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第五話 冬暴君とあれやそれ
58※
しおりを挟む「ん、ふ……っ」
ズクン、ズクン、と溜まりに溜まった熱が、解放を求めて疼き出す。
──出したい。
お前が俺を、男に、お前に犯されてイキたい……なんて、イカレた頭に変えたくせに。責任を負わず欲望は煽る。本当に心からお前はクソ野郎だ。
「よっと」
「ぅあ、っ……」
「ほら、前向いて。……これでも浮かれてるんですよ? 俺ね」
自力じゃあ起き上がれない俺を、三初はそのまま抱えて膝立ちにさせる。
耳孔を舌舐め含み笑いを囁かれながら、背後から支えられ、鏡に正面から映された。
ドクンッ、と心臓がうるさく脈打つ。
口の中に入ったままの指で固定されているので、顔が逸らせない。
繋がれた手足の鎖が、ジャラリと鳴った。
「はぁ……っ」
「やらしい顔……」
酷く愉悦を帯びた声とともに、剥き出しのままヒクヒクと収縮する後孔へ、熱い塊が宛てがわれる。
鏡の中の俺の顔。
紅潮して汗ばむ肌に浮かぶは、トロンとふやけた淫猥そのものな表情だ。
そのくせ眉を寄せた潤んだ瞳で自分の背後を睨みつけ、まるで〝自分は好きでこうしているんじゃない〟とでも言いたげに、気丈ぶって振舞っている。
振舞っている。
つもりで、期待に満ちた……淫らな男の顔だ。
「ひやら、ふぃぁ……っ」
あまりに恥ずかしくて否定しようとしたのに、宛てがわれているだけのそれを求めるようにヒクヒクと吸いつく、情けない粘膜。
腰を支えていた手が滑り、赤く腫れたまま蜜を垂らしている肉棒に触れた。
「ね。俺に触られると、先輩はいつもこんな顔して悦ぶ。そうしたのは俺だけど、誰とも知らないやつに取られたくはないでしょ」
「んっ……くっ……」
「それがまぁ、憂いなく一生俺の所有物にする大義名分を得たもので、浮かれて仕方ないわけだ」
手淫すると同時に、入口をつつくだけだったものが、熟れた内部を味わうように、ゆっくりと侵入し始める。
三初が入ってくると、中の襞は俺の意志とは関係なく誘い込むように動く。そう躾られただけだ。
「はぁ、あ……っ……あっ……」
そう言い訳もできない。
全部見えている。
鏡の中の俺は、自分から迎え入れようと仰け反るように尻を突き出し、侵略する指に舌をからませ、ふるふると快感に震えていた。
ズズ、ズズズ、と狭い肉をかき分けられる挿入感。
慎重なんじゃない。欲しがれば焦らす。底意地の悪い嫌がらせだ。
せっつく余裕もなく吐息じみた声を上げながら開く俺を静かに笑い、肉茎を擦っていた三初の長い指が、根元のリングをパチン、と外す。
「いいですか? 先輩。この先一生、あんたは俺としかセックスできません」
「あっ、ぁ……」
「でもその代わり、他じゃ満足できないくらい、気持ちよくしてあげますよ」
「く……ひっ…ぁ……っぁああ……っ」
ふざけた宣言とともに根元まで挿入され、トン、と奥をノックされた途端。
三初の手の中に、我慢させられきった濃厚な白濁液が、ドプ、ドプ、とあふれ出し、長くねっとりと吐き出された。
心臓が脈打つたびにビュクッ、と緩やかに吹きこぼす呆気ない解放。
放尿感にも似た重く官能的な絶頂だ。
鏡に映る俺は白濁液をトロトロと溢れさせながら、三初に身を預け、ただ継続的にビク、ビクンッ、とイキ続けていた。
「はっ、……あっ、……ンっ、……」
──これ、は……すげぇ、いい……っ。
とろ火で炙られる絶頂感が止まない。
胎内が痙攣して挿れられたモノの存在を感じ、三初は動いていないのに勝手に快感を拾っている。
使ったことなんてないが、麻薬を知ると、たぶんこんな感覚になるのだろう。
ずっとこのまま浸っていたいと思ってしまう。溺れていく。最悪だと唸っていた狂おしい辛抱が一転し、最高だと恍惚に嘆息する。
クチュ、クチュと柔らかくなっていく陰茎を絞るように扱かれ、また白が零れた。
達すると中をキツく締めつけてしまい、しこりが押しつぶされて更に勃起するループ。
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