誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

文字の大きさ
上 下
204 / 454
閑話 犬の知らない物語

04(side三初)※

しおりを挟む


 パポン、と軽快な電子音のあと、手の中の画面にはとろとろに溶けきった卑猥な先輩の顔が映し出された。


「はっ…はっ…ぁあ…ぅ……」

「えーこちらガンガンケツ掘られてんのに全く起きる気配のない寝ぼすけ御割犬の睡姦現場でーす。意識なくてもこの顔でーす。強めに抉るといい声で鳴きまーす。調教済みア‪✕‬ルぐぽぐぽ出入りされんの気持ちいいねー」

「んあっ…ぁんっべ……ベランダはいやだ……ベランダはかんべん……」

「ベランダ? あぁ、さっきベランダで抱いたからか。クク……夢に見るほど気に入ったのか、な」

「ん、く」


 覆いかぶさるように顔を映しながらパンッ、と強く中に打ち付けると、先輩の体が反射的にビクリと跳ねた。

 平和で穏やかな休日の昼下がり。
 手すり越しに親子や老人、カップルや学生なんかの通行人を見下ろしながら、自分は下半身をむき出しに、男に抱かれる快楽と肉欲に溺れている。

 そういう現実を実感させてやりながら、耳元で唆すように囁いてやった。


『興奮してるんでしょ? 世の中が健全に過ごす真昼間に、コソコソ隠れながらお天道様に不健全な姿を丸裸に曝け出してさ』

『感じてるんですか? ちょっと隣近所が洗濯干しにでも出てきたら声抑えたってバレるかもしれないのに、あんたさっきから何回イキかけてるんですかねぇ』

『イキたきゃイけばいいじゃないですか。思いっきり声出して、呑気な顔して歩いてる奴らにぶっ掛けてやればいい』

『あらら。そんなに口押さえたら息できないでしょ。死にそうな顔真っ赤にして、指の隙間から唾液垂れてますよ。みっともないなぁ……精液も何回出すのやら』

『ほら頑張って。腰砕けない。尻下げない。俺まだ二回しか出てないのに膝ついたら、柵に固定して布団叩きでバイブ挿れたまま尻の色変わるまでブチますよ』

『御割先輩は、恥ずかしいね』


「うっせぇ……死ね鬼畜やろう……」


 さっきと同じセリフ。

 そう言って恥辱に震える先輩を快感のマグマに突き落として沈めてやると、酷い顔で喘ぎながら自分の肉芯を握りしめ、出さずに達していた。
 相変わらず見上げた意地っ張り根性だ。結局枯れるまで出させたけど。


「ん…んッ…ぁ…ゃ…あ……」

「くくく、は、夢の中にいる間に調教されてんのは知らないか、……っ」

「ぁ、ぁッ、ぁああ……ッ…ッ」


 抗うこともできない今は、相変わらず具体的な寝言で文句を言いつつも、体は素直に絶頂を迎える。

 白濁でもない透明ななりそこないがビュクッ、と吐き出されたが、それ以上は出るものがない。
 シーツの上で指先と足先がギュッと丸くなり、筋肉がピクピクピク…ッ、と収縮を繰り返して痙攣した。


「ん、チッ……やば、」


 焚き付けられるように薄いゴムの中に欲を吐き出す。

 煽られたみたいで腑に落ちない。
 が、抗うには多少気合いがいる程度には、達する時の肉襞の動きが毎度のことながらえげつなかった。自業自得か。

 ドクッ、ドク、と熱を解放すると、内部が絞るように蠕動して全て欲しいとばかりに絡みつく。

 画面の中の先輩はプルプルと震えながら脱力し、物足りなさそうに「ん、く……」と鳴いて身じろぐ。


「ふ、欲しがりめ」


 思ったより、かわいがるような声が出た。

 トンと画面をタップして録画を止め、保存。保護をかけてフォルダーを移動し、パソコンへ送っておく。
 もう少し撮ってやりたかったが、映ると困ることをするから仕方ない。

 甘い気分になったのだ。

 余韻に浸るべく軽く腰を揺すってから、項に濃いキスマークを刻む。
 割との頻度でつけているが、まだバレちゃいない。バレるところにはつけない。項とか耳の裏とか。

 本人には見えなくても他人なら指摘できる位置だ。
 ただ見る人が見るとすぐにキスマークだとわかるそれを、あの御割修介に指摘できる命知らずはそう多くないだろう。

 指摘できるのは、狂犬の先輩に気兼ねせず気づけるほど近づける者だけ。

 だから虫除けの意味がある。
 余裕ねーな。割と必死ですよ、俺。
 あんたは替えがきかないから。


「ンッ……ゥ」


 挿れたまま覆いかぶさり、甘い唇を包むように重ねた。

 横向きじゃちょっとしにくいな。
 口の中で表面を舐めて湿らせる。上唇、下唇。順に唇で食み、歯を当ててくすぐる。ほら、焦らされんの好きでしょ? 口開けて誘ってくる。

 すぐに舌は挿れない。歯列を舐めて隙間に舌を挟み、軽く往復してなぞる。
 すると俺の舌を捕まえようとして先輩の舌が伸びるから、それを誘導して自分の口の中に入れさせるのだ。

 そこでちゅ、と吸う。
 逃げ腰になる舌は下顎を押さえて逃さない。吸って、甘噛みして、角度も変えて、唇をこすって、じゃ、もう好きにしていいでしょ。

 キスに感じさせたら、御割先輩はわりあいどんなキスでも任せてくる。

 意識ある時はこれ有効。
 狂犬にキスするコツってやつかね。


「ん……ん、ふ……」

「はっ」

「ッヒ……ぁわ…あ……」


 ちゅぷ、ちゅく、ちゅ、とねちっこい音を立てて思う様貪ってから唇を離し、舌を伸ばして汗ばんだ項、耳の裏、首筋、鎖骨とゆっくり、丁寧になぞって味わうように舐めた。

 インナーの上から乳首を引っ掻くたび、ビクビクと戦慄く肌。

 その震えごと舐めしゃぶり、子猫じみた舌使いでちゅ、ちゅ、べろ、と愛撫しながら、尖る突起を爪先で掠めて布ごと摩擦する。


「は……んッ…はぁ……触んな……」

「い、や。どうせならもっと、かわいいこと言って?」

「ぁあ…っ…あ…かわいい……かわいくね…ぁっ……触ん、さ……」

「違うでしょ。かわいいこと、ね」

「かわ、く……さわ、って……」

「そ。かわいい」


 摘んで、捻って、潰して。

 過去にコールドスプレーとクリップでしつこく調教してやったおかげか、先輩のココは手のひらで転がしただけで、面白いように身を攀じるようになった。

 そんな先輩は、少しはかわいい。
 俺のせいでそうなった先輩だから、少しはかわいい。

 どういうことかっていうと、まぁ、……俺は天邪鬼なんですよ。




しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

身体検査

RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、 選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。

膀胱を虐められる男の子の話

煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ 男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話 膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)

ドSな義兄ちゃんは、ドMな僕を調教する

天災
BL
 ドSな義兄ちゃんは僕を調教する。

穴奴隷調教ショー

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 穴奴隷調教済の捜査官が怪しい店で見世物になって陵辱される話です。

僕が玩具になった理由

Me-ya
BL
🈲R指定🈯 「俺のペットにしてやるよ」 眞司は僕を見下ろしながらそう言った。 🈲R指定🔞 ※この作品はフィクションです。 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 ※この小説は他の場所で書いていましたが、携帯が壊れてスマホに替えた時、小説を書いていた場所が分からなくなってしまいました😨 ので、ここで新しく書き直します…。 (他の場所でも、1カ所書いていますが…)

処理中です...