誰かこの暴君を殴ってくれ!

木樫

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閑話 都合のいいエイプリルフール

01※

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《本編無関係・エイプリルフール小話》



「も…やめろっ……ンっ…ぁっ……」


 週末の夜。
 既に日付が変わっている時間なのに、どうにも終わらない責め。

 おなじみとなった生意気な後輩とのセックスに、俺は緩く首を振って許しを乞う。

 お互いの汗と体液で湿ったシーツを握りしめるのは、俺の腰を掴んで深くまで押し入る男に縋りつくなんて馬鹿なことがないように、だ。

 人の話を聞かないコイツに、トン、トン、と心得たように中のしこりを突かれると、体が勝手にひくひくと痙攣する。

 何度も吐精したのに懲りずに赤く腫れた屹立からトロリと粘液が溢れて、腹を汚した。


「あ、いやだ、もう……」

「こんなに俺のこと締めつけて絡んできてるのに?」

「してない、んなの……っ擦れすぎて、剥けてる、っ……痛いんだ、よ、はっ……ア…アっ…ゥっ」


 ニヤリと笑う三初が、チュク、と音を立てる結合部に指を這わせる。
 何度も激しく抽挿を繰り返され充血し火照りきった粘膜は、すっかりトロけて痛みなんてない。


「嘘つき」


 心の中を見透かされ、俺はぶるッ……と震えた。

 ゴツ、と長大なモノを根元まで押し込み、奥に触れて動きを止めた三初が、身悶える俺の肉茎をそっと握りしめ、鈴口を指の腹でなぞる。


「ヒ……っ」


 イッたばかりの先端をクチュクチュと先走りごと捏ねられ、そのはしたない音が自分の耳に届く羞恥から、思わずキュウ……っと中を締めつけてしまった。


「ぁ、あ、あ」


 ねっとりとなぞられ粘液をぬちゃりと遊ばせつつ、握った指は柔らかく肉芯を揉むように動き小刻みに上下する。

 その刺激に物申す間もなく、ミチミチと太いものを咥えこんで破れそうなくらい拡がるアナルの縁をなでていた親指が、ぐぢ、と無理矢理内側に入り込んだ。


「っな、やめっ……ひっ拡がんね、から、裂けちまう……はっ、ぁぁ……っ」

「大丈夫ですよ。よぅく解してあげたし、先輩ムダに頑丈だから」

「いっ…挿れん、な……っ」


 頭を振った俺が手をもだつかせ足を蠢かせても、三初は愉快に流す。

 手のひらで足の付け根を押さえながらねじ込まれた片手の親指と、抵抗を削ぐべく巧みに肉茎を扱くもう片手。

 指でまさぐりながらも、ぐぷ、ぐぷっ、とほんの数センチ、腰を押しつけるように小刻みに律動する怒張。


「はっ…はっ…ぁっ…あっ……」


 あちこち感じさせられながら捲れた粘膜を太い根元部分で何度も何度も摩擦されると、カラダが勝手に絆された。

 腰がぐんっ、と仰け反る。
 たおやかでひっきりない快楽に、腹筋がヒクヒクと波打つ。
 震えて、うねる。中も、腹も。
 手足の先がギュッと縮こまる。

 指が入っているぶん強いのだ。
 それが動く。俺の中をまさぐって、内側から濡れた肉の浅い箇所を押し上げる。圧迫感。結合部擦って。


「ぁっ…っ…あ~~……っぅっ…ぁっ…ゔっ…ゔぅ~~……っ」


 たまらず、俺は首を振って喉をそらし、掠れた低い声で喘いだ。

 ニヤついた鬼畜野郎の顔がチラつくが蹴り飛ばす余裕はない。
 口の端から唾液がトロリと零れて汗ばんだ肌がむず痒く疼く。

 ガキが駄々こねるような声あげて、自分で自分に呆れるぜ。

 でもそう呻く程度に焦れったい。
 もう散々ヤッたあとでそうすぐイけないが、体は熱に満ちている。

 決定打を与えずじくじくとトロ火で炙るような愛撫と抽挿を送り続けて、前立腺近くの敏感な粘膜をねちっこくなでるだけなんて、いい加減気が狂いそうだ。


「ぃ、嫌だっもう、いやだ……っ」

「クク、なんで? いつもより腹いっぱいでギッチギチなのあんた興奮するでしょ。ケツ穴ヒリつくスリルもイッて緩んだとこ犯されんのも好きなくせに」

「好きじゃねぇっ……好きじゃねぇよ、嫌だって、言ってんだろ……っ」

「あらら……じゃ、もうやだなんて嘘つく先輩には、お仕置きしますか」

「っあ、ゃっ、ぁ、ひ」


 言いながら、ローションを継ぎ足しつつ根元まで突っ込まれていた三初の親指が、不意にクイ、と中で曲がる。

 そして触れそうで触れなかった腫れぼったいしこりを、打って変わってこりっこりっと引っ掻き始めた。

 だが代わりに、前を扱いていた手がピタリと止まる。
 これじゃ意味がない。中だけじゃイケない。生殺しのままだ。

 わなわなと震える俺を見下ろす三初は、弾力のあるしこりに指を押し当てたまま、それはもうイキイキと上等なツラをニマ~っと綻ばせた。


「嫌なんですよね? ならココに指当てといてあげるんで、自分で中締めて、襞圧だけでイッてください」

「っむ、無理、無理……!」


 ヒクン、と全身が戦慄き、俺はすぐにブンブンと首を横に振った。

 バカ言ってんじゃねぇ。
 んなの、無理に決まってんだろ?

 自分一人で中イキしたことなんかねぇのに、指宛てがわれた程度じゃどんだけ締めたって決め手になるわけねぇんだ。何時間ヤったってイケる気がしない。

 締めすぎるとキツい緩めろ筋肉バカと傲慢に尻を叩かれてきたので、今更締めろと言われると思わなかった。

 そもそも、気持ちいいと力が抜ける。締めると感じる。破綻してる。だから無理だ。

 そう訴えるが三初はニンマリとこちらを見下し、自分の出したもので汚れた俺の腹筋をぬちゃ、となでた。


「ン……」

「無理じゃない。無理だとしても、先輩は俺のオモチャなんだからやらなきゃダメ。そういう約束です。ね。だから無理じゃない」

「は、んなこと、できね」

「できますよ大丈夫。できるできる。余裕でできる。全然できる。先輩はできる。ほら、さっきまで散々ココで感じてたでしょ……? 思い出して、どうしたら感じるか。集中して、じっくり締めて」

「っ…ぉ……も、……っぁ」

「イッて。先輩」


 こういう時のこいつの声は、なぜか耳にスルリと染み込んできて、脳ミソを堕落させ従順にさせる魔力がある。




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