場合、御割 修介の体を介してチョコレートの受け渡しをすること〟
──という書面にサインをさせられるはめになったということを、ここに記しておく。
要するに『チョコくれなかったら先輩の体にチョコぶっかけて食いますから』と、誓約書を渡しながら言われたわけである。
付き合ってから結構な頻度で割とガチめに思ってるんだが、感情論派の俺が暴君論派のコイツと付き合ったのは、間違いかもしんねぇ。
中都になにを悩んでいるのかと聞かれ別にと答えると、ヤモー知恵袋をオススメされたので、近々投稿するかと真剣に考える俺であった。
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