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第五話 冬暴君とあれやそれ
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しおりを挟む「とめ、っ……! 止めろって、み、ぁっ……! 三初……っ」
「声抑えて。店の個室の壁なんて、極薄なんですから。もう……あーあーこんなに熱烈に抱きついてくれちゃってまあ」
「ちがぁ、あ、あっ」
三初はしがみつく俺を抱いたまま足を崩し、足の甲で内ももから股間をなぞる。
スラックスの上から臀部の割れ目を指でこすられると、染み出たローションでぐちゃぐちゃにぬかるんだそこが甘い刺激に媚び、疼きを増した。
下着の中では昂った屹立が蜜をこぼして濡れ、我慢ならないほど勃起している。
マヌケな声を堪えようと必死に抑え込むが、荒い呼吸や獣じみた呻きが唇の隙間から響き、顔中耳まで熱くて死にそうだった。
ヴヴヴヴヴ、とくぐもったモーター音が肉を伝って腹の中から鼓膜を揺らす。
媚薬に犯された直腸をうねりながら叩くビーズの振動を感じると、無意識に腰が動いて三初の手に擦りつけてしまう。
「ん゛……ッ…ゔッ…んゔ……ッん……ッ」
「ホンッットチョロイですよね、先輩。マジで心配なくらい。オモチャと餌のコンボでホイホイ釣られるなんて、バカ犬ワールドチャンピオン確定だわ」
「おま、っ……お前、ンぅ、あ、ふ……っ」
お前が相手だから警戒心が薄れちまうんだろうがッ! という叫びは言葉にならず、振動が止まらないビーズに追い詰められる俺は半端な返答をしながらビクビクと全身を跳ねさせた。
三初の馬鹿にした声は、心配と言うより呆れを多分に含んだものだ。
ケッ。俺はチョロく、い、かもしれないが、そもそも相手が相手じゃなきゃ釣られてやるわけねぇってのによ。
今更ながら部屋の外にみっともない嬌声が聞こえないよう唇を噛む。
弾けそうに勃起したものを包む下着の中は気持ち悪いくらいぬかるんでいた。
ローションの媚薬成分を吸収した体内はズクズクと脈打ち、ビーズが当たる襞の全てが疼ききっている。
我慢の糸を一発でちょんぎられた。
もう完全にどうにかしなければ外にも出れないことは、誰の目にも明らかだろう。
(はっ…もう……っ溶ける、イキてぇ、中擦って……嫌なのに、クソ……っ)
「ぁ、く……ッ」
欲望に囚われ三初の膝に股座を擦りつけて悶えていると、不意にドサッ、と雑に畳の上へ仰向けに転がされた。
正面から痴態を見られるのが嫌で起き上がろうと横向きに転がるが、横たわったところで立ち上がれるわけもなく手足の先を丸めて震える。
照明に影が差し逃げられなくなってから、三初が自分の体に覆いかぶさってきたのだと気がついた。
カチッとビーズのスイッチが切られる。
乱暴な快楽の波が止まり呼吸を整えようとすると、ガチガチに勃起した屹立を手でなでられ、指先がベルトにかかりスラックスを食い込ませるようにグッ、と引き上げられた。
「っぁん……っ」
「さて……選択権をあげましょう」
「はっ……な……なん、だ……?」
尋ねると、胸糞悪い無駄な美形顔がうっそりと口元をゆるめ、鼻先が触れ合いそうなほど近く詰め寄る。
ドク、と高鳴る心臓。
媚薬の効果は厄介だ。吸い込まれそうな瞳がにこやかに細まる。
「一つ、ここで俺に見られながら自分でビーズを抜きあとは我慢する。二つ、一発出してから退店し然るべき場所でビーズを抜いて俺に抱かれる。三つ、ここで俺に見られながら自分でビーズを抜いて公開アナニーのあと更に俺に抱かれる。……どれがイイですか?」
──なぜか穏便に鎮めてからさっさと帰る選択肢が消えた重大なバグへ最早ツッコむ余裕もない俺は、とりあえず一番マシなやつを選んでおいた。
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