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第六話 狂犬と暴君のいる素敵な職場です
05(side竹本)
しおりを挟む「ま、話術、ですかねぇ……」
「別名減らず口か」
「概ね正解? だから先輩は絶対ミーティングで口うるさいの黙らせてきてくださいよ。俺はミーティング終わるまでサバンナ作ろ」
「誰に言ってんだ、あぁ? テメェは今からサバンナでライオンの餌になってこいッ!」
「またまた。ジョーダンでしょ? 俺がサバンナにでも飛んでいなくなったら、寂しくて泣いちゃうくせに」
「誰が泣くか誰がッ! あといい加減、て、手ェ離せよッ。んで避けろッ」
「やです。避ける気分じゃない」
「避けたくなるまで殴っていいか? ア?」
カタカタしながら隣から聞こえるいつも通りのやりとりに耳を傾け、謎の二人の関係性に疑問を抱く。
ま、年が明けてもこの二人は変わんねーな。通常運転だよな。うん。
なんとなく隣をチラ見すると、いつの間にやら二人は相変わらずの様子で顔を突き合せて睨み合っていた。
……いや、なんか顔近くね?
鼻と鼻が触れ合いそうなくらいの距離感でぶつくさと言い合う二人。口喧嘩であの距離感。
イチョウ倶楽部なら絶対仲直りキスしてる。
「もういいからさっさと避けろマジでッ! 仕事できねぇだろうが!」
「んー……よし。御割犬、オスワリ」
「オイコラ誰が膝に座らせろっつったんだよ。あと犬じゃねぇって何回言ったらわかンだこのゴーイングマイウェイ野郎!」
会話の流れで三初がなにを思ったかポンポンと自分の膝を叩くと、御割は当然中指を立てて拒否した。
そりゃあそうなるよな。
なにも解決してねぇもん。
御割を膝に乗せたまま工作して遊ぶ三初を隣に、俺は真顔で仕事できる気がしない。
近くのデスクの同僚も一瞬振り向いて、すぐに見なかったことにしている。わかる。気持ちすっげーわかる。
「あー、じゃあ膝枕してくれたら避けます。ゲームしよ」
その瞬間、ガンッ! と非常に痛そうな音が鳴る。
おいやめろよ。
突拍子なく本気か分からない冗談言うから、あっちでアンケート纏めてた山本が引き出しの角で脛を強打したじゃんか。
「膝枕もジオラマ作成もゲームも仕事中やることじゃないだろ。頭大丈夫か、社会人」
「日本に足りないのは遊び心ですよね」
「お前に足りないのは人間性だこの社会不適合者」
そんで御割はそれにツッコミいれないのかよ。
ゲームと一括りにする話じゃないだろ。
冗談と本気の境界線がわかりにくい三初に人間性が足りてないのはわかったが、御割は御割で妙にズレている。
おかげで俺はタイプミスをして、そそくさとデリートキーをカチカチ。
「俺今日の仕事終わってますし。帰る前に日報書くだけですし。先輩から任された仕事も全部終わってますがなにか」
俺を筆頭に周囲に驚愕を撒き散らしているとわかっているのかいないのか。
三初はしれっとした様子で仕事を終わらせたのだから、余った時間を自分のために使ってなにが悪い? と訴える。
御割は「じゃあ大人しくデスクに座ってスパイダソリティアでもやってろよ。俺を巻き込むな」と断固突っぱねた。
うん。それもズレてるよな。
普通は周囲の評価を気にしてしまうので、仕事探してやるか、人の手伝うのではなかろうか。
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