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閑話 犬の知らない物語
04(side三初)※
しおりを挟むパポン、と軽快な電子音のあと、手の中の画面にはとろとろに溶けきった卑猥な先輩の顔が映し出された。
「はっ…はっ…ぁあ…ぅ……」
「えーこちらガンガンケツ掘られてんのに全く起きる気配のない寝ぼすけ御割犬の睡姦現場でーす。意識なくてもこの顔でーす。強めに抉るといい声で鳴きまーす。調教済みア✕ルぐぽぐぽ出入りされんの気持ちいいねー」
「んあっ…ぁんっべ……ベランダはいやだ……ベランダはかんべん……」
「ベランダ? あぁ、さっきベランダで抱いたからか。クク……夢に見るほど気に入ったのか、な」
「ん、く」
覆いかぶさるように顔を映しながらパンッ、と強く中に打ち付けると、先輩の体が反射的にビクリと跳ねた。
平和で穏やかな休日の昼下がり。
手すり越しに親子や老人、カップルや学生なんかの通行人を見下ろしながら、自分は下半身をむき出しに、男に抱かれる快楽と肉欲に溺れている。
そういう現実を実感させてやりながら、耳元で唆すように囁いてやった。
『興奮してるんでしょ? 世の中が健全に過ごす真昼間に、コソコソ隠れながらお天道様に不健全な姿を丸裸に曝け出してさ』
『感じてるんですか? ちょっと隣近所が洗濯干しにでも出てきたら声抑えたってバレるかもしれないのに、あんたさっきから何回イキかけてるんですかねぇ』
『イキたきゃイけばいいじゃないですか。思いっきり声出して、呑気な顔して歩いてる奴らにぶっ掛けてやればいい』
『あらら。そんなに口押さえたら息できないでしょ。死にそうな顔真っ赤にして、指の隙間から唾液垂れてますよ。みっともないなぁ……精液も何回出すのやら』
『ほら頑張って。腰砕けない。尻下げない。俺まだ二回しか出てないのに膝ついたら、柵に固定して布団叩きでバイブ挿れたまま尻の色変わるまでブチますよ』
『御割先輩は、恥ずかしいね』
「うっせぇ……死ね鬼畜やろう……」
さっきと同じセリフ。
そう言って恥辱に震える先輩を快感のマグマに突き落として沈めてやると、酷い顔で喘ぎながら自分の肉芯を握りしめ、出さずに達していた。
相変わらず見上げた意地っ張り根性だ。結局枯れるまで出させたけど。
「ん…んッ…ぁ…ゃ…あ……」
「くくく、は、夢の中にいる間に調教されてんのは知らないか、……っ」
「ぁ、ぁッ、ぁああ……ッ…ッ」
抗うこともできない今は、相変わらず具体的な寝言で文句を言いつつも、体は素直に絶頂を迎える。
白濁でもない透明ななりそこないがビュクッ、と吐き出されたが、それ以上は出るものがない。
シーツの上で指先と足先がギュッと丸くなり、筋肉がピクピクピク…ッ、と収縮を繰り返して痙攣した。
「ん、チッ……やば、」
焚き付けられるように薄いゴムの中に欲を吐き出す。
煽られたみたいで腑に落ちない。
が、抗うには多少気合いがいる程度には、達する時の肉襞の動きが毎度のことながらえげつなかった。自業自得か。
ドクッ、ドク、と熱を解放すると、内部が絞るように蠕動して全て欲しいとばかりに絡みつく。
画面の中の先輩はプルプルと震えながら脱力し、物足りなさそうに「ん、く……」と鳴いて身じろぐ。
「ふ、欲しがりめ」
思ったより、かわいがるような声が出た。
トンと画面をタップして録画を止め、保存。保護をかけてフォルダーを移動し、パソコンへ送っておく。
もう少し撮ってやりたかったが、映ると困ることをするから仕方ない。
甘い気分になったのだ。
余韻に浸るべく軽く腰を揺すってから、項に濃いキスマークを刻む。
割との頻度でつけているが、まだバレちゃいない。バレるところにはつけない。項とか耳の裏とか。
本人には見えなくても他人なら指摘できる位置だ。
ただ見る人が見るとすぐにキスマークだとわかるそれを、あの御割修介に指摘できる命知らずはそう多くないだろう。
指摘できるのは、狂犬の先輩に気兼ねせず気づけるほど近づける者だけ。
だから虫除けの意味がある。
余裕ねーな。割と必死ですよ、俺。
あんたは替えがきかないから。
「ンッ……ゥ」
挿れたまま覆いかぶさり、甘い唇を包むように重ねた。
横向きじゃちょっとしにくいな。
口の中で表面を舐めて湿らせる。上唇、下唇。順に唇で食み、歯を当ててくすぐる。ほら、焦らされんの好きでしょ? 口開けて誘ってくる。
すぐに舌は挿れない。歯列を舐めて隙間に舌を挟み、軽く往復してなぞる。
すると俺の舌を捕まえようとして先輩の舌が伸びるから、それを誘導して自分の口の中に入れさせるのだ。
そこでちゅ、と吸う。
逃げ腰になる舌は下顎を押さえて逃さない。吸って、甘噛みして、角度も変えて、唇をこすって、じゃ、もう好きにしていいでしょ。
キスに感じさせたら、御割先輩はわりあいどんなキスでも任せてくる。
意識ある時はこれ有効。
狂犬にキスするコツってやつかね。
「ん……ん、ふ……」
「はっ」
「ッヒ……ぁわ…あ……」
ちゅぷ、ちゅく、ちゅ、とねちっこい音を立てて思う様貪ってから唇を離し、舌を伸ばして汗ばんだ項、耳の裏、首筋、鎖骨とゆっくり、丁寧になぞって味わうように舐めた。
インナーの上から乳首を引っ掻くたび、ビクビクと戦慄く肌。
その震えごと舐めしゃぶり、子猫じみた舌使いでちゅ、ちゅ、べろ、と愛撫しながら、尖る突起を爪先で掠めて布ごと摩擦する。
「は……んッ…はぁ……触んな……」
「い、や。どうせならもっと、かわいいこと言って?」
「ぁあ…っ…あ…かわいい……かわいくね…ぁっ……触ん、さ……」
「違うでしょ。かわいいこと、ね」
「かわ、く……さわ、って……」
「そ。かわいい」
摘んで、捻って、潰して。
過去にコールドスプレーとクリップでしつこく調教してやったおかげか、先輩のココは手のひらで転がしただけで、面白いように身を攀じるようになった。
そんな先輩は、少しはかわいい。
俺のせいでそうなった先輩だから、少しはかわいい。
どういうことかっていうと、まぁ、……俺は天邪鬼なんですよ。
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